天理教の組織が絶対に変わる、たった一つの理由

①導入


さて、またまたセンセーショナルなタイトルで、皆さんをここにお呼びしてしまいました。


しかし、今からお話しするのは、衝撃的ではありますが、紛れもない真実です。


これから、天理教の組織は必ず変わります。


その確率は100%です。


なぜそんなことを言えるのか?


お話します。


本当はホワイトボードなどを使って図解しながら話した方が分かりやすい話なので、このnoteだけでは少し分かりにくいかもしれませんが、その点はご容赦ください。


②組織は疲労する


まず最初に皆さんに知っておいていただきたいのは、組織と言うものは30年で疲労する、ということです。


その疲労状態が長続きすると、必ず崩壊期を迎えます。


それは、歴史的に見ても例外の無い、自然の摂理ですから、どんな組織であっても必ずそうなります。


なので、組織を崩壊させないためには、30年に一度は、アップデートやマイナーチェンジをして、新しい風を通し続けなくてはならないのです。


では、どうして組織は30年で疲労するのでしょう?


それは、平均的に30年で、世代が変わるからです。


親世代から子世代へと、組織が受け継がれていくからです。


しかし、親と子が人間的に同一であることなど有り得ませんから、親世代では上手くいった組織の在り方が、全く違う子世代でも上手くいくとは限りません。


そこに、組織の疲労が生まれます。


③僕たちは、違う言語を話している


さて、今からお話しするのは、日本という社会全体で起こっている話です。


でもこの話を聞いていると天理教の人は「あれ?これって天理教も一緒じゃね?」と思われるでしょう。


でも、天理教だけじゃないんです。


他宗教でも、どの会社でも、学校組織でも、政治団体でも、人が関わっている組織であれば、全て、実は同じ問題に直面しています。


「組織問題は天理教だけの問題」だと思っていると、その視野の狭さは、様々な誤解を生んでしまいます。


教内という狭い視点だけで組織問題を語るのではなく、日本全体が抱えている社会問題を、どう解決に導くのか、という視点で、天理教も組織問題を考えなくてはならないと、私は思います。


その為には、まずこのことに気付いてもらいたいと思います。


私たち日本人は、今、違う言語を話しています。


「は?」と、思いますよね?


「いや、みんな日本語話してるじゃん」って。


でも、実は違うんです。


日本という国では、30年に一度、言語が変わっています。


ですから、私たちは30才も年が離れると、もうまともに意思疎通させることすらままなっていません。


「え?普通に意思疎通できてるよ?」と思う人は、まだ気づいていないだけです。


先ほどもお話したように、ヒトという生物は、平均30年で世代が変わります。


そして、日本と言う国では、ちょうど上手い具合に、30年周期で社会を大きく変える出来事が起こってきました。


なので、今年2020年から考えると、ちょうど区切り良く、日本人を4つの世代に分けることができます。


①120才~90才の、ひいじいひいばあ世代


②90才~60才の、ジジババ世代


③60才~30才の、パパママ世代


④30才~0才の、お子様世代


ネーミングに悪意があると感じられたらごめんなさい(笑)


分かりやすいかなと思って(笑)


さて、日本人は以上の4世代に分けることができます。


そして、この4世代では、価値観、物の考え方・捉え方、組織観や人間観といった、思考パターンがまるで違っています。


そのことを、私は「言語が違う」と表現しています。


さて、では実際にどのように違っているのか、順番に解説していきましょう。


④ひいじいひいばあ世代の、ひいじいひいばあ語


まず、この言語がいつ作られるのか?ということをお話しておきます。


それはおそらく、20才~40才の間、つまり、社会で主体的に活動している20年間です。


ここではその期間のことを、「主体期間」と呼びましょう。


その主体期間に身に着けた「言語」は、その後一生涯かけてもなかなか変えることはできません。


つまり、その世代が20才~40才の間に、日本という社会で何があったのか?


どういうことが考えられていたのか?


