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彭徳懐 給毛主席的信 1959/07

彭徳懐同志于一九五九年七月十四日給毛澤東的信。《彭德懷自述》人民出版社2019年(1981年出版のものの再版)238-243 廬山会議で彭徳懐失脚の原因となった手紙の全文である。この私信のどこが、毛沢東の苛立ちを誘ったのか(毛沢東はこれを《彭徳懐同志的意見書》として印刷して会議参加者に配布。同調者が多いとみるや反撃に転じた)。綿密に検討する価値はあるだろう。ただこの短い手紙だけを理由に毛沢東が、彭徳懐を追い詰めたとは思えない。二人の間の長年の確執、毛沢東とすれば彼に異論を提起する勢力の一掃、ソ連との緊張が増す中でソ連と連携しそうな人々の一掃、それらがまじりあって彭徳懐、張聞天らの失脚が起きたと考えられる。しかし劉少奇や鄧小平が、「正論」を述べた彭徳懐らの失権を防がなかったことで、歴史は「文化大革命」の悲劇をたぐりよせることになる。

p.238    主席:
 このたびの廬山会議は重要です。私は西北小組で数回発言(插言)しました。小組会ではなお意見が出尽くしてはいませんが、あなたの参考になるように特に書きます。しかし私は単純な人間で、張飛のようにすぐに興奮してしまいますし(類似張飛 張飛は三国志に出てくる蜀の将軍である 訳注),確かに粗雑な面があり、決して綿密とはいえません(確有其粗,而無其細)。それゆえ参考になるかどうかも斟酌ください。妥当でないところはご指摘ください(以下文体を変更した 訳者注記)。
 一面において(甲)一九五八年の大躍進の成績は疑いなく認められる。国家計画委員会の複数の審査確定後(核實後)の指標から見たところ、一九五七年と比較して一九五八年は、工農業総生産価値は48.4%増加した。そのうち工業は66.1%、農業の副業は25%増加した。糧食と綿花(糧棉)の増産30%は確実(肯定的)だ。国家財政収入は43.5%増加した。このような増加速度は、世界各国で未だ経験されないことだ。社会主義建設速度のこれまでの在り方(成規)を突破したこと、とくに我が国のように経済基礎が薄弱で、技術設備が立ち遅れているところでは、大躍進により、できる限り早くまたよくムダを省く(多快好省的)総路線の正しさは基本は証明(證實)されている。(それは)我が国の偉大な成果(成就)であるだけでなく、社会主義陣営においても長期的に積極的な影響を与える(作用)ものである。
 一九五八年の基本建設は、現在から見ると幾つかのプロジェクト(項目)は少しあまりに急ぎすぎあまりに余分だった(過急過多了一些)、資金を分散してしまい、必達のプロジェクトを遅らせた(推遲了)、これが一つの問題(缺點)である。
p.239   基本原因は経験がなかったことだが、この点は深く実感されておらず(體會不深)認識があまりに遅れている。このために一九五九年は歩み(步伐)を少しゆっくりとして、適切に抑制を加えなかっただけでなく、大躍進を継続した。このことによって、バランスを欠いた現象が適時に調整されず、新たな当面の困難を生み出した。しかしこれらの建設は、つまるところ国家建設が求めるものであり、今後一両年のうちかあるいはより長い時間内においては、次第に効果を表すものだ。現在はなお欠けているものや、弱い関連するものがあって、生産できないものがある。物資の欠乏には十分な準備をすることがなければ、発生した失調現象や出現した新たな不均衡は適時に調整はむつかしい。これが当面の困難の所在である。このゆえに明年度(一九六〇年)計画にあたり、実際的かつ穏健妥当というベースで進めることを(更應當放在實事求是和穩妥可靠的基礎上)、真剣に考慮する必要がある。一九五八年と一九五九年上半年、いくつかの基本プロジェクトで実際完成しようがないものについては、また必ず暫時停止の一大決心をするべきである。この方面では、放棄するもの(所捨)があるべきで、(そうであって)活かすもの(所取)も存在できる。さもなければ重大な失調現象はさらに続き、この方面の局面からの脱却はむつかしくなり、今後四年イギリスにいどみイギリスを超える躍進速度は妨げられる(妨礙)。国家計画委員会は計画はできるが、様々な根拠によって決断がむつかしい。
 一九五八年の農村公社化は、偉大な意義があるものである。これは我が国農民の貧困からの脱出を徹底しただけでなく、社会主義建設を加速して共産主義の正確な経路に向かわせるものである。所有制問題において、混乱があったほか、具体工作中も欠点や誤りが現れたことは、当然影響が大きい現象である。しかし武昌、鄭州、上海などの一連の会議を経て、基本はすでに訂正され、混乱した情況は基本はすでに過去のものになった。すでに少しずつ労働に応じた分配という正常な軌道を歩んでいる。
