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今を生きる私たちの使命とは 〜 「フレディもしくは三教街」 さだまさし 〜 時代を象徴する作品Vol.7


三教街

三教街とは、三つの教えがある街という意味です。

中国(当時は「清国」)は日清戦争やアヘン戦争での敗北からの一方的な不平等条約を結んでおり、半植民化ともいえる「租界」という地域が多数生まれていました。

コロナで注目を浴びた武漢という都市の漢口という町にもまさにこの租界が多数ありました。

英国租界、フランス租界、日本租界、そしてこの話の舞台となるロシア租界。

この地が大きく変動していくのは、ロシア革命(1917年)後のことだそうです。革命によって旧帝国が崩壊し、ロシア租界には多数の帝国側のロシア人が移住してきた。

迫害されたフラメンコが洞窟の中で悲しみを踊りやメロディに変えて文化を伝承してきたように、彼らも、ロシアの風習や文化を多数持ち込み、静かに伝承してきたようなのです。

加えて、ナチスドイツの迫害から逃れてきたユダヤ人も移住。

これにより漢口は、さまざまな文化のるつぼとなり、それぞれがそれぞれを刺激しあい、高めていくような状況が生まれていたのだそうです。

結果として漢口には、キリスト教、ユダヤ教、ロシア正教が存在することになりました。異なる宗教が一つの地域にある、、というと民族浄化のような争いの火種になると想像できるのですが、それぞれがお互いを守りあうような信頼で結ばれていたようなのです。

フレディと私

そしてそんな情緒豊かな異国の地で、一つの出会いと永遠の別れがありました。

今回ご紹介する曲に込められたフレディと私のエピソードです。

あの頃 私が一番好きだった
三教街のケーキ屋を覚えてる?
ヘイゼルウッドのおじいさん
いつでもパイプをくゆらせて
アームチェアーで新聞を広げてた(一部引用)

戦乱の世であることを忘れてしまうようなひととき。偶然ではなく、きっと必然の出会いに誘われ、輝かしい日々が始まります。

時間は不可逆性を持ちますが、弾力性があります。

幸せのただ中にいる2人には、日々はまるで永遠の様なひとときに感じられたことでしょう。そして永遠の先にある、明るい未来を夢想していたことでしょう。

けれども そんな夢のすべても
あなたさえも 奪ったのは
燃え上がる 紅い炎の中を飛び交う戦闘機(一部引用)

しかし、夢のような、永遠のような時間は、突然、時代というものによって破られます。戦乱という時代のさざ波によって。

もし、時代が違ったならば。出会った場所が違ったならば。おそらくは永遠の先に夢想した未来は現実のものとなっていたことでしょう。

今を生きる私たちの使命

時代によって、引き裂かれた愛情や暮らしはどのくらいあったのでしょう。時代によって奪われた生命はどのくらいあったのでしょう。

外部から強圧的に閉ざされたいくつもの可能性。どれだけの人が時代を恨んでいったのだろう。

ふと、考える。
今の私たちに出来ることはなんでしょうか。

過去は変えられない、が、未来は変えられる。素敵な思い出を懐かしみながら、あるいは過去に何があったのかを学び、今を、今の平和な世を一生懸命に生きることが、過去、散って行った無数の可能性への花むけになるのではないでしょうか。

それが平和な今を生きる我々の使命ではないでしょうか。

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