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日記 世界堂で買ったものたちを紹介したい

おじさんだよ。

今までは、ボールペンでイラストばかり描いていましたが、最近は油絵をずっと描いてます。
本当に、油絵描くのなんか久しぶりで…
道具が足りなくなっては電車片道15分の世界堂に走り、帰ってきてはまた別の道具が足りないことに気づき。
アトリエの真横に世界堂があった大学時代の幸せを噛み締めるばかりです。

本当に、今なら当時の自分をぶん殴るのですが。
大学卒業時、「多分もう二度と油絵やらんから」って言って、友達たちに油絵の道具を8割ほどあげてしまったんですね。
アトリエの前のベンチに道具を広げて、通る友達に筆だのハケだの一本2000円の高級絵の具だの何だの、タダで押し付けて卒業しちゃったんです。
今思うと本当に恥ずかしい自暴自棄ぶりです。
世界堂の絵の具を眺めながら、「今から頼んだらオーレリオン返してくんねえかな…」と頭を抱え、オーレリオンの価格を眺め、今回は買うのをやめよう…とすごすご帰るのをもう数回はやってます。

という経緯があり、とにかく、筆が、絵の具が、足りない。今日も世界堂に行ってきたので、買ったものたちを紹介します。

まあ、前回に油絵の道具の話をしたので、その延長線みたいな感じで。
ゆるっと、油絵の道具にどういうものがあるかを、前回より少しマニアックな話を混ぜながらお話ししたいなと思います。

今日買い足したものはこちら。

総額6000円ほどの買い物になりました。


まずは筆系。

極細の筆を購入しました。この手の筆はちょっと洗うのをサボるとすぐダメになってしまうので(しかも筆の中だとまあまあ高級)、管理に気をつけて使っていきたいですね。

元々、ボールペンのイラストとかは、このぐらい細いタッチを重ねて描いていたので。これと同じことを油絵でやりたいと思い、やけくそ気味に一番細い筆を買いました。
油絵でやる細線って、多くの場合は平筆を立ててスッと引くか、それでも足りなければその上からさらに背景色を塗り重ねて、「細い線をわざと塗り残す」ことで表現します。

ただ、それでもさすがにボールペンの線には敵わないので。こうして買ってきた次第。
これでも駄目ならもう絵に直接ボールペンで書き込むことにしようと思います。


次、ハケ。

多分日本画用。豚毛とは違って柔らかい筆です。

柔らかいハケは、下塗り用よりは、上重ねに優しく使うイメージです。もちろん下塗りに使ってもいいけど。
ハケはぶっちゃけ、デカければデカいほど便利と思うよ。

ガッチガチになってしまった。

今まで使っていた柔毛のハケが管理の甘さで豚毛並みに硬くなってしまい使い物にならなくなった為新調しました。
皆様もお気をつけください。ハケって本当にすぐ死んでしまうんです…


次に、油を買い足しました。
前回のnoteで偉そうに「おじさんは殆どテレピン一本で描いています」とか言ってますけど、あんまり真似しない方がいいですよ。
おじさんがテレピン一本で描いてるのは、別にこだわりでも何でもなく、ただ安いオイルでサボっているだけですから。

オイルは大きく、乾性油と揮発性油の2種類に分けられます。
役割の違うこの2種類の油を、絵のタッチや進行具合に合わせて考え、混ぜ合わせながら使うのが基本です。
どのオイルが乾性なのか…とかは、ボトルに分かりやすく書いてありますから、ご安心を。
(前回お話ししたペインティングオイルは、乾性油と揮発性油が丁度いい具合にブレンドしてあるオイルです。)

簡単に説明すると、乾性油は油絵具とキャンバスをしっかりとつなぎ固める役割を持ちます。
揮発性油は、油絵具を緩め、かつ揮発して乾きやすくする役割を持ちます。
なので乾性油はドロッとして乾きにくいことが多く、揮発性油はサラサラとして、独特の臭い匂いがすることが多いですね。

