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朝にはサンダーバードに乗りて、夕べにはしらさぎと帰る

2024年3月16日。
北陸新幹線金沢・敦賀間が延伸開業を迎えました。

昔は大阪から富山に通じていたJR西日本の特急『サンダーバード』も、北陸新幹線の延伸によって金沢どまりに短縮。

そして遂に今年新幹線が福井まで延伸されたことで、敦賀止まりとなりました。

だけど、
たとえその特急の道のりが途切れても、
思い出はこの先ずっと続いていく。

2024年ダイヤ改正前のとある日。
関西から『サンダーバード』『しらさぎ』に乗って、金沢に日帰り旅に出かけた記録をお届けします。


大阪発"金沢"行『サンダーバード』

朝、通勤客で混雑する大阪駅。
その電光掲示板には、この記事を書いている時点では見られなくなっている表記が並んでいました。

そう、『金沢』の文字です。

北陸新幹線の延伸開業によって、大阪発のサンダーバード、そして名古屋発のしらさぎはすべて敦賀駅止まりとなりました。

というわけで最後に金沢まで乗り納めすべくホームで特急『サンダーバード』』を待っていると、683系が入線してきました。

デビューから30年近く経つけど、そのデザインは未だに真新しくて。

懐かしいなぁ。
子供の頃、家族旅行で富山に行った時に京都駅から『サンダーバード』に乗ったのを憶えています。

淀川

そんな哀愁とともにサンダーバードは大阪駅を離れました。
どこかしんみりとした朝の雰囲気の中、私は――

ハイボールをカシュウウウ!!!!

朝からぶちかましていくぜえええええ!!!!!

ほろびゆく列車に乗って、ほろ酔いで旅をする
ほろ鉄』を生業とする私。

ZINE『ほろ鉄] 

朝からフルスロットルでいかせてもらいます。

朝日を浴びながら京都線を驀進するサンダーバード。
建設中の高速道路の橋脚がパルテノン神殿のような荘厳さを漂わせています。

京都駅を出て山科を過ぎる頃、アナウンスを何気なく聞いていると、車掌さんによる『サンダーバード』の歩みの解説とお別れアナウンスが流れてて、再びしんみりとした気持ちになりました。

本当に金沢まで行かなくなるんだなぁ……

滋賀県・琵琶湖。奥の三角の山は"近江富士"こと三上山

トンネルを抜けると、地元・滋賀県に入りました。
『サンダーバード』が走る湖西線は高架を走るので、進行方向右側の席に座っていると、車窓に琵琶湖が現れます。

ちなみに琵琶湖の東側を通る東海道本線は「琵琶湖線」とも呼ばれていますが、実は琵琶湖はそれほど見られません。

レイクビューを楽しむなら湖西線がおすすめです。

湖国を颯爽と走り抜け、敦賀駅に到着しました。
ホームに降りたつと、恐竜王国の福井県らしく恐竜が出迎えてくれます。

ホームにいた恐竜(別日撮影)

新しくできた新幹線駅舎もド迫力!
まるで翼を広げた翼竜のようです!

敦賀駅

現在の北陸新幹線の終着駅であり、サンダーバード・しらさぎ号の新たな終終着駅となった敦賀駅。

ダイヤ改正後はあの新幹線駅舎の下で特急が発着するようになっているらしいですが、どんな光景なのでしょうか。

敦賀駅を出て、長い長い北陸トンネルを抜けると、福井のダイナミックで広々とした景観が広がります。

時々新幹線の高架との離合を繰り返しながら金沢を目指します。

新幹線開業に伴い、敦賀・金沢区間は第三セクターの「ハピラインふくい」となる影響もあり、駅の看板を貼りかえる風景も見られました。

金沢散策

いよいよ金沢が近づいてきました。
あの奥の冠雪している山は白山かな?

そして、金沢駅に到着です!

ありがとう、サンダーバード!
この和倉温泉の表記も見納めかぁ……

駅を出ると、名物の鼓門のおでむかえ!

金沢駅・鼓門

せっかく金沢駅まで来たのですから、バスで近江町市場に寄り、おいしいお寿司をいただいてきました!

その時のことはこちらの記事で紹介しています!