それを読み解くことができれば、その世代に通底している、物の考え方、つまり「言語」を、知ることができるのです。


ひいじいひいばあ世代が主体期間だった時、つまり1930年~1960年頃、日本で起こった最も大きな出来事は、なんといっても第二次世界大戦です。


むしろこの時代に起こったことは、それ以外にないというくらいに、この世代はこの大戦によって価値観を大きく変えられています。


この世代が、戦時中に考えていた、言葉はこうです。


「戦争って何だ?」「国ってなんだ?」「命ってなんだ?」


そんなことを、この世代は常に考えながら育ちました。


しかし、その疑問の答えは、常に国家が教えてくれました。


むしろ、国の言う通りにしなければ、処罰を受けたのです。


しかし、1945年、日本と言う国は敗戦します。


当時を生きた人々は、敗戦後、「日本は欧米列強に占領され、植民地になる」そう、本気で思っていました。


むしろ、そうならなかったのは、たまたま運が良かったのです。


なので、戦後になってから、この世代が考えていた言葉はこうです。


「自分の頭で考えろ」「自分の力で切り拓け」


もう、国など、自分以外の物に、自分の思考を預けてはいけないんだ。


世界は、自分の頭で考え、自分の力で切り拓いていくしかないんだ。


これが、このひいじいひいばあ世代に通底するマインドです。


そしてその精神で生きたひいじいひいばあ世代は、「東洋の奇跡」と称される、高度経済成長を達成するのです。


⑤ジジババ世代のジジババ語


この世代が主体期間を過ごした1960年~1990年は、まさに日本の絶頂期です。


1955年から、高度経済成長が始まります。


そして1991年から、バブルが崩壊します。


その間の期間、一番良い時期を、主体的に過ごした世代です。


この世代に通底する言葉はこうです。


「上の人の言うことを聞いていれば、間違いない」


そりゃそうですよね。


だって、その時の「上の人」は、「自分の頭で考え、自分の力で切り拓け」って考えて、実際に成功していたひいじいひいばあ世代です。


そんなすごい人たちの言うことなんだから、間違いないのは当たり前なんです。


しかし、ここで一つの弊害が生まれました。


上の人の言うことがあまりにも間違いないために、この世代の人たちは、「自分の頭で考える」ということを放棄します。


だって必要の無い能力ですからね。


その代わりに、この世代の人たちは、その時に必要な能力を、ちゃんと身に着けます。


その能力を、言葉にするとこうです。


「一生懸命」「根性」「頑張る」


これが、この世代に通底するマインドなんです。


ね?


