ムダな会議で 多忙になり 大切な事が見えない悲劇~地方議員は無給が世界の常識vs日本の議員は質が悪く、高給

 今年は参院選、地方統一選がある選挙の年。 
どんな議員を「選ぶ・落とす」べきか?

 その基準を導く為に、地方議員の実態&あるべき姿を示す。 
考察は次の2点。

1 地方議員へ研修の講師を務めた時の体験談から実態&教訓を示す。
2 地方議員の国際比較を行い、以下の結論を導いた。

結論: 地方議員は無給が世界の常識 vs 日本の議員は質が悪いが、高給

1 地方議員へ研修の講師を務めた時の体験から教訓

研修後、ある議員が講師の私へ「研修内容を一言で要約してくれ」と言う。理由を聞くと、議員は次のように話す。

「公費で研修・視察に参加したら、報告の義務があり、いつもは随行の公務員に書かせる。でも今日は随行が居ないので、自分で書くが、そんな時間は無い」

私は「そんな時間こそ大切。そんな大切な時間を確保しない貴方は普段、何してるの?」と怒りを抑えつつ問うた。 議員は怒り、次のように話す。

「私は政党の会議・連絡で忙しいんだ。講演の話を要約してくれ」

 議員は、党利党略(政党)の為に忙しく、本来なら大切にすべき事を軽視・侮蔑している。
 この話は、多くの教訓を見いだせるが、次に注目したい。

教訓 【ムダな会議・連絡で、多忙になり、大切な事が見えない悲劇】

 あなたは、この議員を嗤えますか? この悲劇は、
議員が行うと「公務員など周囲の人を疲弊、地域を衰退」させる。
公務員・会社員が行っても「部下など周囲の人を疲弊させる、法令を犯す」。
役所・企業で法令違反が多発する原因は、これが大きいと思う。


2 日本の議員は質が悪いが、高給とりvs海外は無給


 地方議員は「無給で地域の為に兼業で務める」のが世界の常識・良識。
一方、日本では「自分の生活・名誉の為に、高給だから」議員になりたがる輩が多い。

 海外先進国の地方議員は「地域を愛する市民が、無給で地域の為に兼業で務める」事実を、総務省の資料「諸外国における地方自治体の議会制度」 で検証しよう。

 同資料6頁は、欧州5国と韓国の計6カ国で、地方議員は無給で働く実態を強調している。(韓国は2003年から報酬を出しているが、それで地方自治が良くなったという話は聞かない)

 無給で地域の為に兼業で務める「欧州の議員は、志が高い」市民だけが立候補するので、研修の講師へ「研修内容を一言で要約してくれ」と言うバカな議員は欧州にはいない。

 要は、地方議員の「志の高さ、質の良さ」が、入口(立候補)時点で担保されている。この仕組みは、無給で働く「志の高い地方議員」を、市民が尊敬する好循環を生む。

 日本も戦前は無給だったのに、日本は欧州のマネばかりするのに、
なぜ「地方議員は無給で働く欧州の常識・良識」はマネしないのか? 
 
 制度を決める議員たちが、自分の為に、そうしたくないのだろう。 
解決策は、地方議員は「無給で地域の為に兼業で務める」世界の常識・良識を採用し、地方議員の「志の高さ、質の良さ」を、入口(立候補)時点で担保する事!

地方議員の報酬=年収 2000万円以上って、異常すぎる

 地方議員は一体、どれくらい高い報酬(年収)を貰っているのか?
wikipedia 議員報酬 に名古屋市議の報酬(年収)が次のように記載される。

 名古屋市議の報酬(年収)は 議長2480万円、 副議長2255万円、
議員2120万円。
河村たかし名古屋市長は、議員報酬の削減を掲げて 名古屋市議会と対立している。

 欧州の地方議員が無給で務める理由の一つに、年間稼働日数の少なさがある。 日本の地方議会は年間稼働日数平均38.8日で、名古屋市議の報酬を日給換算すると、なんと55万円!

ちなみに、国会議員の所得は 平均 2281万円 (日経新聞14/6/30) である。
地方議員の報酬額は「欧州は無給」という海外比較は行わず、
「国会議員と比較して、同じ水準であるべき」と考えているのだろう。

 比較の対象を、自分に都合よく意図的に改竄する手口は、昨今の統計不正と同じ穴の狢!


