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こんな時期だから大切にしたい事

ここ何回かお店の現状など書いていたので今回はお店で使っている食材の事をつらつらと。
小麦粉や塩など書いてきましたが今日は卵です。

カステットでは茨城県の平飼い卵と千葉県木更津の平飼い卵を使わせてもらってます。
生産量や繋がりなどもあって使い分けさせてもらってますがパティシエール(カスタードクリーム)に使っている卵を卸してもらってる「耕す」さんにお話を伺った時の話しです。

ウチの店からの車で15分程走って、かずさアカデミアパークという所の近くにあります。

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他にも無農薬野菜や水牛も飼っていてレストランもあり、チーズも作ってます。
小麦も作りパンを焼き、周りで獲るイノシシなどもシャルキュトリーにするというラーメン全部入りみたいな凄い所。

ひょんな事から養鶏もしてると知って、お願いして少し頂ける事になりました。

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まず驚いたのが鶏舎が臭くないんです、昔小学校で10羽位飼ってるだけで結構な臭いを発してましたよね?
ここではおよそ1500羽と300羽の雛がいるそうですが余程注意深く嗅がないと分からないくらい。
これでも今日はする方だと言っていました。
大体卵一個産むのに糞は卵2個分の量で、ここでは1日卵が1000個程産むので約2000個分の糞が出る筈なんですね。なのに臭わない。

その訳は餌にあって、
自家配合の飼料を発酵させていて、玄米、大麦、米糠、おからなどを混ぜており、自然に発酵します。米糠、おからの乳酸発酵になります。
それによって鶏から出た糞にも菌が生きていて糞を分解して土に還るので臭わないらしいです。
なので菌が活動してる地面も少し温かいらしい。
その他にも鶏舎の周りの雑草、農場の規格外の無農薬野菜をタップリと。

これだけ聞いてるだけで健康そうでしょ?
ちなみに日本の養鶏の餌の原料は殆ど外国産に頼っていて、トウモロコシなどは遺伝子組換えのものやポストハーベストを使った小麦なども含まれてる場合が多いです。

耕すは米を主体であげているので黄身の色は白っぽい黄色からクリーム色位(人参が多いとカロテンでいつもより黄色くなるそう)。
巷で売ってる黄身がオレンジ色のはパプリカなど餌で着色してる場合が多いです、餌次第で黒色やマーブルの黄身も出来るんですって。

鶏の種類は「岡崎おうはん」「もみじ」の2種類の鶏種です。

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どちらも元々日本にいた純国産の種だそうで日本の四季に適してるそうです。
殆どの養鶏の鶏は外国産のヒヨコを輸入されるそう。

写真を見て分かる通りクチバシがありますよね?
養鶏の多くが小さい頃にクチバシを切られるそうです、狭い鶏舎に入れられてストレスでつつき合って怪我させたりしてしまうので。
そうすると人参など固いものを上げてもつつけずに食べれなくなります。鶏は本来生涯の7割を餌探しに費すのでつつけない事がストレスになる。

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こんな量があっても、ものの何分で無くなっちゃうそうです。

ストレスは他にも日差しや強風、気温の寒暖差、大雨など人と同じように感じます。
日除けと風除けのシートもかかってました。

そして群れの中でも強い子と弱い子が出てきますし、弱い子は昼間でも止まり木の上に登ってるそうですが、統率をとる役割でも雄がいます。

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一際大きいのですぐ分かりました。
外敵からも守ってくれる頼もしいヤツ。

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この脚の付け根の爪見えますか?
蹴爪(けづめ)と呼ぶらしいですが雄だけにあるみたいです。
時々低い声で鳴くんですが警戒の鳴き声らしく、カラスが近くに来た時もしっかりと雄は鳴いてました。

また雄が全体の5%いると有精卵と謳えるんですがクルックさんではそこは求めてないので1鶏舎に一匹くらいだそうです。
ですが雌に求愛されてつつかれお尻の毛が薄くなってました(笑)

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この写真は雌なんですがコッチもお尻の毛が無いのが分かります?

雌は卵を産めるようになると約1日一個の卵を生みます。
そして卵を産むには栄養と体力がいるのでお尻の毛を生やす栄養を卵に注ぐ為に毛が生えなくなっちゃうそうです。
文字通り命かけて産んでます。

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普段揃えられた卵を買ってるので意識しませんがこんなに同じ鶏なのに違うんですよ。
産み初めとベテランになってきて産み終わりになると大きさがブレやすいそうです。

ちなみに濃厚卵白って黄身の周りの盛り上がった白身(二酸化炭素らしい…!)は産み初めは多いそうです、年をとっていくと少なくなるみたい。
多い方がメレンゲとかは立てやすいです。
季節でも変わって夏は水分を取るので薄くなるらしいです。
意識しないと気付きませんが工業製品では無く命を食べてるので品質が一定じゃないのは当たり前。小麦や牛乳も季節や年によって変わります。

こういったのは大きさが揃わないのは飲食店など加工をする所などに納品されたりします(全体の5%程)。
ウチもどちらも貰いましたが小さいのは殻が厚かったり、大きいのは二黄卵(におうらん)といって黄身が2つの卵など個性があって楽しい。
中には殻を割ったらまた殻の卵があったなんて事もあるそう。
こういうのをお客さんに楽しませられる見せ方が出来たらいいな。


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こんな時だからこそ

長閑な畑を眺めていると世間の騒動を忘れられそうな和やかな空気。

ただ勿論確実に影響は受けていて、飲食店に卸していた分は発注が殆どないそうです。
替わりに通販は好調なようですが。


今は未曾有の危機に晒されて身体的にも経済的にも生き残る事が第一目標になっているので、通販が増えて包材のゴミが増えるんじゃないかとか食材が無くなってとりあえず買い込んでみるとか増えて来ていると思います。

経済活動が無くなって空気が綺麗になっているという皮肉はありますが、こんな時代でも環境について考えていかないといけません。

飲食店は被害甚大ですが自粛生活の中で食べ物に対する比重は上がってると思います、外に出れないストレスを美味しい食べ物で発散する方も多いのでは?

よくテレビで○○が身体にいいとかやってますけど、卵一つでもこんな環境で伸び伸び育って産む卵と手紙一枚分の広さのカゴしか与えられず窓の無い所で一生過ごす鶏が産む卵が倫理的にも栄養的にも同じだと思いますか?


いきなり全部は変えられません、今までの僕たちが望んで変わって来た形だから。
でも事実を知って、少しでも未来に向けて変わりたいと思ったなら、普段食べてるその一食の一品でも想いのある食材に変えていくことでいい方向に変わると思っています。
他人を変える事は出来ません、変わる事が出来るのは自分だけ。
事実を知ったあなたはどうしますか?


戒めも込めて自分に言い聞かせています…。

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