どっかで聞いたような気がするでしょ?笑


⑥パパママ世代のパパママ語


さて、次にやってきたこの世代は、悲劇の世代です。


この世代が主体期間を過ごした1990~現在。


これは別名「失われた30年」とも言われています。


バブル崩壊から、アベノミクスが起こるまで、日本の景気は、一向に良くならなかったのです。


しかし、この世代が悲劇の世代と呼ばれる理由は別にあります。


その理由は、ジジババ世代にあります。


ひいじいひいばあ世代が、社会から勇退していった後、日本の社会は、ジジババ世代が動かすことになりました。


しかし、思い出してみてください。


ジジババ世代の言語を。


「上の人のいうことを聞いていれば、間違いない」


ジジババ世代は、この言語を継続して用います。


だって、今まで自分たちは、この言葉を守っていて、失敗したことが無いんです。


成功体験しかしていないんです。


だから疑うことを知りません。


なので、この言葉を継続して使ったジジババ世代を責めることは、私はできないと思います。


誰だって、この世代に生きていたら、そういう思考しかできなかったんですから。


しかし、景気は一向に良くなりません。


それでもジジババ世代の言語は、主体期間も終わって完成してしまっているので、もう自分でも変えることができません。


そこで、ジジババ世代は、自分たちの価値観を元に、別のところに原因を見つけて、パパママ世代にこう言います。


「もっと一生懸命やれ」「根性を出せ」「頑張ればできるんだ」


自分たちは、それで、上手くいってきたんだから、と。


これは、もう悲劇以外の何物でもありません。


誰も悪くないのに、全てが悪循環という、最悪の30年間だったのです。


そんな時代を生きた、パパママ世代に通底する言葉はこうです。


「本当にこれで良いのか?」


悲痛な叫びですよね。


もう少し続きます。


「多分、間違ってるよな?」「でも、上の人が言うんだから、仕方ない」


今、日本人の中で、最も苦労をしたのは、間違いなくこのパパママ世代です。


はい、そこで、満を持してやってくるのが、我らがお子様世代です。


⑦お子様世代のお子様語


先に言っておきます。


この世代は、はっきり言って化け物です。


モンスターです。


モンスター世代です。


これから、ジジババ世代も、パパママ世代も、このモンスター世代の恐怖に怯えながら過ごさなくてはなりません。


この世代が主体的に生きた期間は、まだそんなにありません。


2010年から現在までの、せいぜい10年くらいです。


しかし、このたった10年くらいでも、モンスター世代の脅威は、確実に社会を脅かしています。


この世代は、別名ゆとり世代とも呼ばれていますね。


このゆとり世代が社会に入ってきてから、最初にびっくりしたのはジジババ世代です。


「おい、新人君。今日一緒に飲みに行こうか?」


「イヤです」


「え?今、なんて言った?」


「ですから、イヤです」


「え?私は、部長だよ?そして君は新人だよね?」


「はい。知ってます」


「だったら、来るよね?」


「イヤです。それって業務時間外のことですよね?だったら関係ないです。帰ってゲームしたいです」


「・・・・・・・」


みたいなことが、社会のいたるところで一斉に報告されるようになりました。


モンスター世代に通底する、最初の言葉はこうです。


「イヤなもんはイヤ」


今まで、パパママ世代が間違っていると気付いていても言えなかった「No」という言葉を、この世代は躊躇なく言うことができます。


パパママ世代にも、セクハラ、という言葉はありました。


しかし、この10年で一気に、パワハラ、モラハラ、アルハラ、スメハラ、レリハラ・・・・・。


数えていけばキリの無いくらいの〇〇ハラスメントが生まれましたよね?