   このテーマでの連載を以下でご覧いただけます。


1話 成功例を、縦割主義で定義・美化するから、読者は失敗する

2話 歴史を書き換える出版で、シビックプライドを創造→移住者が増加

3話 金/予算が無いなら、協働のプル戦略~努力しても成功できない原因

4話 地方が衰退する原因は弱いくせに、競争するから~競わない地方創生

5話 個性を磨け~ありきたりな政策は供給過多で、価格競争/デフレに陥る

6話  連携ありきで無節操に人を集める失敗~連携/恋愛は1本釣りで成功 

7話 顧客目線とは顧客を絞る事~嫌われる勇気を持つと顧客目線になれる

8話 売上増加より、コスト削減に、予算を使え~代理店へ丸投げ多すぎ

9話 地域おこし協力隊の採用/活用5分類~人を使い捨てるブラック自治体

10話 役所の広報予算は 1/10に抑制できる~役所は広告代理店のカモ

11話 役所の 婚活パーティが酷い~政策と情報発信を改革する公務員研修録

12話 ゆるキャラ使い、重い結論を、軽い言葉で依頼するな~公務員研修録

13話 政策を考える前提~研修は同じでも環境が正反対なら、成果も正反対

14話 公務員は博打好き~成功確率1%で、いきなり多額投資の政策は博打

15話 帰納法で創造力と個性を高める~演繹法は皆が同じ(無個性)になる

16話 政策立案ノウハウ全公開~成功例だけ紹介→真似するから地方は衰退

17話 「裏が見えない=表面だけ視る」から失敗する~質問力を高める方法

18話 論理偏重は信頼されない~感情と論理の調和で、信頼される公務員に

19話 人材育成(研修)の基本~今は大物の恩師は新人の私をこう指導した

20話 創造的&貢献的な仕事だけが残る~役所仕事と裁量仕事は消滅

21話 地域資源がPRしても「埋もれる、顧客に伝わらない」訳と解決策

22話 オール与党化の地方自治・議会は、学習と改革を放棄して腐敗

23話 農業や観光をブラック産業にする地方(ブラック自治体)は衰退

24話 箱物(ハード)を集客を高める鍵は、ソフトの切り口

25話 個性あるブランド都市vsミニ東京化で個性を喪失して衰退する都市

26話 役所の仕事をした「ふり、アリバイ作り」が地方衰退の元凶

27話 人口減少策に成功した海士町と下諏訪町の共通項~連携、市民主役

28話 成功者は育てる~成功者に惹かれて、起業者・移住者が地方に集まる

29話 コニュニティの「しがらみ」を価値に変える~久繁哲之介の講演録

30話 地方創生は顧客価値の創造~顧客の声は面倒だから無視して商店街消滅

31話 できない理由・批判されそうな事を先に探して失敗する地方創生の真実

32話 地域ブランドと、ぼったくりは紙一重~ぼったくりでないブランド化

33話 市町村合併で、個性を無くして、地方は更に衰退

34話 お上が認める表彰・計画だから、地方と人を骨抜きにする

35話 人口誘致も、NHK大河ドラマ誘致も、手段が目的化して失敗

36話 定住志向だから失敗~2地域居住など利用志向の地方は成功

37話 空き家と地方衰退は、シェアリングエコノミーで解決

38話 人口減少政策の間違いが、空き家急増や街中衰退を加速

39話 郷に入れば郷に従えは人が流出→人口減少vsダイバーシティで人口増

40話 仕事の引継ぎは、前例と方法でなく、目的と価値を伝え価値を高める

41話 内定辞退率63%のブラック自治体に見る、マザコン公務員

42話 関係人口⇔交流人口⇔定住人口の質量で、政策を創る~商店街再生1

43話 車&ネットは、まちと人を変え、関係人口も変える~商店街再生2

44話 失敗は「良いvs悪い」失敗と「自責vs他責」に分ける~商店街再生3

45話 皆が自分の為だけの消費に走り、地方・商店街は衰退~商店街再生4

46話 子育て政策も商店街政策も、公私連携な働き方で成功~商店街再生5

47話 久繁哲之介の経営指導で再生・成長した商店~商店街再生6

48話 地方創生は個性の創造が必要~地方は閉鎖的・つまらないから衰退

49話 自由裁量が高い町で、移住者が急増~自分探しの若者を受け入れろ

50話 地方移住の成功法~住む場所・目的を変えて、失敗が成功に変わる

51話 事業を始める事しか考えない役所の事業は失敗~育成と撤退も考える

52話 難易度・投資は低く、効果は高い事業を創れ~協働、パラレルキャリア

53話 できる2割を活かすパレート法則で地方創生~ダメな者の保護で衰退 

54話 関係人口・顧客の口コミで観光者と移住者が急増~役所広報がダメな訳

55話 自分探しの若者・定住意欲が低い者を応援できる地方に、移住者が急増

56話 忖度させる首長が、公務員と地方を劣化させる~地方衰退の真実


57話 ふるさと納税&クラウドファンディングの欠陥~寄付で稼ぐな

58話 自治体がクラウドファンディングを運営する効果

59話 住宅の空き家・店舗の空室化を「予測、代替、関係」で解決

60話 スキル無き素人な公務員の補助金ばらまき、6つの病と処方箋

 
 60話の内、読者(地方議員・公務員)から反響が大きいベスト3

3位 働き方をこのように改革したいと、公務員向け研修の依頼
40話 仕事の引継ぎは、前例と方法でなく、目的と価値を伝え価値を高める

2位 人口減少対策・地方へ移住政策に活用したいと、講演の依頼
54話 関係人口・顧客の口コミで観光者と移住者が急増~役所広報がダメな訳

1位 これが地方と公務員が劣化する真の原因。本にして世に問うてほしい
56話 忖度させる首長が、公務員と地方を劣化させる~地方衰退の真実


 お仕事の依頼、久繁哲之介のプロフは、こちら

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?