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国宝・興福寺の三重塔

どうしてこの塔だけ、興福寺のにぎわいから遠ざけられているのか、少し不思議です。でも、ちゃんとした国宝のようですし、とても立派な感じです。

南側にはたくさんの観光客が通り過ぎていく三条通り、東側はこれまたたくさんの人々が行き過ぎる東向き商店街でした。

でも、全くその喧騒から隔絶している。囲いがあるから、というのもあるし、くぼんだ所にあるから、人々のコースから外れているということもあります。見上げれば、崖の上に南円堂があって、そちらは観音巡りのお客さんやら、興福寺初心者の方たちとか、奈良を巡っていく最初の入り口になっているのに、こちらはそれさえも横目に見るだけです。

お寺って、平面に壮大な伽藍を作り上げていく、というのも一つの形ですけど、こちらはそうではなかった。

源平の戦いの折りに、平重衡さんに焼き尽くされた東大寺・興福寺ということになっていますけど、興福寺はもっと南側の、猿沢の池やら、奈良ホテルやら、奈良町やら、そういうところに広くいろんな関連施設があったはずです。

だから、興福寺のくぼんだ所に、三重塔があっても、そのいろんな施設の一つとして、クローズアップされることなく、ひそやかにお祈りする場所として存在していたでしょうか。

修行の場とか、祈祷の場とか、そんなのではないから、仏様に向かう場として、ささやかに築かれ、何百年も経過してきたんでしょう。

今も、みんなからそれほど注目もされないで、静かにそこにあるようです。内部には仏像もあるんでしょうけど、私みたいな不信心なものには、お参りする権利もないかな。

前に行かせてもらえるだけで幸せです。感謝して、これからも何度もお参りしたいと思っています。