食後の散歩として、金沢城公園にも寄り道。

鼠多門

公園に近づくと、復元されたばかりという「鼠多門」という城門がドンと現れました!

せっかくなので中を拝観。

建物を構成する「能登ヒバ」と呼ばれる木材の香りで満ちていました。

金沢城公園

さらに二の丸広場などの方へと歩こうかと思いましたが、地震の影響もあり、この時点ではほとんどの施設が立入禁止でした。

散策はこれまでにし、駅に引き返す途中で立ち寄ったのが尾山神社。
こちらも素敵なスポットでしたので、詳細が気になる方はこちらの記事をご覧ください!

帰りは『しらさぎ』の背に乗って

金沢駅からの帰路は、特急『しらさぎ』を利用しました。

『サンダーバード』は滋賀の琵琶湖の西を走り、大阪・金沢を結びますが、『しらさぎ』は近江塩津駅から琵琶湖の北東をかすめるように走り、名古屋・米原・金沢を結びます。

今度は行きとは反対の窓際にしました。席は自由席です。
ダイヤ改正後は『サンダーバード』『しらさぎ』ともに全席指定席になるので、この切符がほしかったんですよね。

近江町市場や金沢駅で散々呑み食いしたので、帰りはコーヒーをすすりながらまったり過ごします。

途中、新しく新幹線駅となった芦原温泉駅にも停車し、発車。

芦原温泉駅(別日撮影)

さすが特急です。
あっという間に福井駅に戻ってきました。

福井駅(別日撮影)

以前仕事で訪れた時は駅前は恐竜でいっぱいでしたが、今はさらに増えているとのこと。いったいどんな景色になっているんだ……!

福井駅ホーム

「福井駅のホームにも恐竜いるよー」と先輩に聞いていたので、それらしい表示もちゃんと写真におさめました!

北陸トンネルから出て新幹線と合流

その後問題なく『しらさぎ』は北陸を南下していき、敦賀も出発。
いよいよ滋賀県に戻ってきました。

伊吹山

北陸方面から滋賀に戻ってきた際に、湖北の名峰・伊吹山を目にすると「ふるさとに戻ってきたなぁ」とその都度感慨がわいてきます。

長浜びわこ大仏も通過します!

琵琶湖が見えてきたなーと思っている間に、米原駅に到着。
金沢の日帰り旅があっという間に終了しました。

乗り換えで慌ただしく、最後に撮ったしらさぎの写真がこちら

たとえその先に線路がなくても

「朝に紅顔ありて夕べに白骨となる」という、人間の死は予測がつかないことを言い表したことわざがあります。

私はこのことわざを「物事の終わりも予測がつかない」と解釈しています。

歳をとるたびに、今目の前にあるものが明日も当たり前にあり続けると思うことが減りました。

廃線、廃車、短縮……など、特に鉄道ではそのことをひしひしと感じます。

「またいつか乗りにいけばいいか」と思っていた列車が、明日には消滅していることだってありえるのです。

だけど、たとえチャンスを逃しても、「まぁ、いっか」と最近は思えるようにもなりました。

今回の金沢旅でもあらためて思いましたが、たとえ『サンダーバード』や『しらさぎ』が敦賀より先に行かなくても、子どもの頃に『サンダーバード』に乗って富山まで行った思い出は、今もずっと続いています。

大阪駅にて

そして何より、地元のある人が「まさか福井に新幹線が来るとは思わなかった」と嬉しげに語っているのを聞いたように、北陸新幹線延伸によって関西・福井は予想もつかない新時代を迎えようとしています。

私もちろん、今からワクワクでいっぱいです!

思い出の先はたいてい、新たなワクワクに延伸しているものです。

お仕事の記事など

3月16日のダイヤ改正にともない、お仕事で下記の3つの記事を書かせていただきました!

福井県内にできた新幹線の4つの新駅や新スポットの魅力、発掘したら戦国時代の城下町が丸ごと現れた『一乗谷朝倉氏遺跡』などをご紹介!

また、新ダイヤから『らくラクびわこ』に名前を変えた『びわこエクスプレス』のお別れ乗車のもようもお届けしています!

また、途中でちらりとした旅行記『ほろ鉄』の詳細はこちら。
通販もしています!


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