でもよく考えてみてください。


パワハラもモラハラも、絶対に今よりも昔の方がキツかったはずです。


今なんてかなり優しい方です。


それなのに、むしろ今になって〇〇ハラスメントが急速拡大しているのは、モンスター世代が「イヤなもんはイヤ」だと、はっきりと言い出したからです。


結果、今までやりたい放題していたジジババ世代が、モンスター世代にだけはむしろ気を遣い始めました。


「変に関わって、訴えられたら敵わん」


「今の若い者は、何を考えているのか全く分からん」


「意思疎通ができん」


今になって、世代間で言語が違っていることに、薄々勘付き始めたのです。


しかし、ジジババ世代は、パパママ世代とは意思疎通ができていると感じてしまっています。


「こいつら(パパママ世代)は、黙って言うことを聞いてくれていたのに、若いモン(お子様世代)は何か違うぞ」


と。


黙っているその裏では、確実に心が離れていってしまっていたことにまでは、まだ気付いていないのです。


⑧モンスター達が社会を変える


この10年でも、随分と社会は、モンスター世代にとって生きやすい社会になりました。


たった10年で、60年間変わらなかった社会の形を、しかも一番下の立場から変えてしまうのです。


本当に化け物です。


しかし、逆にモンスター世代の言いなりになっていた、ジジババ世代とパパママ世代にも、我慢の限界があります。


「そんなにイヤイヤ言ってたらダメだ!」


と。


次に飛び出す言葉はこうです。


「じゃあ辞めます」


この言葉が出てくるならまだマシです。


「分かりました」


からの、黙って辞表、です。


モンスター世代に通底する、2つ目の言葉はこうです。


「我慢してまでやることは無い」


そして、モンスター世代たちは、我慢しなくてもできる、魅力的で楽しい場所に集まっていきます。


魅力が無くて、楽しくない場所は、黙って何も言わずに見捨てていきます。


モンスター世代は社会の中から、自分たちにとって要らないものからは去り、要るもののところにだけ残る。


そうすることで、社会から自分たちにとって不必要なものを勝手に自然淘汰させていきます。


結局、今後の社会を担っていくのは、モンスター世代です。


その世代に嫌われてしまった組織は、存続させることができません。


消されてしまいます。


なので、嫌々でも、ジジババ世代・パパママ世代が、お子様世代の顔色を、窺わざるを得ない。


そんな構図が、この10年でだんだんと出来上がりつつあります。


そしてこれからの10年で、この構図は完成されてしまうでしょう。


⑨モンスター世代誕生秘話


では、そもそもなんでこんな世代が生まれてしまったのか?


という話をしましょう。


モンスター世代は、まだ主体期間をそれほど過ごしていません。


なのに、なぜ既にこれほどまでに、社会に対していきなり主体的に意見を出せるのでしょう?


ゆとり教育の影響。


確かにそれもあると思います。


ただ詰め込まれるだけの勉強ではなく、自分から主体的に勉強に取り組む、という態度は、他の世代よりかは育っているでしょう。


しかし、それだけではモンスターは生まれません。


より大きな要因は、生育環境の違いにあると、私は考えています。


ひいじいひいばあ世代やジジババ世代は、幼少期には3世帯で、つまり、おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さんと一緒に暮らして育ちました。


また、近所のおじさんおばさんとも関わりながら育ちました。


つまり、たくさんの大人に囲まれて、大人たちから多くのものを吸収し、学びながら過ごしてきました。


そしてこう学びます。


「大人たちの言うことは正しい」


パパママ世代になると、核家族が増えます。


両親はまさに働き盛りなので、子どものことにつきっきりになるわけにもいきません。


それでもまだ専業主婦の多い時代ですから、それなりに大人たちに育てられます。


けれどもその頃には、テレビも普及し、周りの大人たち以外からの情報源もあります。


そして、こう学びました。


「大人たちの言うことは、たまに間違う」


パパママ世代は、大人を疑うことを覚えたわけですね。


お子様世代の時期になると、核家族化も更に進み、また共働きや、片親家庭も増えます。


しかし、それだけではまだモンスターは生まれません。


もう1つ、確実に必要なきっかけが、1995年、起こります。


1995年、それは、日本においては大転換の年です。


この1995年以降の時間で育ってきたから、モンスターはモンスターになったのです。


1995年に何があったか?


阪神淡路大震災。地下鉄サリン事件。新世紀エヴァンゲリオンの放映。


そのどれもが後の時代に大きな転換を与えています。


しかしこの件に関して最も影響を与えた事柄、それはインターネットの普及、です。


1995年は、日本のインターネット元年と呼ばれています。


モンスター世代は、インターネットと共に育った世代です。


インターネットを使えば、誰でも、いつでも、どこでも、最新の一次情報が、手に入ります。


モンスター世代にとって、周りの大人から学んだことは、どれほどあるでしょう?


大人が教えてくれたことよりも、テレビで、ゲームで、マンガで、インターネットで、学んだことの方がずっと多いです。


そしてこう学びます。


「大人の言うことよりも、ネットの情報の方が正しい」


こう言うとジジババ・パパママ世代は「ネットにも間違った情報はある!」と、ムキになって言うのがいつものことなんですが、残念ながら、周りの大人の言うことと、ネットの情報、どっちが正しいかと言われたら、ネットに軍配が上がるのは、もう避けようの無い事実です。


もちろん、ネットに間違った情報があるのは事実です。


しかし現代は、ネットに間違った情報があると、「その情報は間違っている!」と、すぐに新しい情報が飛んでくる時代です。


結果的に、ネット上の情報は、どんどん正されていきます。


今後も、「大人の言うこと」が「ネットの情報」に勝てる時代が来ることは、おそらく無いでしょう。


だから、モンスター世代には自信があるのです。


上司から間違っているなと思うことを言われたら、「間違っている!」と言えるのです。


だって、ネットにそう書いてあったんですから。


⑩これから、日本はどうなる?


