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リリーとサムとサリー


 

昔々、芸術と魔法が交わる世界に、サムとサリーという名前のハサミがいました。
彼らは、シュールな絵画の中にある、色と形の万華鏡に囲まれた、居心地の良い小さなテーブルに住んでいました。

サムとサリーは普通のハサミではありませんでした。
彼らには特別な力がありました。それは、厚い紙からふわふわの雲まで、何でも切り裂くことができるという力です。でも彼らは、服や紙を切るようなありふれたことには決してその力を使いませんでした。
いや、彼らはその力を使って、風に舞い踊る美しく空想的な生き物を創り出していました。

ある日、好奇心旺盛な少女リリーがサムとサリーのテーブルにたどり着きました。
彼女はシュールな世界を探検していて、目にした不思議なものに驚嘆していました。
彼女がハサミを見つめていると、それらがただの物ではなく、生きていることに気づきました!

サムとサリーはリリーに会えて嬉しくて、彼らの魔法の力について教えてあげました。彼らは空気を切り裂いて渦巻く模様を作り出すことができることを見せてくれました。
それはジョアン・ミロの絵画のようなものでした。リリーは魅了されて、その力を使う方法を教えてくれるよう頼みました。

サムとサリーは快く引き受けて、その日の残りの時間をリリーに空気を切り裂いて自分だけの空想的な生き物を作る方法を教えました。
太陽が沈むとき、彼らはリリーの創作物が飛び立ち、マックス・エルンストの絵画のような鳥たちとして空を舞い回るのを見ました。

それからというもの、リリーとサムとサリーは親友になり、シュールな世界を一緒に探検しながら夢にも思わなかった素晴らしいものを創り出しました。
そしてリリーがテーブルに置かれたハサミを見るたびに、それらがただの物ではなく、友達であり、自分の心が望むものなら何でも創り出す力を持っていることを知っていました。 END

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