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『どこの企業でも、
組織はタテ組織とヨコ組織の
組み合わせとなっています。

たとえば、営業のライン組織を
タテとすれば、
営業組織、業務、人事、経理といった
スタッフ機能がヨコ串を刺しています。
プロダクトマネジャー制も同じです。

米国で複雑なマトリックス組織が
もてはやされたのは
1970年代のことですが、
導入してうまくいかない
組織が続出しました。

タテとヨコの利害がぶつかるのは
宿命なんです。

それぞれ異なる使命を与えられ
相互牽制を狙っているのですから、
放っておくと
当事者の中が悪くなるとか、
問題が先送りされる現象が
出てきます。
そういうものなのです。

その症状が長く続けば、事業展開の
スピードは落ち、競争にも
負けていくことになります。
この事業部が示している病状は、
まさにその現象なのです。
解決法ですか?
その答えは、
簡単と言えば簡単なことです』

…いきなり長い引用から始めました。

三枝匡(さえぐさただし)さんの
『V字回復の経営
2年で会社を変えられますか』
より引用、
日経ビジネス人文庫版で言えば
P61のあたりです。

初見の方のために軽く説明します。
この本は、ある会社のある事業部を
V字回復させるために、
事業部長として就任した主人公が
奮闘するお話です。

で、就任してすぐ彼は
経営会議に参加するんですが、
「あれは経営会議になっていません」
と、会議の後で酷評するんですね
(この本は登場人物への
インタビュー形式で進みます)。
事業部そのものが、
病気にかかっている、と。

…幹部全員がつまらない
政治劇を演じている。
…結論は先送り。
…最後の調整を若手に丸投げ。
『私は立ち上がって
怒鳴りつけたくなりました』という
主人公ですが、最初は我慢して
観察しています。
名医のように、組織内の色んな病状を
まずはじっくり診ているのです。

この「責任を皆で薄め合っている」
状況をいかに打破するか?
これがこの本の読みどころなわけですが、
そこまで書くとネタバレし過ぎですので
実際に読んで頂きたいところです↓

著者の三枝さんは、色んな会社の
経営の立て直しをしてきた
スペシャリスト。そのご経験から、
「現場」と「理論」を
ない混ぜて描写するのが、
とにかく、本当に、上手い。

「うちの会社でも、あるある!」
思わせる描写が、随所に出てきます。
だからこそ、ベストセラーにして
ロングセラーになっているんですよね。

私も、仕事の色々で行き詰った時、
折りに触れて読み返しています。
ぜひ、未読の方はどうぞ!
オススメ本です。

…最後に、先ほどの引用部分の問いの
回答だけ引用して、まとめます。

『一つ上の組織階層にいる
共通の上司が、早め早めに
積極的に動くことしかないのです』

…読者の皆さんの会社の上司は、
自ら積極的に動いてくれますか?
若手に調整を丸投げして
苦境に立たせていませんか?

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