さぁ、日本と言う国は、だんだんとモンスター世代を中心に回り出そうとしています。


かく言う私もモンスター世代なんですが、「じゃあこのモンスター世代の快進撃を、どうやって止めたら良いんだ?」と聞かれたら、私にも「分かりません」と答えるしかありません。


モンスター世代の快進撃は、もはや自分たちでも止めることのできない、本物の化け物として、日本社会の中に君臨しています。


このことを、好意的に捉える人も居るでしょう。


「モンスター世代が、今までなかなか変わらなかった日本を、良い方向に変えていってくれるじゃないか」


「ひいじいひいばあ世代の、再来なんじゃないか?」


と。


しかし、ひいじいひいばあ世代と、モンスター世代を対比させると、その違いがよく分かります。


社会を、自分たちで変えていく、という点では一緒です。


でも、ひいじいひいばあ世代の、「自分の頭で考えろ」「自分の力で切り拓け」に対して、モンスター世代の言葉はこうです。


「自分の心で感じろ」「自分は無力だ、切り拓けない」


モンスター世代には、社会を良い方に変えていこう、なんてモチベーションは、これっぽっちも無いのです。


ただ、「イヤなことはイヤ」「我慢するくらいなら辞める」ということをやっているだけで、結果的に、勝手に社会の方が変わってしまうだけです。


ひいじいひいばあ世代は、創造者でしたが、モンスター世代は、ただの破壊者です。


まず、「自分の心で感じろ」とはどういうことか、説明します。


心理学の母と称されるユングは、人間には4つの機能があり、その機能の偏りによって、4つのタイプに分けられる、と考えました。


物事を、見たままありのままに捉える感覚機能、目に見えないものをひらめきで捉える直観機能、好きか嫌いかといった心情で判断する感情機能、論理や合理性で判断する思考機能の4つです。


ひいじいひいばあ世代の快進撃は、直観と思考に支えられたものでしたが、モンスター世代の快進撃は、感覚と感情に支えられています。


モンスター世代は、今ある現状をありのままに捉えて、その好き嫌いを判断する、ということにとても長けています。


しかし裏を返せば、その現状に至るまでの裏には、どんな目に見えない過程があったのか?なんてことには目がいきません。


その現状が悪いのなら、自分の思考と力でどう変えていこう?という向上心もありません。


ですから、モンスター世代の前では、伝統や歴史といったものは無意味です。


今まで脈々と受け継がれてきたものも、「それって意味あるんですか?」の一言で一蹴されます。


「いや、意味とかじゃなくて、さ、ほら、あるじゃん?目に見えない大切な、さ?」


みたいな言語は、モンスター世代には伝わらないのです。


また、「ゆとり世代は、指示をしないと動かない」という、いわゆる指示待ちの態度が指摘されています。


これも、この機能の偏りから来ることでしょう。


感覚と感情に特化した結果、言われてないけど、状況的にやらなきゃいけないことを自分で見つける、という直観機能、指示されなくても、自分の頭で考えて判断する、という思考機能が、未発達なのです。


モンスター世代は、頭で考えて、生きているのではないのです。


自分の心で感じることを、他のどんなことよりも大切にして、生きているのです。


さて次に、「自分は無力だ、切り拓けない」とはどういうことか、説明します。


モンスター世代は、そんな強い一面とは裏腹に、通底した無力感を持っています。


自分たちが、何かを成し遂げられるなんて思っていません。


自分たちが、何者かになれるとも思っていません。


成功者になりたいとも、お金持ちになりたいとも、良い物を食べたい、良い車に乗りたい、良い家に住みたいとも思っていません。


だって、そうなる為には努力をしなきゃいけないんですから。


「努力するくらいだったら、ほどほどの幸せで十分だ」


そんな言葉が、この世代を支配しています。


生活も便利になって、安価な娯楽もたくさんあって、お子様世代は、もう現状に満足しています。


別に、我慢して、努力してまで、これ以上に上を目指す必要性を、一切感じていないのです。


さて、そんな破壊者、モンスター世代が通り過ぎた後の日本は、どうなっているでしょうか?


