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独学か?習うべきか?

何かに興味を持ち始めると「習いに行った方が良いかな」と思う場面が誰にでもあると思います。
僕の場合は「音楽」での経験なのですが、ジャンルを超えても共通する部分はあろうかと思いますので、僕の体験談を交えて、ここに考え方をシェアさせていただきますね。

「独学で続けるか、それとも、習うべきか?」
 「絶対に独学だ!」と(強い口調で!?)大学時代まで公言していた私。
今、この質問があれば絶対に「できることなら習いに行った方がいいよ」と言います。

こうして180度考えが変わるほど「目からウロコ」の出会いがあったのは大学時代の中頃のことでした。

私は中学時代にシンガーソングライターに憧れてギターを始めました。
その頃はニューミュージック全盛時代…。
次々に現れる人気シンガーソングライターの歌を、ただ、ひたすらにコピーしたり、真似て歌ってみたり…。

憧れのスーパースターの一挙手一投足すべてが、かっこ良く思えました。

高校時代になると、僕のヒーローは海外のシンガーソングライターたちへと変遷してゆくわけですが、そうした中で、ずっと自分の中でのこだわりは、「独学でギターを身につけること」でした。

どうしてそのようなこだわりがあったのかを思い返してみれば、やはり中学時代に私のアイドルだったニューミュージックのスーパースターたちの影響だったように思います。

彼らはこぞって「楽譜なんか読めなくても音楽は出来る!」「オレはギターを独学で身につけたんだ!」ということを憚ることなく公言していました。
「そうか~、ギターは独学で学べばいいし、楽譜なんて読めなくたっていいんだ!」

心より崇拝するアイドルの言うことは、当時の私にとっては「絶対」です。
これが、私の「独学」へのこだわりとなっていました。

そんなわけで大学時代までは、ギターや音楽を習いに行くこと自体が、何か「負け」のような気がしていました。
ギターや音楽を習いに行っている人たちを横目で見ながら、「習いに行かずに独学を続ける自分」を誇らしくさえ思っていたような気がします。

そんな私が、音楽を習うきっかけになったのは、大学時代に友人に勧められて入ったEACという作詞・作曲のサークルでした。

このサークルは当時、渋谷のヤマハエピキュラスというところで月1回開催されており、自分の作った曲をみんなの前で発表し、その曲について、同じ参加者や、ヤマハ専属の編曲家が批評をしてくれるという会でした。
(ちなみにこの会にはSPEEDの作曲やプロデュースを手がけた伊秩弘将さんや、TRF、安室奈美恵などの作詞家として知られる前田たかひろさんなども常連で参加していました。当然、当時は両名とも学生で、無名のアマチュアでした。)

私にとって、ここで知り合った当時ヤマハ専属の2人の編曲家に受けた影響が本当に大きかった。
一人は村田博之さん。そしてもう一人は、酒井省吾さん。
村田博之さんは、「異邦人」でヒットした久保田早紀などのバックバンドでギターを弾いていたプロのギタリストで、その後、作編曲家となり、音楽関係の本や雑誌の著者としても活躍した方。
酒井省吾さんはヤマハ専属の編曲家から、後にゲーム音楽作曲家の第一人者となった方です。

村田先生から習ったことで一番大きかったのは、「相対音感」と「楽譜」を身につける方法。これは最初の「目からウロコ」でした…。

ある何気ない会話の中で、村田先生曰く「大人になってから絶対音感を身につけるのは難しいけど、相対音感を身につけることはできるよ。それと相対音感の練習は、楽譜の練習にもなるんだよ。」

食いつきました!!この言葉…。

村田先生曰く、「ドレミファソラシドの音階」を正しく歌える人なら誰でも相対音感を身につけられるというのです。

その練習方法というのは、簡単にいえば、自分が良く知っている曲の最初の音を、移動ド(Cのキーだったら何の音になるか)で調べておいて、間違っても良いから楽器を一切使わずに、すべてCのキーで楽譜にしてみるという方法です。
飛んでる音は、頭の中でドレミファソラシドを何度も繰り返して、次の音を探ります。
音の長さは、8ビートの曲なら、8分音符をWの一辺として数えてゆく(♪=\ ♪♪=\/ ♪♪♪=\/\)という、小学校の音楽の授業で習った方法で数えて記譜してゆきます。

