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忘れられない夏を、暑さとともに

昔は暑さに弱くて、早く夏が終われと思っていた。
育児中は、夏は宿題をさせるのに忙しくて、それが終わるともう夏も終わりだった。
今はといえば、戸田通いのせいもあってか、暑さには強くなった。
戸田は実は日陰もあるし日除けもあるし、風が通ればそんなにきつくない。凍った飲み物があれば、大体凌げる。
きついのはビジターや遠征の時だ。鎌ヶ谷や西武第二は、暑かった記憶が多い。

8/4の日曜。今年三度目の富山は石川戦で、魚津市での試合だった。
魚津桃山球場は、海に近い小高い丘の上にある。景色はとても良い。
入場しても暑すぎて座っていられず、試合前は外の木陰で涼んでいた。多分日本海から渡って来るのだろう風は、日陰だと心地よかった。
しかし球場内は焦げるほどの陽射し。風もスタンドには通りにくい。
幸いというか、人は疎らなので日傘は差せた。これがなかったらかなりヤバイことになっていた。その後友人が来て、右隣りに座る。そのため心持ち日傘を左に傾けていたから、腕と足は右側が黒くなった。

試合は石川が先制し、その後石川の野口投手が崩れて2回に8失点。
その後の投手もピリッとせず、とにかく四球が多かった。石川は6人で17四死球。多すぎる。
石川の武田勝監督は投手コーチも兼任しているから、投手陣は侮れないと思っていたが、こういう時もあるのだ。BCLは大勝も大敗も起こりやすい。
富山は15安打19得点。終わってみれば19-2の圧勝。この点差でも最初の2点以外は取られなかったリリーフ陣は素晴らしいが、この暑さにこの点差は本当にビジターチームはしんどかっただろう…。石川ファンも最初から人数は少なかったが、暑さと点差でさらに減った。
長い試合がやっと終わった時は、もう勝ったと喜べるレベルではなかった。
最後はチャンテを歌うのも心苦しかった。
それでも終わればエールの交換があるからBCは優しい。
みんな無事で。遠くから来た方は気を付けて帰ってください(自分もだ)。

パスはもらっていたので、囲み取材に参加させてもらうため、グラウンドに下りる。
ヒーローインタビューはグラウンドレベルで見ていた。この日初ヒットの佐野選手。2安打のつよし選手。まぁほとんどの選手はヒットを打ったわけだけれども。
初ヒットの初ヒロインだからか、佐野くんがチームメイトからの祝福として、後ろからクーラーボックスの水をかけられた。笑顔が弾ける。
暑かったので、きっと水も気持ち良かっただろう。

この日話を聞いたのは、ずっと続けて取材させてもらっている乾選手兼任投手コーチと、今日は打ちまくっていた野手にも聞いてみたいと河本キャプテン。興味深い話も聞けた。
例えば、石川の永水という投手には抑えられているイメージがあるのだけど、河本くんの話では、永水のどの球がすごいということではなく、喜多という捕手にやられているのだと。打者をよく観察して裏をかいたリードをする。その配球に応えられるのが永水という投手なのだと。
河本くんはその駆け引きも面白いと言っていた。
あと、二岡監督は今まで一塁ベースコーチに立っていたけれど、この日は三塁コーチだった。それについては「左打者がよく見えるからと言ってました」とのこと。「もっと早くやれば良かった」とも言ってたらしい。
なるほど左打者は多いからそれも頷ける。

乾さんの話は、今の投手陣についてのことを主に。フローレスは元気でまだ行くと言っていたけど、試合感覚が空いて他の投手も投げさせなければならないから降りてもらったことなど。
あとは個人のこと。これはまた追々聞いていかなければならない。
シーズンが終わってから、きっと聞きたくなることもあるだろう。

取材を終えて、あとはいつものごとく投手陣と雑談して、野手陣とスタッフさんたちに挨拶して外へ出る。
レンタカー屋の閉店時間とガソリンスタンドの閉店時間が早くて、足を伸ばすことは出来ない。富山市内へそのまま帰った。

暑さはあったが、新幹線とレンタカーだから疲れは少ない。
駅で焼き鯖寿司を買ったら無性に飲みたくなったけど、大宮からバイクだから飲めない。生まれて初めてノンアルが欲しくなった(酔えないのに買う意味ないと思ってた)けど駅の売店になかった。代わりに炭酸水を買って新幹線で一服した。

7月に台風で行くのを諦めた富山。
少し遅くなったけど、また行って話を聞かせてもらえてありがたかった。
シーズン終わった後に1年分の話を聞くよりも、シーズン中姿を見て、様子を聞いて、自分なりに追ってみたかったのだ。
この日も忘れられない日になった。
過酷な暑さと点数と、水かけと笑顔と。大切な人たちの忘れられない言葉。

去年の楢葉も今頃だった。
8月の泉も、ものすごく暑かった。
あそこで見た姿、聞いた言葉も、肌に刻まれたあの暑さとともに思い出す。
暑いほどに忘れられない、そんな思い出になる。

最近は、暑さにはそれほど弱くなくなった。
早く暑さが終われと思いながら、終わるなとも思っている。
野球を追いかけていると、夏はすぐに過ぎてしまうから。
まだ過ぎるな。まだもう少し。

焼け付く暑さとともに、忘れられない夏と野球を、もうしばらく重ねていく。



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