「源氏物語」、手習と内言
1-1 『源氏物語』と仮名書
1-1-1 『源氏物語』と書
『紫式部日記』の寛弘5(1008)年の項に藤原公任が「この辺りに若紫や候ふ」と式部に戯れる場面があり、また彰子のもとで書写作業が始められているから、『源氏物語』が宮中で広く読まれていたことがわかる。
物語の時代設定は「古今和歌集」を編纂させた醍醐天皇・村上天皇の御代、10世紀初頭とされる。
当時、すでに平仮名が書かれ始めていた。その後、平仮名の表現が完成・洗練されていった時代とぴったりと同時代であったとはいえないにし