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畢竟、必死さの総量なんだろう、足りないものは。

業界そのものが、大きく沈没してしまいそうな、そんな業界から「僕がこの6年をどう過ごしてきたのか」を話してほしいと依頼があり、ちょっとまとめてみた、図。


こうやってみると、運の良さと諦めの悪さが幸いしているのがよく分かる。ソーシャル・エックスの価値の根源である「逆プロポ」が生まれたのが2020年夏。


■見えていなかったけど、信じていた未来


新型コロナの、社会不安が真っ只中だった時だった。根拠はないけど、このサービスが有形・無形の可能性をもたらすと、僕は思ったけれども、当時は総務省でさえも「無理だと思う」という反応だった。

それに、いくつかのアクセラにもエントリーしてみたけど、まぁ、ボロカスだった(僕の説明が下手くそだった、というのもあるだろう)。

この時には当然、1年後の風景なんて見えているわけもなかったのだけど、不幸なことに逆プロポが生まれて1年後に、僕は心臓を痛めて、前のスタートアップを去ることになった(心臓のチェックは今でもやっている)。

運以外、何者でもないなと思うのは、さらにその1年後の2022年に「新しい資本主義」という政策コンセプトが世の中に登場したということだ。このコンセプトが会社の追い風になっているのは、いうまでもないことだ。

■新しい資本主義の登場で変化した経営環境


僕の会社、ソーシャル・エックスが何か政府から具体的な後押しをもらっているわけではないけれども、「事業性と公益性を両立していく資本主義」という説明が、だいぶ楽になったのは会社の経営的には非常にありがたいことだ。

2022年に世に送り出した、自治体向けのサービス「コンシェルジュ」も、2年目の2023年には10近い自治体に利用頂いているし、僕たちがオフィスを構えている虎ノ門ヒルズにも、わずか1年の間に500人を超える自治体関係者と企業関係者が訪れ、社会課題基軸でディスカッションしている。ほぼ、毎日、どこかの企業と、どこかの自治体が私たちのオフィスで出会い、意見を交換している計算になる。

2023年秋には、財務リターンと戦略リターン(要はソーシャルインパクト)の両立を目指すスタートアップを育成支援するアクセラプログラム「ソーシャルXアクセラレーション」を開発し、これが東京都に採用された。目下、アクセラ1期目の募集を締め切り、これから審査が始まるところだ。ソーシャルXアクセラレーションは、ゼブラ型スタートアップを育成支援するプラットフォームと言ってもいいだろう。

僕が最初の会社、合同会社million dotsを2018年1月立ち上げた時、会社は「わたしたちは、企業、行政・自治体、社会起業家をつなぎ、イノベーションの起点をつくる会社です。」というメッセージを打ち出している。


■企業も業界も必死になれ


官民共創に最高の体験を」をミッションに掲げ、ソーシャル・エックスは逆プロポやコンシェルジュ、アクセラプログラムなどを展開しているわけだが、そのコンセプトは2018年から驚くほど、変わっていない。

当然、逆プロポを思いついた2020年よりも、2018年はもっと官民共創への社会的な理解はなかった。だから、最初は仕事を作るのも苦労した。結果的に1期目で2000万近い売上を作ることはできたものの、それは結果論であって、明確な事業計画があったわけでもなければ、お客様が見えていたわけでもなかった。

ま、何が言いたいかというと。本当にやりたいことをやっていると、なんとか形にはなるということ。もちろん、運の要素は大きのだけれども。

僕自身、家庭の経済エンジンは1つしかない。その上、子供は高校生。2018年に僕が独立したころは、小4で中学受験の準備が始まっていたころだ。要は家計のライフプランの中で、最もお金がかかる時期に、起業という、危うい(?)選択をしている。その時々は、こうやってみると、本当に厳しい時期もあった。特に新型コロナの初期は、「人生詰んだ」と思ってた。

けれども、気づくとなんとか今に至っている。そこに再現性はあるようにも思えないし、科学できるようにも思えないのだけど、VUCAの時代において、「不安定に慣れる」のは大事かな、と思う。

それと。6年かかったし、今はまだ旅の途中だけれども、それでも、6年でここまでくることはできた。家計をシングルエンジンで回さないといけない状況にある中で、だ。

独立したてのころ、チャンスを作ってくれたのは東急でした

そう考えると、企業の新規事業や業界の構造転換って、その気になれば、なんだってできるんじゃないかと思う。もちろん、それぞれに出来ない、あるいは難しい理由はあるのだろうけど、でも、それは言い換えれば、「そこまで必死にやる必要がないから」なんだろう。選択肢が一つしかなければ、あるいは「已むに已まれぬ」熱意があれば、なんとかして「やろう」とするはずだし、それしか選択肢がないわけで。

あと5年、10年が経って、2020年からの数年が社会にどんな意味をもたらすのか、個人的にはとても興味があります。5年後、僕自身も50代に突入しているので、次の風景を楽しみにしながら、2024年を歩もうと思う。

コロナ初期は本当に苦しく、花の写真ばかり撮ってましたw

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