 一九五八年の大躍進の中で、失業問題が解決された。我々のこのような人口人の数が多く、経済が遅れた国において、(失業問題が)十分迅速に解決されることは、小さなことではなく、大きなことである。
 すべての人が鋼鉄を精錬するなか、多くは小土高炉を行ったことは、資源(物力、財力)と人力を浪費し、当然(これは)大損失である。記すべき大損失である。しかし全国地質に対する
p.240  最初の規模巨大な広範な調査が行われ、多数の技術要員が培養され、広大な幹部がこの運動の中で鍛錬され高められた。大きな学費が支出されたが(二十億余りが消費:貼補された)、この方面でもまた得られたもの失われたものがあった。
   他面において(乙)工作中の経験教訓をいかに総括するか。:
 今回の会議は、同志は皆、去年以来の工作中の経験教訓を研究討論するために集まり、かつ多くの有益な意見が提出された。この度の討論を通じて、我々の党の工作は極めて良いところを得ることができた。主動すべき方面では、社会主義経済法則を今一歩経験から学んで、常に存在するアンバランスな現象を適時調整する、積極的にバランスさせることの意義を正確に認識した。
 私が見るところでは一九五八年の大躍進の中で、いくつかの欠点誤りが出現したが、その幾つかは避けがたいものである。我々の党の三十年余りのこれまでの革命運動指導と同じく、偉大な成績の中にはいつも欠点も存在するものだ。この問題は二つの側面がある。現在、我々の経済工作中直面している突出した矛盾は、比例が失われ、各方面に緊張を引き起こしていることである。その性質を見ると、この種の情況の発展は、工農の間、都市各階層の間と農民各階層の間の関係、に影響しており、それゆえにまた政治性のものである。その関係に、我々が今後広大な群衆を動員して躍進の継続を実現できるかはかかっている。
 過去の一時期工作中に出現した欠点や誤りの原因は多方面である。客観的要素は、我々が社会主義の建設工作に不慣れで、完璧な経験をもたないことにある。比例発展という規律に従う計画をもつ社会主義についての体験理解が深くなく、二本の足で道を歩む方針(農業と工業、重工業と軽工業などさまざまな方面を並行してまたバランスを取って進む)は各方面の実際工作中では貫徹されていない。我々が経済建設中の問題を処理しているときに、金門砲撃、チベット(西蔵)反乱平定など政治問題をなおそれぞれ正しく処理できていないように思える(縂還沒有像處理・・・・那樣得心應手)。別の面では、客観形成は我が国はなお貧しく(一窮)(なお一部の人は満足に食事をとれず、去年の一人当たり綿布はわずかに十八尺であり、上着が一枚、下着が2枚縫えるに過ぎない)、
p.241  遅れた状態(二白)にあり、人々は切実に現状の変化を求めている。次に国際形勢は有利な趨勢にある。これはまた我々の大躍進を促す重要な要素である。この有利な時期を利用して、広大な人民の要求に適応して、我々の経済工作を加速し、我々の貧しく遅れた落後した状態(一窮二白的落後的面貌)を迅速に改め、さらに有利な国際局面を創造することは、完全に必要で正しいことである。
 過去の一時期、我々の思想方法と工作作風方面において、また多くの注意に値する問題が表面化(暴露出)している。この主要なものは以下である。
 1.  根拠のない浮わついた気分が広く成長しつつある(浮誇風氣較普遍地滋長起來)。去年北戴河会議の時、糧食生産量の推計の過大は、ある種の虚偽現象(假象)を生み出した。だれもが糧食問題はすでに解決したと思い込んだので、工業を飛躍させて行えることになった。鋼鉄を発展させる認識について、深刻な偏りがあり、煉鋼、圧延(軋鋼)、砕石設備、コークス(煤炭)、鉱石、煉焦設備、坑木の入手、運輸能力、購買力拡大、市場商品をいかに配給するかなどを真剣に研究しなかった。つまり必要な平衡計画がなかった。これはまた同様に実際的でない誤りを犯したものである。これはおそらく一連の問題の原因になった。根拠のない浮ついた気分は各地区各部門に吹き荒れ、信ずることが出来ないことが新聞上に現れ、党の威信は重大な損失を受けることになった。当時各方面の報告材料から見るに、共産主義が忽ち来るかの勢いが、多くの同志の頭を熱くしたのである。糧食綿花の生産は高まり、鋼鉄は倍増するという高波(浪潮)の中、行き過ぎた浪費が始まり、粗雑(粗糙)な秋の収穫となり、コストを考えずに、貧しい日々なのに富んでいるかに過ごした。重大であるのはかなり長い時間、真実の情況が容易に得られず、武昌会議と今年1月の省市委員会書記会議に至って、なお形勢真相は全部は明らかでなかった。この種の浮ついた気分が生まれるのは、その、社会に原因があり、しっかりとした(很好的)研究に値する。これと我々の一部の工作がただ任務指標をもつだけであり、具体措置を欠いていることは関係がある。主席は去年すでに全党に、天空に向かい力と科学分析の結合を始めると、また二本脚であるく方針とを、提示されたけれども、(私が)見る所、多くの指導同志は理解了解していないし、私もまたその例外ではない。
