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教育学の「タキソノミー」。taxonomy。

本記事ではこのタキソノミーを踏まえて、
「セルフ・ヒストジオソノミー」という
考え方について書いてみます。

「ノミー」とはギリシア語の由来。
nomia「ノミア」や、nomos「ノモス」など、
「法律、礼法、習慣、伝統」という意味、
『規範・ルール』から来た言葉です。

ここから派生して「知識体系」「秩序法則」
などの意味も生じてきた。

例えばガストロ(胃袋)+ノミア(規範)で
『ガストロノミー』(食文化)が生まれます。
オイコス(家庭)+ノミア(規範)で
一人のルールではなく複数の人のルール、
オイコノミアという言葉が生まれ、後に
『エコノミー』(経済)という言葉になる。

同様に、
taxis「配列・配置」というタキソスと
nomia「規範」ノミアが合体して、
タキソノミア、タキソノミーが生まれた…。
直訳すれば「分類学」
混在しているものを「ルール」に応じて
「配置」して分類していくことです。

諸学問でタキソノミーが活用されています。
生物学、図書館学、法学、介護学や看護学…。

教育学では、アメリカの教育心理学者
ベンジャミン・ブルームという人が
「ブルームのタキソノミー」という
考え方を提唱した。1956年のことです。

学習をする人が認知する過程を
六つに「分類」していったんです。

◆知識:事実や情報を記憶し再生する力
◆理解:知識を説明して解釈していく力
◆応用:新しい状況に知識を適用する力
◆分析:情報を分解し構造を理解する力
◆総合:統合して新しい全体像を作る力
◆評価:批判的に評価して判断を下す力

さらにこれを、ブルームの弟子である
アンダーソンたちが、2000年頃に
「改訂版タキソノミー」として再構築!
教育実践のフレームワークとしてまとめた。
「六つの認知過程次元」とも言われます。

①記憶する:何を覚えた?
②理解する:説明できる?
③応用する:他に使える?
④分析する:何が分かる?
⑤評価する:その成果は?
⑥創造する:何をつくる?

先人の教えを「覚え」「改訂し」「生み出す」。
「守」「破」「離」にも通じますね!

さらにさらに、デジタル版「学習の動詞」を
加えた『デジタル・タキソノミー』
2007年頃にアンドリューにより提案される。

このデジタル・タキソノミーは、
「オンライン学習」や
一人一台の「PC上での学習活動」を
デザインしてつくることに用いられます。

どんな学習の動詞があるのか、と言うと…。

◆①記憶する:何を覚えた?

ブックマーク、ポインティング、
コピー、定義する、記述する、検索する
お気に入り追加、暗唱、ドリルを解く、など

◆②理解する:説明できる?

説明する、分類する、例示する、指し示す、
言いかえ、予測する、要約する、
ツイート/ポストする、タグ付けする、など

◆③応用する:他に使える?

行動する、実験する、デモンストレーション、
インタビュー、オペレーティング(運用)、
図表化、プレゼン、アップロードする、など

◆④分析する:何が分かる?

マインドマッピング、計画する、測定する、
相関を示す、鑑定する、差別化する、
WEBアンケート、構造化する、など

◆⑤評価する:その成果は?

問題を作成、批評する、コメントする、
批判する、仮説を立てる、正当化する、
内省する、採点する、ランキング化、など

◆⑥創造する:何をつくる?

コラボする、問題解決、ロールプレイング、
論述する、シミュレーション、開発する、
動画配信、発表、プログラミング、など

①②③④⑤⑥と認知次元が進むにつれて、
インプットからアウトプットに。
①は知識を自分の中に「入れていく」!
⑥はその知識を使って「出していく」!

なお、現在の日本の学校教育では、
「PC一人一台」「主役は学習者」という
「GIGAスクール」を推進しています。

先述した「六つの認知過程次元」と、
「四つの知識次元」と呼ばれるもの、
「計24」の掛け合わせから成る表を
「タキソノミー・テーブル」と呼んで、
これに基づいて授業をつくったりする。

(その例は、下の画像を参照ください)

≪四つの知識次元≫
◆事実的知識:用語・項目・要素 など
◆概念的知識:分類・理論・構造 など
◆手続き的知識:スキル・技術・基準 など
◆メタ認知的知識:方略・文脈・自己認識 など

さあ、読者の皆様は、どう考えますか?

「うん、まあ、いいんじゃない?
ただひたすらに『暗記する』より、
『コラボする』ほうが楽しそう。
今風ですし、おおいにやるべし!」

私も、そんな感じです。

…ただ、ですね。
この「デジタル・タキソノミー」の考え方は、
子どもたちだけではなく、
大人のほう「こそ」意識して
「おおいにやるべし」
だと思うのです。

私の小学生の頃には、
2000年の「改訂版タキソノミー」も
2007年の「デジタルタキソノミー」も
生まれていなかった。
「ひたすら覚える」とか「根性論」とか
「全部手書き」などが幅を利かせていました。
まだバブルが崩壊する前の頃です。

大人こそ「自分なりに」
学習していく必要があります。


ただ大人の場合は
「食っていく」ことと「学ぶ」こととを
同時進行で進める必要がある。
「自分なりの個性に応じた」「時短の」
学習方法を模索する必要があります。

「一人一台」どころではない。
PCもスマホもAIでも使いこなして、
自分に合った学習方法をDIYしていく…。

ただ、得意や苦手、好き嫌いなど、
各個人には凸凹、千差万別があります。
好き勝手にやっていい、と思うのです。
自己学習ですから。

①②③④⑤⑥の順でなくてもいい。
事実ではなくメタ認知から入ってもいい。
私も、⑥の発信する記事を書きながら
①の記憶することもしばしば。
小説を書くことで記憶に残ることもあります。

最後に「ヒストジオ」と絡めて、まとめます。

ヒストジオとは「歴史と地理」からの造語。
歴史は時間、地理は空間を扱います。
でも、ただ単に教科書の太字を「覚え」たり、
「検索」したりで終わってしまうと、
面白くない、とも思うんです。

「いま・ここ」の「自分」の問題解決のため
他の時間、他の空間で起こったことを
援用する、当てはめる、比較する。
記事に書く。実際に行動する。

当然、完璧にいくことはないので、
今度はどうすればうまくいくだろうか、と
比較、分析、評価、メタ的に見る…。

その繰り返し、です。

六つの認知過程次元、四つの知識次元の
テーブル上での
縦横無尽な反復横跳びの中から、
抽象的な概念と具体的な事実が
浮かび上がってくるようにも思うのです。

ただ、その主体は、あくまで「自分」。

セルフで、自分なりに行う。
その過程を通して「いま・ここ」にいる
かけがえのない「自分」と、
それを取り巻く「環境」もまた
見えやすくなっていく
のではないでしょうか?

読者の皆様は、どのように
セルフ・ヒストジオソノミーを行いますか?

※タキソノミーテーブルの画像は
こちらから部分引用しました↓

https://www.learning-innovation.go.jp/cms/wp-content/uploads/2021/05/Learning_innovation_newsletter_vol08.pdf

※本文執筆には、
こちらの記事を参考にしました↓

※「ガストロノミー」については
こちらの記事もぜひ↓
『ガストロノミーツーリズムの軌跡』

note版はこちら↓

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