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Little Glee Monster『恋人たちのクリスマス』に見るサウンドハーモニーの完成度

ずいぶん遅くなったのですが、年末に行われた「MステSUPER LIVE 2023」のリトグリのパフォーマンスが非常に印象に残ったので、もう一度、拝見し直しました。
ひとことで言うなら、新しいリトグリサウンドが完成された、という印象を持ちます。
私が彼女達を買っているのは、女性の本格派ボーカルグループというものが日本の音楽界では、彼女達以外に見当たらないからです。
男性のボーカルサウンドグループというものは、古くはダークダックスやボニージャックスなど、いくつか存在していましたが、今ではゴスペラーズが辛うじて存在しているという程度というのが日本の現状なのです。

私は私自身が音大の声楽出身で、中学生でコーラス部に入り、その後もずっとソロの勉強とハーモニーの勉強を重ねて来ました。プロのアンサンブルボーカルグループのメンバーになり、歌の仕事をしてきたことや、私自身が低音部パートを担当してきた経験から、ハーモニーの構築というものに何が重要なのか、サウンドを構成するのにキーポイントになるものは何なのか、ということを十分理解してきたつもりです。
数年前にクラシック畑から現職に就いた時、さまざまなアーティストの歌を拝見する中で、リトグリの存在が目を引きました。
若い女性の本格的サウンドボーカルグループというものが非常に珍しいと思ったからです。
それから、彼女達のアルバムや番組、ライブと、機会があれば、拝見してきました。
出版社の連載のタイトルに彼女達のサウンドを「立体的多重構造」と名づけたのも、彼女達のサウンドがまさにそのようなハーモニーだったからです。


メンバーが新しくなって、昨年1月に新メンバーのお披露目とも言えるライブを大阪で拝見した時には、はっきり言って、彼女達が今後、どの方向性に進んでいくのかということが気になりましたが、このところの彼女達の楽曲を聴くと、サウンドボーカルという本道をしっかり歩んでいるように感じます。

日本で唯一と言っていいほどのリトグリの魅力を文章にして伝えることも、評論家としての大切な仕事の1つだと思っています。
今回の記事は、彼女達のサウンドが結成当時に比べて、どの点がどのように異なるのかについて書いてみました。


的確なパート割りによるフルサウンド

今回の楽曲の歌い出しは、miyou.
彼女の歌を受けての2番目は、かれん。

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