そして全部書き終えたら、オリジナルキーに直して、市販の楽譜で答え合わせをします。

大学時代、素直だった私(?)は、この方法を信じて学校に行く電車の中、楽譜を持っているシンガー・ソング・ライターたちの曲を片っ端から、楽譜にしてみました。
この教えのおかげで、今では、頭に浮かんだ簡単なメロディくらいなら、楽譜にすぐに書きとめられるくらいのことは出来るようになりました。

また、酒井省吾さんには、レコーディングの現場に立ち合わせていただいたばかりでなく、私の作った曲をアレンジしてもらったこともありました。

学生時代に、吉田拓郎のコピーから音楽を始めたという酒井さんですが、レコーディングの現場では、プロのミュージシャンにテキパキと指示を与え、見る見る素晴らしい曲に仕上がって行きます。

私が作った曲をアレンジしてもらった時も本当に驚きでした…。酒井さんは、私のメロディに、私がつけたコードとまったく違うコードを当てて、想像もつかないほど、別物の曲に仕上げてくれました。

アレンジャーは曲を作った人より、その曲を理解している…と感じました。

このお2人との出会いと体験が、それまでの私の価値観を変え、真剣に音楽を習いに行こうと思うようになりました。

最初に習いに行ったのは、やはり作曲、編曲の講座でしたが、ここで理論を学んだことで、それまで全くわからなかった「音がぶつかる」ということ、不協な音というのが、聞いてもわかるようになったり、それまであまり気にならなかった別の楽器の音が浮き出るように良く聞こえるようになったりという体験をしました。

たぶん習いに行かなかったら、今でもこうしたことは、わからなかっただろうと思います。

その後、まったく関係のない業界の仕事に没頭し、ほとんど音楽をやらない生活がしばらく続きましたが、40歳の頃に、また沸々と音楽をやりたいと思うようになりました。

学生時代は「プロになるんだ!」くらいな勢いで音楽をやっていましたが、この時には「老後に自分がどのように音楽をやっていたいか」ということを考えました。

そして思ったのは「年をとって白髪になっても、太っても、頭が禿げても、かっこよく出来る音楽」でした…。そこで頭にポワンと浮かんできたのが、BBキングとジョー・パスの姿。。
「太っていても、禿げていても、超カッコいい!」
偉大なミュージシャンをつかまえて、大変失礼な物言いですが。。
そうだ!!ブルースか、ジャズだな・・・と。(笑)

学生時代はシンガーソングライターになりたかったので、歌の伴奏でコードをかき鳴らすことばかりでした。
当然のことながらリードギター、ましてアドリブなんぞ、弾けるわけもないのですが、今からやれば、頭が禿げる頃には弾けるようになるかもしれないと一念発起して、ジャズギター教室に通い始めました。

しかし僕、ルーティンの練習が続かないタイプみたいです…笑。
課題を練習しない自分が悪いのですが、登校拒否になったり、クビになったりで、数年のうちに3度も先生を変えることになってしまいました。

でもこの経験で、先生の教え方もすごく違うことがわかりました。
教え方も千差万別ですし、怖い先生、優しい先生、自分に合う、合わないもあります。
いろいろな先生に習ってみて自分に合う先生を探すのは、とても良いことだとも思いました。

「独学か、習いに行くか?」
結論としては「習いに行く」なのですが、当然、習いに行くだけではスキルは身につきません。 習いに行くのは「練習」のコツなんですね。

今回の僕のお話の中で「作編曲」は自分のスキルが磨かれた成功事例、ジャズギターは練習せずに行くのが嫌になった「失敗事例」…笑。

確かに作編曲を習っていた時は、毎回与えられた課題で楽譜を書きまくり、曲を作りまくっていました。

毎回のレッスンが終わるたびわかった気になって、ついそれだけで安心してしまいがちですが、毎回与えられた課題をきちんと復習し、毎日コツコツと練習できるかどうかが「習う」コツです。

そう言って自分を戒めてもう一回ジャズギターを習おうかな…。
英語も習いたいな。
今は何でも動画やオンラインレッスンが出来るからとても良いですよね!


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