 2. 小資産階級の狂熱性は、我々に容易に左(傾 訳者補語)の誤りを犯させる。一九五八
p.242  年の大躍進では、私は其の外の多くの同志と同じように、大躍進の成績と群衆運動の熱情に幻惑されて(熱情所迷惑),いささか左傾傾向が相当程度に発展し、いつも共産主義に一歩進むのだと考え、まずは実行するという思想(搶先思想)が頭を占めていた。党が長年形成した群衆路線と実際的な(実事求是 実際にあたって検証する)作風は頭の後ろに置いていた。思想方法上、しばしば戦略性の処置(佈局)と具体措置、長期的(長遠性)方針と現在の一コマ(步驟)、全体と局部、大グループと小グループなどの関係の混同が生じていた。たとえば主席が提起された、「種類を絞り、生産量を上げ、収量を多く」「十五年で英国を追い越す」などのスローガンは、いずれも戦略性のものであり、長期的方針である。我々は研究が不足しており、現在の具体状況の研究に不注意であり、仕事(工作)を極度に積極的と定めたが、(しかしそれは)穏当であれば可能な基礎上であった。いくつかの指標は次第に高められ、ますます引き上げられて、本来は数年あるいは十数年かけてようやく到達できる要求が、1年あるいは数ケ月で達成すべき指標に変えられた。それゆえにこれは実際からかけ離れてしまい、民衆(群衆)の支持を得られなかった。たとえば過度に早い等価交換法則の否定、過度に早く提起された飯を食うのにカネは不要、ある地区では糧食は豊富にあると考え、統一購入統一消費政策を取り消し、腹いっぱい食べることを提唱した、(さらには)ある技術はまだ鑑定されていないがともかく推奨された、ある経済法則と科学規律が簡単に否定されたなど、これらすべては一種の左傾である。この種の同志がみるところでは、政治的指導者が提起さえすれば、すべてのことに置き換えることができる。政治的指導者が忘れているのは、労働自覚を高めること、製品の数量質量を高めることを保証すること、民衆(群衆)の積極性と創造性を発揮させて、我々の経済建設を加速することである。政治指導者は経済法則に変わることはできない。経済工作中の具体措置に代わることもできない。政治指導者と経済工作中の適切で有効な措置、両者は等しく重要である。どちらかに偏ったりどちらかを廃止してはいけない。これらの左(傾)の現象を糺すのは、右傾の保守思想を反対して除くことに比してさらに難しい。これは我々の党の歴史経験が証明したところである。去年の後半, 右傾保守思想に反対に注力する一種の空気が出現したが、主観主義的左方面には全く注意されなかった(忽略了)。去年の冬の鄭州会議以後の一連の措置で、一部の左の現象は基本糺されてきたが、これは偉大な勝利である。この勝利はすでに全党同志を教育したし、また同志たちの積極性を全く損なっていない。
 現在、国内形勢はすでに基本は明らかになっており、特に最近数回の会議を経て
p.243     党内の大多数の同志の認識はすでに基本一致している。目前の任務は、全党が団結一致して工作に継続努力することである。私が考えるに、我々の去年後半以来の工作中の成果(成績)と教訓を系統的に総括し、さらに全党同志を教育することは、はなはだ有益である。その目的は、つまり(明辦是非)思想を高め、一般的に個人の責任を追及しないこと。というのも(個人責任の追及は)団結あるいは事業の利益にならないからである。社会主義建設の規律などの問題で不慣れな方面については、昨年後半以来の実践と研究討論から、幾つかの問題をはっきりさせることができる。一部の問題は今一度時間をかけて学習模索することで学ぶことができる。思想方法と工作作風方面の問題については、すでに何度か重い(深刻的)教訓があり、我々は比較的覚醒しやすく体験理解できる。しかし徹底して克服が必要であり、なお一番苦労努力が必要である。まさに主席が今回の会議の中で指示されたように「成績は偉大であるが、問題はとても多い、経験は豊富であり、前途には光が見える」。私から見るに、全党が団結し刻苦奮闘するなら、継続躍進の条件は存在している。今年来年そして今後四年の計画は必ず勝利完成し、十五年で英国を上回るとの奮闘目標は、今後四年内に基本実現できる。いくつかの重要生産品(生産量)もまた必ず英国を超えることができる。これはまさに我々の偉大な成果(成績)と光明ある前途である。
 順致
敬礼!
                          彭徳懐
                     一九五九年七月十四日 

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