社会的焼け野原になった日本の上に、一体誰が何を建てるのでしょう?


お子様世代の下の、孫世代に期待するしかないのでしょうか?


それよりかは、外国から独裁者がやってくる方が、私は早いと思いますが、ね。


⑪じゃあ、天理教はどうする?


さて、ここまで、お話してくると、さすがに私が「天理教の組織が絶対に変わる」と言い切れる理由が、お分かりになったことでしょう。


そうです。


モンスター世代の時代が来たら、天理教だって確実に変わります。


だって、僕たちにとって、今までのしがらみとか、伝統とか、風習とか、そんなの関係ないんですもん。


自分たちの時代が来たら、今まで積み重ねたものとか一切関係なく、自分たちがやりたいように、勝手に組織も作り替えちゃいますよ?


嘘だと思うんだったら、これから10年間の日本の社会を見ていてください。


天理教よりも、確実に日本社会の方が先に変わります。


だって、会社には定年がありますからね。


後10年で、この日本社会から、ジジババ世代は全て、一線を退きます。


残るのは、現状に疑問を抱き続けてきたパパママ世代と、破壊者モンスター世代だけです。


そうなったら、今まで目の上のたんこぶがあったせいでできなかった改革を、どんどん推し進めていくでしょう。


社会は確実に変わります。


定年の無い、政治の世界や、宗教界は、この動きからは取り残されていくでしょう。


そのことを、「これだから天理教は社会から遅れるんだ」「ジジババ世代には、一刻も早く勇退してもらった方が良いんだ」と、考えられる人も居ると思います。


その考え方は間違っている、なんてことは、私には言えません。


けれども私はここで、もう一つの道を、提案したいのです。


⑫世代間を超えて手を取り合おう。言語を通訳していこう。


日本社会は、後10年で変わります。


天理教が変わるには、このまま行けば後30年はかかるでしょう。


それを「遅い」と感じるのも、人それぞれです。


でも私は、30年も猶予がある、と捉えます。


急すぎる変革には、必ずついていけない人が出てきます。


日本社会においては、勇退した後のジジババ世代は、確実に社会から取り残されます。


今社会で何が起こっているのか、全く分からない。


自分たちとの時代とは全く違うルールで動き出した社会の中で、意味が分からないままに、余生を終えていきます。


天理教も、それと一緒で良いんでしょうか?


今まで、確実に社会を、天理教を、支えてきてくださった世代の方々に対して、最後にすることが、それで良いんでしょうか?


