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3月5日。納谷悟朗「おいルパン!これから俺は誰を追いかければいいんだ」

納谷 悟朗(なや ごろう、1929年11月17日 - 2013年3月5日)は、日本の俳優、声優、ナレーター、舞台演出家。

代表作に『ルパン三世』シリーズの銭形警部役がある。洋画ではクラーク・ゲーブル、チャールトン・ヘストン、ジョン・ウェインの声の吹き替えを担当した。

声質は銭形警部などでみられる「濁声」で知られている。役作りの上でこの声色を多用する事が多いが、元々の地声は濁りのない声質であった。

「ただ声を当てればいいと考えている声優が多すぎる。目の前に客がいると思っていない」と憂いていた。当初、声優はアテレコと呼ばれた。声を当ててレコーディングをするという意味だ。納谷はリズムを区切るように喋るようにし、後年ではこの喋り方は「納谷節」と称される。ただ、「アテ師」という呼び方は嫌いではなかった。

『仮面ライダー』でのショッカー首領役。『風の谷のナウシカ』のユパ、『宇宙戦艦ヤマト』ではヤマト艦長の沖田十三の声など、1963年の鉄腕アトムから、2011年まで50年近く仕事をしている。

洋画では、ジョン・クリーズ、チャールトン・ヘストン、リック・ジェイソン、ロバート・ライアン、ジョン・ウェイン、クラーク・ゲーブル、リー・ヴァン・クリーフ、マーティン・ランドー、ロバート・テイラー、ジャック・パランスの声を主に担当している。様々なジャンルの作品に声を当て、出演作は100本以上にのぼっている。

初代ルパン三世役だった親友の山田康雄が急逝した際、葬儀で弔辞を読んだのは銭形警部役の納谷だった。納谷は山田の遺影向かって、銭形警部がルパン三世に怒鳴るような口調で「おい、ルパン。これから俺は誰を追い続ければいいんだ」、「お前が死んだら俺は誰を追いかけりゃいいんだ」と涙ながらに呼びかけたという逸話がある。

逆に納谷が亡くなった時には、山田の後を継いだ栗田貫一は、ルパンの声で「とっつあん、さみしいねぇ、ずっと追いかけてもらいたかったぜ」と別れの言葉を述べた。

納谷は弟も声優、妻も声優という珍しい声優一家だ。やはり声は生まれつきだろうが、年齢に合わせて声を変え、役柄に合わせて声の質を自在に変えられる技も必要な仕事だ。納谷悟朗は39年間、銭形警部の声を担当していたが、本人は「銭形はいつまでも歳を取らないけど、僕は年々歳を取っていくので、合わせるのが少し辛いですね」と後年語っていた。久しぶりにいくつかの作品の声を聴いた。声優という職業は、作品の「声」を聴くとすぐにわかり懐かしい。声優という職業も奥が深い。

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