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ヘンダーソン 資本主義の再構築 EconTalk Jun.2020

(解題) 格差拡大や気候変動を生み出したことを指摘して、資本主義の修正を求めるヘンダーソンの考え方は、アメリカにおいて、それなりに支持されているように見える。それはこの前からアメリカ社会に存在している、権力を利用して競争を歪めようとする企業や金持ちを縁故資本主義として批判する議論と重なる点が、今回の引用でははっきり浮かび上がる。他方で、ヘンダーソンの考え方が、企業ではなく、大きな政府の調整機能に期待していることも、今回の引用で浮かび上がる論点である。EconTalkは話題の著書の著者との対談記録で論文では読み取れない論点がときに浮上する。(福光)

Rebecca Henderson on Reimagining Capitalism, EconTalk, Jun 8. 2020

Trancriptより(抜粋)
(中略)
Russ Roberts: レベッカ、貴方の本は我々に資本主義をもう一度考えることを迫っています。今の資本主義のやり方の何が悪いのか?どんな問題をあなたは正そうとしているのですか?
Rebecca Henderson: 最初に私は資本主義の熱烈なファンだと言わせてください。私は資本主義は人類の偉大な発明の一つだと思います。しかし私は現在(in our carnation)我々は均衡を失することを許していると考えます。私は三つの問題を認めます。一つは加速している格差です。過去20年以上の経済ブームから得られた生産の配分は最も上位層に向けられたのです。二つ目は、我々は直面する気候変動リスクに取り組むことに顕著にsingularly失敗しています。そして三つ目にそしておそらく最も重要なことは、我々が制度的に政府の能力capacityを減少させたrun downさせたことです。政府は嫌われることばdirty wordになってしまった。パンデミック(伝染病の世界的蔓延)の前に我々の極端で無効な政治のコストは見えていたと思います。そしてパンデミックにおいて、完全に機能的な政府を持たないことのリスクはとても見えるようになっていると思います。
(中略)
Russ:(Russは自分なりに三つの問題を上げる。格差については過大評価があるとするが、問題の存在を認める。つぎに孤立の蔓延、さらに情報の統制問題をあげる。そのうえで格差問題についての発言をRebeccaに促す) 
Rebecca: 格差について私が気に掛ける理由の一つは、それは格差だけではないことです。本当に厳しい時において、配分のまさに底にある人々にとって、それは社会的流動性の落ち込みです。そしてそれが意味する機会の喪失です。私が言いたいのは、それが私を本当に悩ませているということです。私たちは、とてもお金持ちの人々の政治的影響力についてさらに話すこともできます。それも私を悩ませていることです。私はここNew Hampshireの農村の出身です。公平でない戦いの場所の人々を知っています。彼らは公平な戦いの場にすらいないですね。
(中略)
Russ: 資本主義の部分について話しましょう。あなたは合衆国のような現代資本主義国家における株主価値の強調についてとても心配しています。そのどこが悪いのでしょうか。我々はどうすべきか話してください。
Rebecca: 私はコストを気にせずに株主価値最大化に一方的に集中することをとりわけ心配します。それは株主価値最大化が好きでないと言うのとは少し違います。私は二つの公開会社で役員を務めています。その一つはFortune 2000の一つです。私は新古典派ギルドのカードメムバーです。私は株主に利潤で報いること(returning) は会社の中心的主要な機能だと思います。しかし私には二つの懸念があります。
一つは時間軸timeframeです。私たちは制度は、あまりにも短期あるいは長期に集中していないか議論できます。しかし例えば私は多くの企業に、長期的にNPV positiveとなる多数の機会があると信じますが、彼らにはそうすることに困難があります。 (中略)私は投資家に多くの健全な収益をもたらす長期の収益機会はたくさんあると思いますが、それがまた多くの理由で追及されないわけです。その一つの理由が誤解です。すなわち、ともかく今すぐ株主価値を(実現しなければならない)という。
もう一つの懸念は、それはほとんど条件termsにおける矛盾です。私は、ゲームのルールを変更して株主価値を最大化する企業のことを懸念します。お金儲けのもっとも効果のあるやり方は、結局、地方の法制局に行き心地の良い小さい独占にすることです。本の中で私は、この例としてDisneyの著作権の延長について記しています。(その延長は)実際それが社会的価値を生み出したとは信じがたい。しかしDisneyの利益には顧客のポケットから数十億ドルの利益が落ちる。それはルールの変更に過ぎない。これは私を悩ませます。
我々は経営者に「あなたの勤めは株主価値を最大化することにある」と言って終わりなのです。決して以下のように言わない。「あなたの勤めは、本質的に自由で公正な資本主義の制度(service)のもとで株主価値を最大化することである。(資本主義の制度は)複雑なルールと道徳的習慣により支持されてきたーあなたの勤めはこれらのルールをひっくり返さないsubvertことにある」。このことが私を悩ませているのです。
Russ: 私も同じです。(この対談の)リスナーは、それが縁故資本主義と呼ばれることを知っています。貴方の言うように、自分の競争上の立場を高めるためにゲームのルールを使う誘惑です。そのあとあなたが使ったフレーズは、少し複雑ですが。貴方は、(CEOに対して)ともかく株主価値を最大化すべきだという代わりに、ある条件のもとで最大化されるべきだ、と言うべきです。そこに興味深い愛すべき理想がある。実際CEOはいかにすべきですか?
Rebecca: ごめんなさい。もう少し口語的にいうべきでした。「あなた(CEO)は、ただ株主価値を最大化することにだけでなく、自由で公正な市場を支持する組織の健全さに対し、そしてあなたが信頼する社会の健全さに対し、義務があります」と。


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