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次はどなたに渡しましょう

 たまたま週1のエクササイズで居合わせた、私より恐らく何歳か年上の女性が、あまりにも肌にハリがあり、艷やかだったのでつい『お肌が綺麗ですね!何かなさっているんですか?』と尋ねたら、その方は慌てて、『特に何も…。あ、そういえば知り合いのフェイスエステを月に1回。でも、今までそんなのこと言われたことなかったので、すごく嬉しいです。励みになります!』と満面の笑みで答えてくださった。その笑顔があまりにも眩しくて、私も幸せに包まれた。
 
 昨日、お茶をした職場の後輩は、しゃべっている途中に何かのきっかけがあったのか、突然こう言った。
『私、YUUさんのこと本当に好きなんです!クラスにいる片思いの人みたいに好きです!!』と謎の表現で明るく言い放った。まだ私達は何かを特別一緒にした記憶はなかったが、だからこそ、その根拠のなさに相反する好意が妙に嬉しかった。
 
 今日は、職場でいつものようにコピーを取っていたら、普段から仲の良い同世代の同僚が傍を通りかかり、ふいに私に向けて『今日も爽やかでいいねぇ』と、しみじみと褒めてくれた。私は彼からそんな言葉を聞くのは初めてだったので驚いたが、同時にありがたくて、笑顔で感謝の気持ちを伝えた。

 私は、特段優秀でも美人でも、スタイルが良いわけでもない。どちらかというとのんびり屋で、だからいつも慌てて仕事をしているし、締切に間に合わないこともしばしば。失敗や間違いだって日常茶飯事で、自分に自信がない方だ。子どもには大人げなく怒ることもあるし、夫にすら、もはや興味を持たれていない(少なくともそのように感じる)。
 
 でも、そんなのお構いなし、というか全くの別次元で、こうして受け入れてくれたり、認めてくれる人がいる。
 なんだか不思議なことだけど、とてもありがたく、後からじわじわと心が温められた。

 想像以上に自分のことは見えていない。他人の目をあまり気にしなくなって数年経つが、やっぱりどう見られているかなんて、知る由もない。
 もちろん、ただ聞こえていないだけで、いつも良いように見られているとも限らないわけだけど。
 
 でも、ほんの何気ない前向きな一言が、単なる日常をこれほど鮮やかで価値あるものにしてしまうとは。
 
 私も改めて好きなものは好き!良いもの
は良い!と声に出そうと決めた。きっとそこからまた素敵な連鎖が起きていくかもしれないから。

 
 
  

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