今回買い足したリンシードは、乾性油の代表格みたいなものですね。先述したペインティングオイルは、リンシードが多く配合されています。
THE 油絵、といった感じのねっとりしたオイルで特筆することもないくらいなのですが、サラサラの揮発性油と違って、ちょっと管理を怠るとキャップが固まって開かなくなりますから、それだけは注意。

油絵具のキャップもよく固まって開かなくなったりしますが、一度固まったくらいならキャップの根本をライターで炙れば1発で開きますよ。
ただ多くのキャップはただのプラスチックなので、炙りすぎると溶けます。
気付かず開けようとして火傷することもありますから、お気をつけてくださいね。


あともう一つ買ったのが、ラベンダーオイル。
初めてテレピン以外の揮発性油を買いました。
文字通りラベンダーのオイルなので、蓋を開けると大変良い匂いがします。

乾性油の代表がリンシードなら、揮発性油の代表はテレピンなのですが、テレピンってまあ匂いがきつい。
そこに少し混ぜ込んであげると、独特の揮発臭がかなり抑えられるそうです。

それに加えて、テレピンよりゆるやかに揮発するのがラベンダーオイル。
なので、ぼかしの表現等にめっぽう強い…らしいです。
まあ面白いなあと思って興味本位で買ってみました。


あとは、紙パレット。
長らくチラシ紙や段ボールでパレットを済ませていましたが、引越して前よりチラシの量が減ったのと、部屋を汚したくない一心で購入。
木のパレットよりやっぱりこっち派ですね。
ツルツルした紙がメモ帳のように重なっているので、使い終わったら破り捨てて、新しいページを使います。


あとは、色画用紙を数枚購入しました。
世界堂に行く前に図書館に寄ったのですが、久しぶりに技法書を読みまして。
色彩感覚のトレーニングとして、色画用紙にクレヨンでドローイングを行うと良い、と書いてありました。
ちょっと楽しそう、と思い、久しぶりに世界堂で紙を買いました。
(ラベンダーオイルも、その技法書で勧められていたから買ったのです)

絵画をやっている叔母さんから以前こんな立派なクレヨンセットを譲っていただいたのですが、殆ど使っておらず。
ちょっと勿体無いなと思っていたので、良い機会ですね。
クレヨンが、手軽な画材の中だと一番油絵に感覚が近いと思います。
油絵具を揃える敷居が高いなー、と思うなら、クレヨン画をやってみると雰囲気は楽しめるかと思いますよ。


あとは、おまけに。
前回新しく買った絵の具たちを、実際使ってみた感想を織り交ぜながら数個ご紹介したいなと思います。
まあ混色の好みなんて人それぞれですから、雑談程度に読んでくださいな。

まずはクサカベのウルトラマリンライト。
おじさんが一番よく使うブルーです。
ライト、と名がついてはいますが、通常のウルトラマリンよりも暗く、こっくりした深いブルーです。
暗いカラーなのでより深みを持たせようとダークな混色を選びがちなのですが、個人的にはホワイトを混ぜ込む方が好きです。
ほんのちょっとシルバーホワイトを混ぜ込むと、それだけで鮮やかに目を惹くブルーに化けてくれるんですね、こいつ。

暗く深い色調を…という時に、わざと少しホワイトを入れてみてほしいんです。
白?って思うかもしれませんが、素がぐっと暗いカラーなので少し白を混ぜたくらいではパステルカラーにはなりません。
というか、ホワイトを混ぜようが綺麗なパステルには絶対なれない無骨な絵の具、というイメージかも。
白を入れると明るいどころか、むしろ深さがより際立ちます。おじさんは好きです。



パーマネントイエローディープ。
財布と相談し諦め続けているオーレリオンの代用で買いました。
肌色を作るのに使っていますが、やっぱりオーレリオンがいいなあ…と思いながら使ってます。ごめんね。

黄系は大体そんなものかとは思うんですが、やっぱり、この子は色の強さがないので、扱いが難しいです。ちょっと混ざるとすぐ色が消えてしまう。次は別のもう少し強そうな黄を買います。

