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水島新司さん:クリエイター・バーサーカー伝説

2022年の1月、水島新司さんが亡くなりました。
82歳でした。

代表作は『ドカベン』『野球狂の詩』など。
…野球狂!
まさに、水島さんの生涯を表現するのに、
この言葉ほどふさわしいものはありません。

野球漫画を描く人は数多くいらっしゃいますが、
名作を連発できる人は、少ない。
水島さんは、そのお一人でした。

本記事では、水島新司さんを紹介します。

彼の作品は『ドカベン』だけではありません。
山田太郎と岩鬼正美だけでは、ない。
『男どアホウ甲子園』『球道くん』
『一球さん』
などの作品において、
高校野球を舞台に、実に魅力的なキャラを
次々に生み出しました。

私が隠れた名作だと思っている
『おはようKジロー』では、
異なるスポーツから
選手を集めたチームを結成させています。
やり投げやテニスの選手がピッチャー。
主人公のKジローはセカンドでした。
(セカンドを主人公とした野球漫画は、
そうそうお目にかかれない、と思います)

プロ野球の世界も、積極的に描いている。

『あぶさん』の主人公、景浦は、
酒豪のホームランバッター選手です。
「物干し竿」と呼ばれるバットに
酒しぶきを吹きかけて、
すさまじい豪打をかっ飛ばす!
水島さんは、とあるプロ野球関係者に
「四番バッターは誰がいいだろう?」
と聞かれて、
「景浦です」と真面目に答えたそうです。

なお『ドカベン』は、
高3の夏には『大甲子園』
タイトルを変え、別作品となっています。
山田・岩鬼・里中・殿馬の明訓四天王
(微笑三太郎も加えて明訓五人衆)たちが
揃った常勝・明訓高校と、
「剛腕」青田高校の中西球道たちが、
死闘を繰り広げているのです。

その後、何と、彼らはプロ入りまでする。

まさかの『ドカベン プロ野球編』の開始!
実名の選手たちと一緒に、
彼らもプロの舞台で活躍します。
「一番イチロー、二番殿馬」の一・二番は、
まさに最強のコンビではないでしょうか?

『野球狂の詩』の世界では、女性の
プロ野球選手「水原勇気」が登場しました。
ドリームボールなどの変化球を操って、
プロの選手たちを次々に斬って落とす…。
女性で野球を志す人たちに
どれだけの勇気を与えたことでしょう。

…ここに挙げた他にも、著作は数多い。

プロ野球選手の中で、水島さんの著作を
全く読んでいない、という人は、
かなり少ないのではないか、と思われます。

水島さんご自身も、野球が本当に好きで、
よくプレーしていたそうです。
「あぶさん」「ボッツ」という
2つの草野球チームを率いて、
投手として200勝以上も挙げたそうです。

週刊連載漫画家ほど、過酷な職業もない。

その間を縫って野球をしていた。
まさに「野球狂」と言うしかないでしょう。
水島さんのご自宅には、
「選手送迎用のバス」が常備されており、
いつでも野球に出かけられる状態が
整っていたそうです。

水島さんのキャリアを少しご紹介します。

新潟県新潟市のご出身です。
「ドカベン」で山田太郎たちが通う
「明訓高校」の名前は、
新潟の新潟明訓高校から取ったそうです。

自身は「白新中学校」に通っていたが、
家計のために明訓高校への進学を断念…。
中学卒業後、水産問屋で奉公しながら、
漫画を描いていました。
1958年に、新人漫画コンクールに入選。
社長に漫画家になりたい旨を直訴して
大阪の貸本漫画家としてデビューします。

1972年に『ドカベン』の連載を開始!
『ドカベン ドリームトーナメント編』を
2018年にしっかりと完結させていました。
連載を開始してから、実に40年以上…。
そんなにも長くの間、
ファンに愛されてきたキャラたちを
作り上げた、ということだけでも、
偉大な漫画家だったということがわかります。

ちなみに、私が一番好きな「ドカベン」の
エピソードは、高2夏の甲子園1回戦、
『BT(ブルートレイン)学園』戦です。

「何が何でもバント」のチーム!
夜に走るブルートレインなので、
夜(ナイター)に強い、という設定。
全員が俊足、とにかく走りまくる!
超機動力野球で
ぎりぎりまで常勝明訓を追い詰めた
かなり異色のチームでした。
(マニアックなネタですみません)

連載当時、小学生の間では
「ブルートレイン」が大ブームになっており、
水島さんは本当は描く予定がなかった
ブルートレイン学園戦を
急遽、弁慶高校との試合の前に
組み入れたそうです。
「小学生に人気の『ドカベン』作者として、
ブルートレインだけは
倒しておかなくては!」
という気合いで…。
ちょっと言ってる意味がわからない
クリエイトな闘志、すごく好き。

同じく高2の夏の県予選、
白新の不知火との対戦で起きた
「ルールブックの盲点の1点」
エピソードも、好きです
(これもマニアックですが)。

名作バスケ漫画の『スラムダンク』が、
「ドカベン」を参考にして
キャラを設定した
、という
エピソードも大好きです。

…きりがありませんので、
最後にまとめましょう。

本記事では、水島新司さんという
偉大なるクリエイター・バーサーカーを
紹介しました。

読者の皆様は、水島新司さんの漫画で
記憶に残っていることはありますか?
…2015年に廃止されて
いまは無き「夜行寝台特急」、
ブルートレイン、覚えていますか?

※「クリエイター・バーサーカー」という
シリーズは、(良い意味で)常軌を逸した
偉大なクリエーターを紹介する記事です。

※本記事は、以前に書いた記事の
リライトです↓

他の『クリエイター・バーサーカー伝説』は
以下の通りです。

◆吉田松陰↓

◆夏目漱石↓

◆江戸川乱歩↓

◆手塚治虫↓

◆宮崎駿監督↓

◎山田太郎と岩鬼正美についてはこちら↓
『秘める』と『見せる』

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