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30年かけて凍り固まった
「キャリア観の氷塊」が、
30年かけて、ゆっくりと氷解してきました。

本記事では30年ずつに分けて、
「日本のキャリア観」の本流の推移を
見ていこうと思います。

◆1961年~1990年 昭和の氷塊
◆1991年~2020年 平成の氷解
◆2021年~2050年 令和の氷海


1960年の安保闘争で、岸首相が辞任。
ここから日本は
「経済のことは池田にお任せください」
「寛容と忍耐」をとなえる
池田勇人首相の下で
経済大国への道を歩むことになります。

池田首相は『所得倍増計画』をぶちあげた。

そうなればいいなあと、思った人は
多かったと思うけれども、
まじめにそうなると思っていた人は
そんなにいなかったのではないでしょうか?
しかし、池田首相は、大まじめでした。

高度経済成長! ガンガン行こうぜ!

1964年の東京五輪の影響もあって
日本の経済は、テイクオフしました。
栄光への架け橋!
敗戦を挽回する経済大国への勝ち筋!
大部分の国民が、乗りました。
ものすごい「成功体験」です。

好景気ですから、
会社はあまりつぶれません。
終身雇用、一社専従、家庭内分業…。
地方の農家では、平日会社・週末農業の
「兼業農家」が主流となっていきます。

夫は会社へ、妻と義父母は田んぼへの
「三ちゃん農業」が広がっていき、
田んぼではなく会社の椅子が
中年男性の生涯の居場所になります。

こき使われても「寛容と忍耐」

終身雇用の給料を当て込んで、
結婚し、ローンを組み、家を建てていく。
それがスタンダードなキャリア観に…。

そこから外れる転職者や起業者は
アウトローか、フーテンの寅さんか、
怪しい幻術師扱いされていきます。

「24時間タタカエマスカ」

バブルの頃には、皮肉交じりに
賞賛されたワーカーホリック的な
キャリア観が煮込まれていきました。

ですが、1991年からのバブル崩壊。

徐々に経済は下向きになり、
終身雇用を前提とした
氷塊は氷解していく、

…かに見えました。

ところが、30年かけて凍り固まった氷塊は、
すぐには、溶けなかったのです。
巨大な「成功体験」の魔力から逃れるのは、
そんなに容易ではなかった。


…折りしも不況の「波」が押し寄せ、
「氷河期」と呼ばれたのは歴史の皮肉。
イケイケバブルの反動、でしょうか?

不景気には人間、守りに入ります。
組織も、そうです。

採用数が絞られる、ということは、
新人が少なくなることを意味します。
組織は、フレッシュな活力を失います。

多くの企業では、社員に対して、
それまでのキャリア観を
表面上は変えようとしつつも
内実を「硬化」させていった。
人間、これまでの観点を崩す、
溶かすということには、
これまでの人生を否定されるように感じて
抵抗感を抱くものです。

転職者=裏切者と、密かにレッテルを貼る。
「個性の時代」と言いつつ、
個性を発揮させる方法も環境も
存分には整備しなかった。

目端の利く一部の人を除いて、
「個性の発揮」なんぞ
手探りでしか、わかりませんでした。
SNSも発展していなかった時代です。
アンダーグラウンドな
「掲示板」ぐらいでしか、
他社の様子がわからなかった時代…。

あくまで現在から振り返って、ですが
それが私が社会人となった
2000年代あたり、
平成時代真っただ中の印象です。


もちろん時代を先取りする人もいました。
しかし、大部分の人は、私も含めて、
まだまだ、うずくまっていました。

ただ、氷塊は、いつまでも塊ならず。
溶かす熱源が、成長していきます。

それがインターネットであり、SNSでした。
20年の間に、情報網は拡散されていき、
闇に次第に光がさしていき、
「転職・複業・起業」は、ようやく
「怪しい人」だけが行う
禁断の幻術ではなくなっていった…。

2021年に再び五輪が
東京で開催された頃には、
キャリア観もだいぶ
氷解してきているようです。
もちろん、全部ではありませんが。

◆1961年~1990年 氷塊の形成
◆1991年~2020年 氷塊の氷解


…となると、2021年からの30年は、
新たなキャリア観による「塊」が
ゆっくりと形成されていく
時代になることでしょう。

◆2021年~2050年 令和の氷海

…ただ今度の30年は、
みんなが一斉に同じ、
単一のキャリア観の氷塊を
抱くような時代には、ならない。
千差万別の氷と水が広がることになる。

昭和の氷塊も、まだ残っている。
平成で氷解した水が、たまっている。
そこに令和で新たに形成された氷塊が、
あちらこちらに浮いている…。

言わば「氷海」。

「自分なりのキャリア観」を
作っていきながら、
海を渡っていく。

そこでは、かの豪華客船である
タイタニック号のように、
巨大な氷塊(昭和のキャリア観)に
ぶつかり、事故を起こす危険もあります。
広大な氷解(平成のキャリア観)の中で
迷い惑うこともあるでしょう。

氷塊、氷解、氷海には、
それ自体に善悪はありません。
ただ、それらのせめぎあいが
時には自然の脅威として
人の航海を妨げることが
あるかもしれないのです。


私も何度か激突し、沈没しかけました。

…読者の皆さんは、いかがでしょう?

どのようにして自分のキャリア観を
形成してきましたか?
形成していきますか?
どのようにして「危険な」
氷山を避けていきますか?

ご自身の「昭和のキャリア観」が、
氷解していったのは、
氷解していくのは、
いつ頃のことでしょうか?

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