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ゴジラには存在意義があるのか

子供の頃に最初に映画館で見た映画。それはゴジラ映画だった。たしか小学生だった。古ぼけた劇場には当時子供たちにだけ公開されていた。ゴジラ映画が午後にだけ上映されていた。大人向けの映画というのは一切上映されない。大人は帰宅後にテレビを見るしかなかった。

当時映画館は子供なら見に来るだろう。そういったことを考えていたのだろう。満員になることはなかった。そのため上映期間は3日だけだった。わたしはこの上映が来ることを楽しみにしていた。いつも映画館の前に張り出されるポスターで知った。

いつまで経っても次の上映はこない。1年くらいするとやってきた。それがわたしのエンターテイメントだった。入場料は200円くらいだったと記憶している。

のちに名古屋市に出かけて見た。そのときは400円。とても高い気がした。

英紙エコノミストがゴジラ映画について記事を載せている。70歳になったゴジラ。引退どころかますまずその勢いは止まることがない。記事ではその映画に登場するモンスター・ゴジラ。これがオリジナルの「ゴジラ」から現在にいたるまで進化したものだ。はたしてこれからも存在する意義があるのか。その意義は何なのかを問うていた。

ゴジラはオリジナルがつくられた当時は核兵器のシンボルだった。広島と長崎に投下された原子爆弾。焼け野原になり20万人と8万人が死んだ。その後ビキニ環礁での原爆実験で誕生したといわれる。恐ろしい核兵器を生み出してしまった人類。その人類の過ちからさらにゴジラを誕生させた。まさに核兵器の生み落としたモンスターだった。

わたしはゴジラ映画40作というのはほとんど見た。見ていない方が少ない。それはストーリーが面白いし俳優もかっこいいではないか。東宝が選んだ時代を代表する二枚目スターとチャーミングな美女を起用している。そして映画の中でくりだされる特撮を見るのもなかなかのものだ。

しかしわたしの視点は40作を経て少しづつ変わってきた。

まず子供の頃は特撮技術に見とれていた。あれをどうやって撮影するのだろうか。ゴジラは50メートルはある。壊すビルや自衛隊の戦車ははるかに小さい。あの巨大な怪物をどうやって撮影するのだろう。

しかもあの背ビレが光り、口から噴き出す青白い光線はいったいなんなんだ。あっというまにビルや敵を破壊してしまうではないか。あのエネルギーはどこから来るのだろう。

そうやって映画のラストシーンでの人類とゴジラの戦い。ライバルとの戦い。特にキングギドラとの戦いは楽しみにしていた。はたしてゴジラは勝てるのか。ゴジラは敵か、味方なのか。そんなところを見ていた。

ところが高校生から大学生の頃になると俳優を見るようになった。決闘シーンはそれほど見なかった。それより男性俳優は何ともかっこいいではないか。大学生になるとVHSでビデオレンタルができるようになった。さっそくレンタルショップにいってレンタルをした。当時はコピーサービスをするところもあった。サービスはなんと2千円もした。それでも見たい演技があった。

家でビデオ・プレーヤーを回してみた。男性俳優の中でも宝田明はかっこよかった。悪役とヒーローを同時にこなした。背が高く、演技がうまかった。女性とでれでれとすることもない。ジャーナリスト役としてみごとに役をこなしていた。正義を背負って演技をした。

そんなときに女性俳優にも目がいくようになった。モスラの妖精はピーナッツという双子の歌手だった。このふたりはかわいい。こういう女性がいるのか。あれからいろいろな女性が起用された。

その中でもわたしの中で記憶に残っている女優は4人いる。沢口靖子、長澤まさみ、釈由美子、浜田美波の4人。なんともチャーミングではないだろうか。このひとたちの容姿を見ているとなんらかのパターンがある気がする。

そして社会人になるとストーリーに目がいくようになった。このゴジラ映画というのはストーリーを話題にした方がいい。男優、女優にも興味はあるがストーリーがよいものがある。

昔の映画と最近の映画を見る方がいい。昔のであれば第1作から4作くらいまでがテーマとしてよくできている。人類に対しての警告も発せられている。中でもキングコング対ゴジラではあの当時で地球温暖化を警告していた。

さらに最新ではシン・ゴジラとゴジラー1.0というのがいい。後者は低予算にもかかわらずオスカーを受賞している。

さてゴジラ映画には製作をする意義があるのだろうか。わたしは十分にあると理解している。それは人類に核兵器があるかぎりその脅威。使用をしてしまったあとの悲惨な状況がいつまでも存在するからだ。二度とあのような恐ろしい兵器を使ってはならない。人類に向けて発射してはならない。

いかなる理由があったとしてもだ。

ただ記事によると核兵器発射までの時刻は近づいているという。その運命の時計によれば発射までにあと90秒しかないという。この90秒というのはあと何年なのだろう。

もし本当に起きてしまったのならば、ゴジラよりももっと恐ろしいモンスターが誕生するであろう。それを映画館で無事に見れるかどうかはだれにもわからない。