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あんバターサンドから学ぶ、コミュニケーションの極意

「羨ましいな〜。
あんな風に会話したいな〜」

スタバで並んでいると
前のお客さんたちは、
店員のお兄さんやお姉さんと
にこやかに話しながら
楽しんで注文している。

話しかける勇気がない
私にとっては
とても憧れる光景だ。

大人になってから
行きつけのバーやお店の
常連さんになって
みんなで話し合える
秘密基地みたいな所が
1つや2つ欲しい。

最近は外食する機会も
グッと少なくなってきて
もはや叶わなくなりつつある。

そんな中、
HさんのFacebookの
投稿で知ったのだが、
スタバで
あんバターサンドなるものが
あることを知った。

「まじか? 
日本あんこ協会の
あんバサダーとしては、
食べておきたい。
今度のあんこ夜会で
話のネタになるかもな」

そう思って
小倉駅のスタバへ行くと
ショーケースの中には
あんバターサンドがあった。

ドーナツや
チョコチャンククッキーも
魅力的だし
どれもこれも
1つ1つが
宝石のように輝いている。

見ているだけでどんな味なのか、
食べたらテンションやエネルギーが
上がっていく。

しかし、
あんバターサンドを話題に
どうやって
店員さんと会話したらいいか、
私には想像がつかない。

話しかけたとして
会話をどうやって
盛り上げたらいいか、
自信も全くない。

いきなりあんバターサンドの
気になる所を話しても
変な人だな、
と思われはしないだろうか?

色々考えているうちに
私の注文の番になってしまった。

「いらっしゃいませ、ご注文は?」
とにこやかに聞かれるが、

「あんバターサンド1つと、
アイスコーヒーのショート1つ下さい。
ここで食べていきます」

というのが精一杯。

お金を現金で支払い、
お釣りを受け取る。

ベルトコンベヤーの様に
淡々とレジは進み

「ごゆっくりどうぞ」と
言われて終わってしまった。

テーブル席に座り
あんバターサンドを観察する。

あんこはこしあんの様だが、
粒あんも入っている。

ハイブリッドあんことも言うべきか。

パンの真ん中にはバターがあり、
その両脇を
ガッチリとあんこが固めている。

見れば見るほど、
なんてエネルギーの高まる
食べ物なんだろう。

あんこという一本の木の幹から
枝分かれする様に
色々な食べ方組み合わせがある。

パンに塗る、
アイスにかけて食べる、
最近覚えたのは、
スコッチウイスキーの
「ジョニーウォーカー黒ラベル」と
組み合わせて一緒に味わう。

バターはバターで肉にも
野菜の炒め物にも合う。
レーズンバターと
ウイスキーの組み合わせも
最高の組み合わせじゃないか。

なんて思いながら
食べるのが惜しくなってくるが
早く食べないと会社に遅れる。

食べるとやはり美味しかった。

パンの生地もいい。
あんこの甘さと
コーヒーの苦味の組み合わせもいい。

スピードスケート選手の様に
右手と左手を交互に動かして
あっという間に味わってしまった。

結局店員さんとは会話しなかったが、
もう1人の自分と会話しながら
あんバターサンドの美味しかったことは
しっかりと確認できたのでよかった。

とても気に入ったので、
次の日も、その次の日も
スタバに行って
やはりあんバターサンドを楽しんだ。

しかし、
1つ気になるニュースを見てしまった。

このあんバターサンドは
期間限定の商品じゃないのか?
という記事だった。

確かに今まで見なかったし、
いつ販売が終わっても
おかしくはない。

でもとても困る。
いつまでも販売してほしい。

甘いものが欲しくなった時には、
このあんバターサンドを食べたい。

食べて私の動くエネルギーになるし
何より人生の楽しみが
格段に増えているのだ。

居ても立ってもいられなくなり、
とうとう意を決して
スタバの店員さんに聞いた。

「このあんバターサンドって
いつまでやっているんですか?」

そこには、かつての私ではない
あんこを世界平和のために広めたい
という使命を持った
あんバサダーとしての私だった。

「そうですね〜、いつ終わるかは
私たちも聞いていないですね。
でも今月終わるとは聞いていませんし、
人気があれば続くかもしれませんよ。
他の商品もそうやって
続いているものもありますしね」

店員さんが答えてくれてホッとして、

「あ〜良かったです。
じゃあ、あんバターサンドの
おすすめの食べ方ってありますか?」
と聞いた。

「そうですね、有料になりますが
ホイップクリームはどうですか?
甘いもの好きな方が
そうされていましたよ」

「じゃあ、お願いします」と
早速頼んで食べた。
食べてみると美味しかった。

これは他のものも試してみたいと
次の日も聞いてみた。
店員さんは昨日と同じ方だ。

「昨日のホイップクリーム
美味しかったです。
他にはありますかね」

「そうですね、
無料のチョコレートソースかけか、
キャラメルソースかけはどうです?」

もう迷うことなく、
チョコレートソースかけを頼んだ。

どれもこれも
おすすめされるのは当たりだ。

まるで神社のおみくじが
全て大吉のように
店員さんからのおすすめは
テンションやエネルギーが
上がるものなのだ。

一通り試せて満足して
今日もあんバターサンドを頼む。

「今日はホイップクリーム
なしですか?」
と言ってくれた。

「はい、今日はこれだけで」
と答えた。

気が付けば私は
店員さんと話ができていた。

いつの間にか
コミニュケーションが取れている。

以前並んでいた人みたいに
会話しているじゃないか!

店員さんと私という歯車を、
あんバターサンドが
潤滑油の役割を果たして
スムーズに会話をさせてくれたのだ。

会話をするのは
相手との共通点があれば
話は弾んでくるのだ。

話しかけづらいというのは
私の単なる幻想だったのだ。
もうこれで話すのも怖くない。

そうやってスタバに
通うようになったある日、

Facebookから
「最近の出来事から
過去の思い出まで、
Facebookでの思い出の数々を
振り返ってシェアしてみよう」
とメッセージが出た。

するとそこには
あんバターサンドの
写真が載っていた。

そうか、あれから
もう1年経ったのか。

そう思うと自然とスタバへ向かい、
今日もあんバターサンドと
アイスコーヒーショートを頼んでいた。


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