黄と青の絵って結構あるし、王道カラーの組み合わせって感じがするんですけど。
こと油絵においては非常に扱いが難しいなと痛感しました。

油絵は乾くのが遅いので、うっかりキャンバス上で別の場所の色が混色してしまう事故が多発する。
そんな風に以前お話ししたと思いますが。
弱い黄と青を乾かないまま一緒に扱うと、キャンバス上に勝手に緑が生まれてしまうんですよね。
ゴッホの星月夜なんか見てみてください。繊細な青と黄の画面に、緑ってあんまり無いでしょう?
あれが綺麗なのって、青と白と黄のマリアージュなんですよ。青と黄がきっちり分かれて、その間を白がつないでくれてるから、綺麗なんです、あれ。

青と黄の間に、半端にそれらが混色した緑が立ち塞がると、いきなりケバい印象を産んでしまいます。
しかも、オレンジがかった弱い黄なら尚更、事故を起こしやすい。
とにかく青が乾くのを待って黄を入れる。同時進行はしない…と細心の注意を必要に狭られ、絶賛ため息をついてる最中です。

それが狙いならもちろんそれでいいんだけど、個人的にはあんまり好きじゃないです。
この子はもうちょっと別の絵の時に上手い使い方を考えてあげようかな、と思います。


ローズマダー。
おじさんの大好き絵の具その2。
ちょっと個性的な赤です。
結構一本で完成されている絵の具なので、そこまで混色にこだわらなくても使えるのが好きですね。
かといって、赤みを入れたい混色に使えないほど尖っているわけでもなく、汎用性の高さが便利。
あと、この子も、メーカーによってちょっと色味が違うタイプだった気がします。買うならマツダスーパーのがおすすめです。以前買った別メーカーのローズマダーがちょっと色味が違った気がするだけなので、うろ覚えで申し訳ないです。


ジンクホワイト。
前回新導入した絵の具で一番感動したすごいやつです。これはリピ確定。

長らくホワイトはシルバーホワイト一本でやってたんですけど、こうも違うかと驚きました。
いや、チタニウムホワイトに散々泣かされたからわかっちゃいたんですが、ホワイトってめちゃくちゃ個性強いですね。

シルバーホワイトは汎用性の高い、どこでも大体使えるホワイト。
チタニウムホワイトは、色が強いのでちょっと混色するとすぐ絵の具が真っ白になってしまい扱いが難しいが、強さ故にハイライトなんかに使うと抜群のホワイト。
…と例えるなら、ジンクホワイトは、チタニウムホワイトの真逆。とにかく弱く繊細なホワイトです。

上がジンクホワイト、下がシルバーホワイト。

まず絵の具の硬さを見比べてほしいのですが。
シルバーホワイトに比べて、ジンクホワイトってめちゃくちゃ柔らかいです。
そして、びっくりするくらい白が透明です。チューブ直塗りでも下の色が分かるくらい。
この透明感は、薄めたシルバーホワイトでも中々出せないなあ、と驚きました。
絵の仕上げに質感を足すために使ってあげれば、抜群のしっとり感を出してくれます。

ただ、当然ながら、通常の混色には不向きです。混ぜても役割はあんまり果たせません。
他のホワイトと併用前提の尖ったホワイトですが、おじさんは、まあ、気に入りました。


こんな感じでしょうか。
やはり道具ひとつ、技法ひとつ、全てが探究、探究の世界だなと痛感させられます。
やはり、楽しいです。

新しい技法や道具を探究するのは楽しいし、インスピレーションを求めてさまざまな絵を鑑賞するのも楽しい。
題材を探すと、自然と世界へのアンテナが張り巡らされるようになり、それ自体もまた嬉しい。

そして、それらが自分の手でうまく形になることはきっともっと楽しいのです。
その為に頑張ろう、と思えるんですよね。

そんな感じで、おじさんでした。
読んでいただき、ありがとうございました。

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