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ジュニア期に伸びる能力(1)

プロのスゴイ!お話をいくつか書きました。プロだけではありません。競技に打ち込んでいるジュニアもスゴイ!事務局が感動した話です。

全体を見る力

その選手は、リーダーを任されていると聞いていました。競技場で顔を合わせる機会がありました。というより、事務局の私がその場所にふらっといただけで、選手とのかかわりが皆無なフリーな状態でそこにいたのですが、コーチに話があったので、ええと、と、コーチを目で探していると、視界に入ったその選手が「あちらに居ます」と、言ってくれました。その選手は私の存在を感知していて、必要としていることを察知してくれたんですね。その選手が私の視界に入っただけで聞いてないのに答えてくれました。いや、それも、私は選手と会うことが殆どないので、顔を覚えていてくれたこともスゴイと思います。1度会ったことがあるかないかくらいです。そんな人が今ここで何をしているのかすら不明でしょうに、必要なことをさっと伝えられるってスゴイなと思いました。広い視野が捉えた一つの違和感(ここでは一人のおばさん(笑))と、そこに必要な対応策がさっと分かったのですね。鋭い感覚が養われているなぁ…と感じました。全体をとらえる視野、大事だなと思います。これとは違う視点ですが、菊池仁志の以前のブログにも広い視野について書いてありますので、是非ご覧ください(*´ω`*)

一目で構造を把握する

あるイベント会場での話です。終了時刻になったので、テントを収納しようとしていました。以前に一度片付けたことのあるテントでしたが、ええと、どこからどうだっけ?!と、思っていると、「手伝います!」と、一人の選手がやってきました。ああ、ありがとう。これなんだけどね、以前一度片付けたんだけど、ええとね、と、説明できないでいると、その選手がササッと全体を見渡し、テントを支えている柱を手で触りながらさっと確認したと思ったら、さっさと片付けてしまいました。柱を手で触りながら全体を見渡している目線の奥に、テントの構造を読み取っているのが分かりました。なんというのか、頭の中に見えてないない部分の構造が浮かんでいるように見えたのです。私が、ええと、と言っている間に片付いてしまいました。さらに、収納した袋の様子をそれが確実に入っているかどうか鋭い目つきで手で触りながら確かめていました。実は袋に入れたのは私です(笑)。それもただ触っているのではなく、測っているように見えました。寸法があっているか、そう確認しているようでした。選手たちは、レース後の撤収にも速さを要求されるため、それを実行しながら、正確さもきちんと身につけていたんですね。しかも構造把握が早い!速いだけでいいっていうんじゃないこのこだわりはなんなんだ!やればいいんでしょとやっていたら身につかないです。雑にしていたら機材を破損させてしまいます。

工業製品は、どういう構造か、といったことを把握することが大事です。これは故障探索にもつながります。速く片付けるだけでなく、トラブル対応もできる。道具を使う自転車競技。自分の身体を預けて一緒に戦う道具です。緊張感を伴って道具を大事に扱っている証拠なんでしょうね。

この選手は競技力も高い選手でした。競技結果は華々しく、誰もがそれを賞賛しましたが、こういった全体から詳細(構造)を把握し正確に扱うといった能力は、その選手がレースを組み立てる上でも自然とできていたことなのだろうと思います。

自転車競技で見た人馬一体感

もう一つ、前項の選手についてスゴイと思ったことがあります。まだその選手が中学生の時です。シクロクロスの大会を見に行きました。河川敷を利用して設置されたコースを橋の上からカメラを構えて見ていました。直線の後に数段の石段が組み込まれている場所がありました。そこは自転車から降りて自分の足で駆け抜けないといけません。次々と走ってくる選手を見ていたのですが、石段の前に、はいそこで「自転車を降りる」、はい次は石段を「駈け上がる」、そしたら次は「自転車に再乗車する」という動作の区分が明確に分かるのですが、一人だけ、自転車から降りたのかどうか分からない選手がいました。ん?え?そこ、今、自転車から降りた?それが全くわかりません、石段を駆け上っている様子もわかりません。降りた様子がないのに再乗車した様子が見えるはずもなく…。ものすごく滑らかに通り抜けていきました。

プロライダーも来ていて、大人から子供まで参加しているレースでしたが、そのように見えたのは中学生のその選手だけでした。同年代の選手は他にもいたので、体の大きさではないと思います。なんてなめらか~ってCMありますが、不思議なぐらい本当になめらかでした。人馬一体といった言葉がありますが、自転車と一体になっているようでした。その選手のその後の活躍はジュニア自転車競技界隈では世間の知るところですが、その時代から、自転車の扱いがズバ抜けていました。こういう褒め方は誰もしていなかったと思います…。すごいぞー…。。。

見えないものを見つける

レース結果はわかりやすく、スゴイ!と思うことはある意味簡単なのですが、私はこういったことに選手の能力を感じ、スゴイなぁ、と思うことが多いです。以前に書きましたが、結果を生み出すものには諸要素ある、その一つができたからといってレースに直接つながるかというと遠く感じることであっても、競技に打ち込むことで養われる様々な能力、それらの総合力が精度を上げる(競技力につながる)っていうことなのではないかなぁ、と思います。勉強の成績や競技の成績といった結果が数字でわかるもの以外で、ジュニア期に競技に打ち込むことを通じて伸ばしていける能力をこの目で見ています。こうして伸ばした能力は、競技以外にも発揮できる能力です。社会に出た時、こういったことが自然とできる。生きていくうえで、必ず将来役に立つものだと思います。何者かになろうとするのは難しい、だけど、勉強や競技の成績だけで決めつけないで、能力に気づけばもっと道が広がるはずー・・・。こういったことを本人に伝える機会はないのですが。。

みんな、すごいぞ~~~!(遠くから叫ぶ(笑))