珍客とわたし


その日は早朝にお仕事、その後なんやかやとあり9時前に帰宅。そんなこの家の住人のわたくし、本日は疲れる仕事はしていないはずなのに疲れていた。
というわけで朝寝をした。

バザバサバサ
バサッバサッバサ

鳥らしき生物が羽をバタつかせる大きな音で目覚める。………なに?
記憶違いでなければ、わたしは一人暮らしだったはずなのに。状況が飲み込めないけれど、やけにリアルな夢だなと思いながら布団をかぶり夢の世界へ戻る。

そしてまたバザバサバサ、バサッバサッバサという音に驚き目を開けた。目を開けたけれどこれは夢?いやいやいや夢にしてはしつこい、うるさい。

布団から顔を出して周りを見渡す。
カーテンレールの上から、わたしを覗きこむ小さい鳥。

へっっっ???

向こうも???だっただろう。

見つめあって数秒、またお元気な(けたたましい)羽をバタつかせる音がする。
視線の先には部屋の中を忙しなく飛び回られるおそらく雀様の姿。

違うかもしれないけれど、もう雀様ということにしたいと思う。

これは夢じゃない、夢であってほしいけれど。

時々勢いよくどこかにぶつかる音もする。怖い、痛そう、どうしよう。

ぎゃーーー
え?え?え?
ちょっとどっから来たの??
窓開けるからさ、お願い静かにして!!

暴れまくる雀様に当たらないように、どうにか窓を開けたのだけれども………全く気づいてくれない。

ほら、ほら、ほら!!!

カーテンも開けた。
そして窓を更に開けた。

本当は汚部屋を向かいの人に晒したくなんてない。けれど雀様にとにかく外へ出ていただかないと、怖くてわたしはこの部屋で暮らせない。

動いたらぶつかるかもしれない。
布団に戻る、顔まで布団をかぶる。

バッサバッサバッサバッサ
ガンッッ
ッサッサバッサバッサバッサバッサ
バサバサバサーー
バザーーーーー

1時間経過

静かになったしと思ったら、またカーテンレールの上にいらして目が合った。

ひぃぃぃぃ!!!!

バザバサバサ
バサッバサッバサ
ドンッッ
ッサッサバサッ

布団をかぶる。

2時間後、上記と同じ。
3時間後、4時間後上記と同じ。

5時間後、ようやく静寂が戻ってきた。
窓を閉めた、カーテンは厳重に閉めた。

しかしどこから入ってきたのか?
そして本当に出て行ったかも不安だ。
頭をぶつけてどこかで倒れていたらどうしよう。

今もオロオロ、ヒヤヒヤしながら暮らしている。
目があった時の顔を思い出すと、まだちょっと怖い。
バッサバッサと響く羽音を思い出すと、まだかなり怖い。

夢であってほしいけど、夢じゃない。
今もゾワゾワが止まらない。

もしサポートをいただいたら……いただくことがあったら……どうしましょう??どうしたらいいのでしょう??その時に考えまずでも良いですか?