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ゲイマッチングアプリ 写真と別人が現れたときの話 #43

20代前半の頃にゲイ専用のマッチングアプリで同年代の人と知り合いました。

当時の僕は西日本の田舎に住んでいました。
僕の住んでいた地域はゲイの人の人口が少なく、同年代で気の合う友人を作るのはなかなかに難しかったです。そんな中で気の合いそうな同年代の友達ができるかもしれないと思うと、心踊るような気持ちだったと思います。

彼は写真の印象ではすらっとしていて背が高い爽やかな青年。年齢よりも少し幼い印象でした。

アプリで数回メッセージを重ねてその人と会うことになりました。家も車で10分くらいの距離だということがわかり、近所に同年代の友達ができることがとても嬉しかったです。


当日、駅の駐車場で待ち合わせをしました。


昼間の田舎の駅。
いつも人通りは少なくて、今日も例外ではなく時々お年寄りがゆっくりと歩道を歩いている光景を目にするくらいでした。
僕は予定時刻より少し早めに到着して彼が来るのを待っていました。

今日はその彼とランチをする予定でした。
事前にいくつかお店の候補を調べていたので、彼を待っている間にもう一度お店を確認したり
彼と合流してからどんな話しをしようかなと今日のこれからの会合に思いを馳せていました。



そして、定刻を数分すぎた頃にボサボサな髪をした背の高い大柄な男性が駅の駐車場の方角からこちらに向かって歩いてきていることに気が付きました。


(え、まさかこの人じゃないよな)


一瞬嫌な予感がしましたが、遠目から見るその人はマッチングアプリでみた彼とは明らかに違っていました。


でも僕の勘違いでなければその人は僕の方向に向かって歩いてきているような感じがしました。



(嘘だろ…?まさかこの人なの?)





(この人じゃありませんように、この人じゃありませんように、この人じゃありませんように)





僕はスマホを触っているふりをしてうつむき加減でその人に視線を向けないようにしていました。
しかしながら、無情にもその人は僕のすぐそばまで近づいてきました。




「ひろトくんだよね?おまたせー」




あ、終わった。


僕が待っていたのはこの人じゃない。


あのアプリ写真の彼を待っていたのに全然違う見た目の人がきた。


彼を待っている間のワクワクしていた時間が嘘みたいに僕の気持ちは一瞬で冷めきっていました。


本当はその場で帰りたかったけど、当時の僕にはそんなことができる度胸はありませんでした。


でも、一秒でも早くこの会合を終わらせたいと思いました。


今回の目的は「ランチ」

最短でこの会合を終わらせるために僕が導きだした方法はファストフード店で食事を済ませることでした。




「全然待ってないよー!お昼ご飯、ハンバーガーが食べたくて近くにモスバーガーがあるからそこにしよう!」



幸いにも駅から歩いて数分のところにモスバーガーがありました。
元々調べていたオシャレなカフェは車で移動しなければならない距離にありました。移動のため乗り合わせて車の中で二人密室になるは避けたかったので駅チカにあったモスバーガーが本当に最適でした。


モスバーガーは大好きでよく利用していましたが
、これほどモスバーガーが近くにあってよかったと感じた経験は後にも先にもないかもしれません。


僕の気持ちが冷めてしまっていたことも助長して
会話はそんなに盛り上がらず、当たり障りのない話だけしてできるだけ食事をはやく済ませて適当な理由をつけて早々と解散しました。


全然違う写真の人物がその場に現れたことがどうしても納得がいかなくて、僕は短い会合の中で写真の件について彼に聞いてみました。


「なんかアプリの写真と印象違かったけど、これって最近の写真なの?」


「この写真は学生のときの写真だから6年前くらいの写真だよ。いい写真がないからこの写真にしてるんよ」


「え、そんな前の写真なの?それはさすがに古すぎじゃない?最初、全然アプリの人だってわからなかったよ」


「でも写真がないからさー。しょうがないよね」


彼の言い分はこんな感じでした。
その会合のあとも彼から何度も誘いの連絡がありましたが僕は何かしら理由をつけてそれらをやんわりと断り続けました。

家が近所だということが分かっていたため
どこかで会うかもしれないと思うとあまりぞんざいには扱えないと思い一応やりとりは続けていましたが一年ほど経ったころに彼からの連絡は途切れました。


客観的にみたら僕の対応は酷く感じるかもしれません。不誠実にみえるかもしれません。
田舎特有の人間関係の狭さや難しさもあって、彼のことをブロックしてバッサリと関係を経つということもし辛い状況でした。


マッチングアプリで写真と違う人物が現れることは、あるあるなんでしょうか。
厳密に言うと今回の彼は、自分の写真をつかっていたので写真と違う人物という表現は適切ではないのかもしれませんが
しかし、全く写真と印象が異なる5年も6年も前の写真を使用している時点で今の自分とは異なる人と言われてしまってもしょうがないと思ってしまいます。


僕の価値観では、そういう人とは仲良くし辛いと思ってしまいました。
彼に僕を騙す意図はなかったのかもしれませんが、僕は不誠実な対応をされたように感じてしまいました。

最初の出会いの段階で、第一印象で不誠実な印象の彼を
僕の友人として迎え入れて、これから関係性を深めていきたいという気持ちにはなれませんでした。

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