見出し画像

インドからの来訪者



 ある日、私共のホームページに、インド人からダイレクトメッセージが来た。日本へ来て、私のところで菱刺しを見たり、ワークショップを受けたりしたいと言う。インドからはるばるやって来るのだから、相当な関心をお持ちなのだろうと快く「ウェルカム」「はいどうぞ~」と返信した。
 すると、本人は「日本の財団へ研究費を助成申請する」という。何やら伝統民族テキスタイル研究家ということだった。しかし、それからしばらく何の連絡もなくなり、例に漏れず、新型感染症の影響で多分来ないだろうと思っていた矢先、6月ごろSNSダイレクトメッセージで連絡があり、助成金も見事採択されて8月末にやって来ると連絡をもらった。

その人は「マニート博士」と名乗る。「あなたは男性ですか? 女性ですか?」「何歳ですか?」という質問を送った。英語が達者でない私には長文が理解できなかったことを考慮してか、インドの大学の学友だというf日本語が分かる方を通して、日本語で丁寧に説明していただいた。
 その中で自分が40歳の女性であること、経歴その他諸々を教えてくれて、キレイな民族衣装を着た写真赤いターバンを巻いたいかにもインド人らしいご主人様の写真も送ってくれて、ますます会えるのが楽しみになっていた。「そのひまでカンタンな日常会話を復習しよう」と思っていたが、日常に忙殺されているうち、出会いの日は迫っていた。
 宿泊先についても事前に連絡が来た。世界中の民泊を予約できるシステム「Airbnb(エアビーアンドビー)」に登録されている宿はあるか?と聞かれたので、八戸市内で検索してみると2軒あった。その一つを写真で見ると、美しいローズガーデンがキラキラしていて、ベッドルームもうっとりするほどキレイなゲストハウス。即決した。リーズナブルでこんなに美しい世界が八戸に存在するとはまだまだ知らない八戸がたくさんあるのだろうと感じた。
 さあ、マニート博士は来日後、初日は東京で事務処理を済ませてから夕方から八戸に向かい、ゲストハウスで一泊してから、翌朝10時に私のアトリエに来るという約束だった。すると、8時過ぎに電話が鳴り、ゲストハウスのKさんから10時にちょうどいいバスの時間がないから早まって、最寄りのバス停に9時15分到着予定と言う。
 電話を切った後、慌てる私。まずは洗濯物だけはサッサと干してしまわなければと急ぎだした。最初の一言はやはり「ナイストゥミーチュウか?」と、慌てながらも考えてる私がいた。
 しかし、9時過ぎにまた電話が鳴る。バス停近くの学校の事務の方からだった。「インドからのお客さまがいらしてます」と。私はあと5分で迎えに行くと伝え、丁寧にお礼も申し上げた。「日本は親切な国だし、見かけないインドの民族衣装をまとった人に話しかけずにいられなかったのか?」「それとも彼女からすぐに駆け寄ったのか?」と、疑問が頭を巡る。
 答えは、バス停前にある学園の階段に民族衣装を着た大荷物のインド人が座っていたので学園の職員の方が声をかけたらしい。l「ナイストゥミーチュウ」と私は彼女に話しかけたのだった。
      ②に続く

デーリー東北新聞社提供
2022年10月5日紙面「ふみづくえ」掲載

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?