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がんと『運』その3

つらい副作用に耐えて抗がん剤治療を受けたのに、全く効果がなかったら・・・
「がっかり」を通り越して「怒り」になってしまい、その怒りの矛先を担当医へぶつけてくる人もしばしばいらっしゃいます。
それをきっかけに、担当医との関係まで悪化してしまい、その後の治療にまで影響してしまう・・
なんてことまで連鎖的に起こってしまいかねません。
抗がん剤治療が効く効かないに、『運』の要素が大きく関与するのであれば、『運』を良くするためにできることは何かを考えてきました。
3回目の今回もどうぞよろしくお願いいたします。

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▼おさらい
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『運』の方程式とは
幸運=(行動×多様+察知)×回復
とのことでした。
変数は、「行動」「多様」「察知」「回復」の4つです。
前回、「行動」と「多様」に関して、がん治療の現場でどのようにしていけば良さそうか、考えてみました。
今回は、残りの二つの変数、「察知」と「回復」について考えていきたいと思います。
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▼察知
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「察知」とは、自分にチャンスが回ってきた時に、きちんとそのことに気がつく能力です。
「宝くじを買ったのに、当選番号を確認していなかった」ということに、心当たりありませんか?
「どうせ当たっているわけないし・・・」とか
宝くじの換金の期限(時効)は1年らしいので、1年経つと当選クジを持っていても換金できなくなってしまうようです。
そして、令和3年の宝くじで1億円以上当選していたにもかかわらず、換金されず時効を迎えたものが何と15本もあるとのこと。
こんな大きな残念まで行かずとも、知人からのアドバイスをスルーしてしまい、後になって「あの時アドバイスに従っておけば良かった・・・」なんて言うのはしょっちゅうあります。
折角、「行動」「多様」でチャンスを増やしてみたところで、そのチャンス(「運」が回ってきたこと)に気がつけず、スルーしてしまえば元も子もありません。
自分の周りで起こった小さな変化に気がつくスキルである「察知」は、とっても重要です。
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▼抗がん剤治療における「察知」
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さて、抗がん剤治療において「察知」はどこでどのように大切なのでしょうか?
一つ目は、抗がん剤の効果に関してです。
抗がん剤開始前にあった痛みや症状が、治療開始後から軽くなったり、頻度が低下したり。抗がん剤治療の効果がでてきている兆候と思ってよいでしょうが、患者さんの自覚症状なので、担当医にはとてもわかりにくいです。
その痛みや症状が小さければ小さいほど、他人にはわかりにくく、自分でも気をつけて感じていないと判断できないことでしょう。
腫瘍マーカーを含めた血液検査も、色々なことで上下に変動しますから、それだけでは効いているかどうかわからないので、結局数ヶ月後のCTで判断されることが多いと思います。
つまり、抗がん剤治療が効いているかどうかについては、担当医よりも患者さん自身の方が先に気がつけるということです。
効果が実感できていれば、少し副作用きつくても、頑張る理由になることでしょう。
担当医から、「副作用もつらそうなので、別の治療に変更しませんか?」という提案がもしあったとしても、効果の実感があれば「いや。もう少し続けてみてください!」と自信を持って返事をすることが可能になります。
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▼抗がん剤治療における「察知」その2
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「察知」が大切な二つ目の場面は「副作用」です。
副作用の中には、血液検査でわかる副作用と血液検査ではわからない副作用があります。
血液検査でわかる副作用、例えば「白血球(好中球)数減少」は、患者さん自身には自覚症状がなく、数が減っていることに自分で気がつくことは難しいです。
白血球数減少ような自覚症状が全くない副作用に気がつけるようにしましょうというつもりはサラサラありません。
また白血球(好中球)数が減少することが、直ちに悪いことであると言うことでもありませんが、白血球(好中球)数が減少すると、細菌感染症にかかるリスクが上昇しますので、この感染症への対応に注意が必要です。
好中球数減少時の感染症は多くの場合、高熱を伴うため、「熱が出たので」と予定外受診され、血液検査で白血球(好中球)数減少が判明し、いわゆる発熱性好中球減少症と診断されます。
しかし、がんによる痛み等のため定期的に解熱鎮痛剤(NSAIDs)を副作用している方だと、NSAIDsの解熱作用の結果、発熱が抑えられてしまい、高熱にならなかったり、ポッと熱が出てもすぐに下がったため大丈夫だろうと判断してしまいがちです。そのまま数日、「何となく体調が思わしくない」「微熱があるけどなぜだろう?」と経過しているうちに感染症が悪化し、いよいよ「どうも様子がおかしい」と病院に来た時点で、かなり重症な感染症に至ってしまっていることが時々あります。
発熱性好中球減少症は、軽症(低リスク)であれば、内服の抗生物質で治療可能な場合も多いですが、重症になると時に命に関わることもあります。そこまでではなくても、数週間の入院が必要になったり、身体へのダメージから体力が低下してしまい、抗がん剤治療の再開が中々できなかったりしてしまう例も散見されます。
白血球(好中球)数の減少自体に気がつくこと(「察知」)ができなくても、感染症によるわずかな体調変化、つまり「いつもの副作用とは少し違うぞ」とか「熱はないけど、何だかおかしいぞ」とか「風邪にしては、ちょっと症状が強いかもなぁ~」という、「普段と違う事が起こっているかも?」という変化に気がつけると良いです。
もし病院にいって「ただの風邪でしょう」と言われたとしても、「ああ、勘違いで良かった」というだけですので、重症になってから見つかるより断然良いわけです。

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▼その4に続きます・・・
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『運の方程式』の「察知」と「回復」に関してお話しするつもりでしたが、思いのほか「察知」についてお伝えしたいことが多くて・・・
長くなってしまったので、今回もまたいったんこの辺で終わりにしたいと思います。

『運の方程式』の残りの変数は「回復」を残すのみ。
次回もまた詳しく考えていきましょう。

ブログの更新が遅いから待ってられないよ~~という方や
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今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回もどうぞよろしくお願いいたします。

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