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ヒットの法則:驚き連打の法則

今日もご覧いただきありがとうございます。
今回は、恐らく多くの方が知っているであろう、ダイソンの掃除機を見ていきたいと思います。

ヒット商品がヒットした要因は様々あると思います。自分はこう考える、といった意見がありましたら、ぜひコメントに残していただければと思います。皆様のコメントによって、より多角的な分析に繋がると思います。

ダイソンについて

「吸引力が変わらないただ一つの掃除機」というキャッチコピーは、テレビCMでもおなじみで、ダイソンの掃除機と合わせて記憶されている方も多いかと思います。
ダイソンは1983年に紙パックが不要なサイクロン掃除機を開発、1998年には日本法人を設立しています。2004年発売のDC12、2009年発売のDC26と日本の住環境に合わせたモデルをヒットさせ、現在も日本の掃除機市場で大きな存在感を放っています。

ダイソンDC26(引用元:https://www.yodobashi.com/product/100000001001105303/)

驚き連打の法則

そんなダイソンが掃除機市場でヒットした理由は何か、一言でいうと、これまでの掃除機になかった「驚き」で日本の消費者を乱れ打ちにしたからだと思います。

製品の驚き

驚きの一つ目は、斬新なデザインです。
吸い取ったゴミが見える、特殊な形と他にはない色使い。当時の国内メーカーの掃除機はころんとした形の紙パック掃除機が主流で、ダイソンは文字通り斬新なデザインでした。一部、国内メーカーでもサイクロン式の掃除機もあったようですが、あまりゴミを見せるデザインはしていなかったようです。ゴミを見せることは汚く感じますが、ごみが取れてきれいになる達成感を感じさせる、言ってみれば「掃除のエンターテイメント性」を高めたのがダイソンの掃除機です。

価格の驚き

次の驚きは価格です。モデルにもよりますが、例えば、冒頭で触れたDC26であれば7万4,800円~8万9,800円という価格でした。
今でこそ、コードレス掃除機やロボット掃除機の登場で、10万円前後の掃除機は珍しくないですが、当時のダイソンは高額でした。
国内メーカーの中でも高めの価格のパナソニックが、DC26発売の翌年2010年に発売した掃除機がおおよそ5万円前後だったようです。型落ち品になれば3万円くらいで買えてしまう、その中で、ダイソンの価格は高額で、驚きだったでしょう。

パナソニックMC-SSシリーズ(https://panasonic.jp/soji/p-db/MC-SS300GX.html)

販促の驚き

次の驚きは、「一番よく吸う掃除機」だというイメージを植え付ける販促。「吸引力が変わらないただ一つの掃除機」というキャッチコピーはダイソンの掃除機で統一して、大々的に使われました。日本では倦厭されがちな、他社掃除機(さすがに明示されてはいないですが・・・)との比較といった、一歩間違うと不正競争になりそうなプロモーションで、一気にイメージを植え付けました。「一番よく吸う」という、通常エビデンスが出せない訴求を、言葉ではなくイメージだけで構築してしまった華麗な販促でした。
そもそも、ダイソンが海外メーカーだということも驚きだったことでしょう。ダイソンは海外からの黒船家電メーカーの代名詞的に扱われます。1990年代後半というと、家電と言えば、国内メーカーという色がまだまだ強かったでしょう。その中で、大々的な広告、「ダイソン」という響きは、目新しく映ったことと思われます。

有名なキャッチコピー(引用元:http://cameldrive.blog58.fc2.com/blog-entry-442.html)

販路の驚き

最後は販路立ち上げの驚きです。製品、価格、販促と三拍子で驚きを与えたダイソンの掃除機は、家電量販店を中心に日本の主戦場に一気に飛び込みました。豪華な展示台を用意して、掃除機売り場で一番目立つ場所を占領します。広告での露出と、店頭での露出、両方でそのイメージを確立しました。
今では、販路をうまく使い分けていて、テレビ通販やカタログ通販で型落ち品を少し安く売る、といった販売をしています。

売り場の例
(引用元:https://www.weeklybcn.com/journal/distribution/detail/20141023_54154.html)

以上、これでもか!といわんばかりに驚きを連打することで、「これまでと全く異なる掃除機」という日本の消費者にイメージを植え付けたのが、ダイソンの圧倒的なブランド力や売上につながった要因と言えるでしょう。

イメージだけではない

以上のように、驚きを連打したダイソンですが、その驚きはイメージだけではありません。
イメージに見合うだけの性能をもった製品を開発したり、日本法人を立ち上げることでサポート体制を整えたりと、当然必要になることをやったうえでの「驚きの連打」です。
現れてすぐに消えてしまった海外家電も存在します。イメージだけで展開をしているのか、それともメーカーとして必要なことをやったうえで、イメージの展開を行うのか、消えるか定着するかを分けている要因の一つとなります。

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