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親友にゲイだとカミングアウトしたときの話 #33

僕は高校2年生のときに自分のセクシャリティがゲイだということに気づきました。
そして高校を卒業するタイミングで自分のセクシャリティを受け入れられる準備ができたような気がします。


大学生になってからはゲイの知り合いができて
身近に同じセクシャリティの人がこんなにもたくさんいたんだということを知りました。


大学生の僕は毎日が新鮮で楽しくて仕方がありませんでした。
しかしその反面で、僕はゲイ以外の人たちとのコミュニケーションに悩んでいました。

大学の僕の友人たちは飲み会の席になると必ずといっていいほど恋バナに花を咲かせたがりました。

僕は恋バナが苦手でした。
下ネタも苦手でした。

うまくその場を取繕おうとすると嘘が増えていくからです。


僕はそんな大好きな友人たちに嘘をつくことが辛かったです。
相手のことを信頼しているからこそ、僕のことを知ってほしいし、受け入れてほしい。
そんな期待したい気持ちもあったように思います。


僕は大学時代に数人の友人にゲイであることをカミングアウトしました。


初めてカミングアウトをした相手は大学のサークルの同期でした。緊張して手が震えたし拒絶されることが怖くて涙が止まらなくて話し始めるまでに時間を要しました。
でも彼女たちは、僕の不安をよそにすんなりと僕のカミングアウトを受け入れてくれました。
そしてカミングアウト後の方が彼女たちとの絆がずっと深まったように感じました。



その体験のおかげで僕は救われました。

僕は、僕のことを誰かに話してもいいんだと、そう思えました。


そして僕は、親友にもカミングアウトをしようと心に決めました。
彼女とは中学校しか被っていなかったのですが
小学校から高校卒業まで同じスイミングスクールに通っていて、そこで仲良くしていた友人でした。

大学も違いましたが、頻繁に二人で遊ぶくらい仲の良い友人でした。

彼女とは、共通の友人も多く
共通の友人たちで集まっての飲み会をよく開催していました。

その飲み会の帰りに僕は彼女にカミングアウトをしました。


その日の飲み会も、僕はたくさん嘘をつきました。
当時の僕は、上手に嘘をつけませんでした。
いつもその場しのぎの嘘しか言えずに、友人たちとの会話に違和感があったり前と違うことを言ってしまってその場を混乱させてしまったり

楽しい飲み会のはずなのに、なんとなく気を抜くことができなくて
ときどき、どっと疲れてしまっている自分がいました。

その日の飲み会もそうでした。
楽しい時間だった反面、しんどい時間でもありました。

そんな飲み会の帰り道。
僕と彼女は帰る方向が同じで、二人で自転車を押しながら帰路についていました。

彼女は僕にとってとても安心感がありました。
勝ち気で負けず嫌いで、芯の強い彼女だけど
たまにどうしようもないくらい弱気で、いつもの知っている彼女とは真逆の彼女が現れることがあって
そんな強い彼女が、僕に弱い部分を見せてくれることがとても嬉しかったし
それがとても信頼できる部分でもありました。

なんとなく、僕は彼女に自分の話をしたくなりました。



「あのさー、俺ずっと隠してたことがあるんやけど言ってもいい」


「なんなんそれ、怖いんやけど。え、なに。怖いけんはよ言って」


「俺、男が好きなんよね。高校生のとき俺の学校の後輩の○○っておったやろ。俺、〇〇に2年間片思いしてた」



僕は高校時代に片思いしていた後輩のことを話しました。
話しているとき、僕は自分でも驚くほど冷静でした。
冷静でしたが、心臓はいつもよりも速く波打っていたように思います。


「え…。」


一瞬の間がありました。



「もっとやばいこと言われるかと思った」



彼女は笑っていました。


彼女の笑顔をみて、僕の心臓の動きはいつも通りの速さに戻りました。


それから彼女からの質問は止まりませんでした。


「いつからなん?」
「みんな知らんの?」
「うちら親友やのになんでもっとはよ言ってくれんかったん?」
「○○のどこが好きやったん?告白はせんかったん?」
「今、好きな人おらんの?」


嬉しかった。


僕は彼女に僕のことを知ってもらえて嬉しかったですし
彼女は僕のことをもっと知ろうとしてくれました。


そして、僕はこれまで辛かったことも話しました。
周囲に嘘をつかないといけない環境が辛いということを話しました。

彼女は、静かに僕の話を聞いてくれました。





彼女にカミングアウトをしてから、友人たちとの飲み会の場が少し楽になりました。

僕のことを知ってくれている彼女がいることで
いつでも味方が近くにいると思えたし
たとえ、他の友達に嘘をつかないといけなかったとしても
この嘘をどうしようもない嘘だと理解してくれている人がいるという事実だけで救われた気がしました。


以上が僕の親友へ初めてカミングアウトしたときの話です。

つくづく僕は人との出会いに恵まれている人生だと思います。

彼女とは当時と変わらず、今でも仲良くさせてもらっています。

これまで、セクシャリティのカミングアウトについての記事を二つ書きました。
それらの記事では、友人たちから受け入れてもらえた体験を書きましたが実際にはうまくいくことばかりではありませんでした。
次回以降の記事で、他のカミングアウトの話を書きたいと思います。

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