ジジババ世代の今までの仕打ちに対して、恨みつらみがあることは、よぉく分かります。


それでも、「だからやり返すんだ」という思考は、宗教家としては、どうなんだろう?と、少し思いとどまっていただきたいのです。


なので、私は、社会の先を行く為に、社会から遅れるという選択を、ここでは取りたいと思っています。


この世にある全ての競技が、「速い方が勝つ」というルールで成り立っているわけではありません。


例えば、じゃんけん。


じゃんけんは、後出しをした方が、勝つに決まっています。


10年後、社会は大きく変わっています。


その時、良いことばかりだけでなく、本当は大切だった価値観が、失われてしまっていたりもするでしょう。


そうした手を先に出した社会に対して、「先人の知恵にも、大切なものはあったんだ」という手を、後出しするのが、宗教であるべきではないかと思うのです。


その時、その手を出すのが、天理教のジジババ世代であっては、意味がありません。


「あぁ、また宗教がなんか古臭いことを言ってるよ」


で、終わります。


この手を出すのは、パパママ世代か、できればお子様世代の、若い人間でなければいけません。


若い人間が、「じいちゃんばあちゃんは偉大だった!」と、褒める言葉は、ジジババが自画自賛する言葉より、確実に響きます。


その為にも、私たち若い世代は、もう一度、ジジババ世代と話し合わなくてはなりません。


「いや、もう十分話し合ってきたよ!それで伝わらなかったんじゃないか!」


という声も聞こえてきそうです。


でも、思い出してください。


伝わらなくて当然です。


だって私たちは、違う言語を話しているんですから。


なので、必要なことは、通訳です。


私たちの、パパママ語や、お子様語で、ジジババ世代と話していたって、そりゃ伝わらなくて当然です。


なのでまずは、こちらから、ジジババ語を学ぶことから始めましょう。


今、ジジババ世代には、「社会についていけない」という、疎外感があります。


自分たちが取り残されていることに、ちゃんと気付いています。


そして、「また若いもんが何か分からんことやっとる」という、ひがむ気持ちがあります。


そして、「お前たちはどうせ、わしらが正しいと思ってやってきたことが、間違っとるって、そう言いたいんだろ?」と、意固地になっています。


だから、余計に、若い人の言うことを、聞きたくないんです。


本当は、自分が社会の新しいルールについていけていないこと、若い人に椅子を明け渡した方が、きっと上手くいくんだろうということも、ちゃんと分かっています。


しかし、それでもその椅子にまだ執着するのには、ちゃんと理由があるんです。


それは、「わしはまだ、息子娘に、孫に、本当に大切なことを、受け継げていない」、そう、感じているからです。


受け継ぐ、引き継ぐ。


それは、現代日本社会では、非常に難しい作業になってしまいました。


30年という時間と、言語の壁によって、今日本の世代は完全に4分割されてしまっているからです。


「他の世代は知らないけれど、俺らには俺らの考え方がある」


そう、どの世代も思ってしまっているからです。


でも、今こそ天理教は、この難しい作業をやりませんか?


ひいじいひいばあ語や、ジジババ語は、若い世代にとっては、無価値で無意味なことばかり言っているように聞こえます。


だって、いつも、目に見えないことばかりについて話すんですもん。


「それに何の意味があるんですか?」「それって非効率ですよね?」


そんな、パパママ語、お子様語で否定することは簡単ですが、ここに、今は耳を傾けておいた方が良いと思うのです。


何故なら、10年後以降の、ひいじいひいばあ語やジジババ語が無くなってしまった社会の中では、今度はその言語が、真新しくなって響くからです。


その響かせる作業を、社会のどこも担おうとしないのであれば、その役割は、宗教が担いましょうよ。


その為に、まず、ご老人を讃えるところから始めましょう。


今までの功績について知りましょう。


そして、感謝しましょう。


その上で、その功績の中にあった精神を、受け継ぎましょうよ。


そしたら、後は「引き際をどう美しくするか」しか考えることのないご老人様方も、気持ちよく、席を譲ってくださいます。


お互い気持ち悪く、席を取り合っているより、お互い気持ち良く、席を受け継いだ方が良いと思うのです。


ジジババ世代の方々も、自分たちの気持ちを知ってほしいのです。


異言語を話しているのですから、その言葉の意味を考えたら、そりゃ、私たちと意見が合わなくて当然です。


でも、その言葉の奥にある気持ちを知ろうとしてみてください。


外国の人と話してる時も、言ってる意味は分からなくとも、気持ちは何となく伝わりますよね?


それくらいで良いのです。


これから10年で、そんなことをやろうたって難しいです。


だから30年かけて、ゆっくり変わっていきましょうよ。


ほっといたら組織が変わらないって言うなら、そりゃ組織を「どう変えるか」を必死に考えて、急いで動き出した方が良いでしょう。


でも、ほっといたって組織は勝手に変わります。


そういう役割を神様から授けられた、私たちモンスター世代は、ほっといたって、勝手に組織を変えちゃいます。


どうせ変わるってことが決定事項なんだとしたら、次は「どう変わるか」を考えましょうよ。


今の天理教の組織は、組織疲労でボロボロになった、オンボロ飛行機のようなものです。


ゆっくり下降し続けていて、そろそろ地面に墜落します。


それは避けられません。


でも、急激な組織改革を望んで、強引に世代交代しても、この組織はその着陸の衝撃には耐えられず、大破してしまうでしょう。


それなら、ゆっくりと時間をかけて、「受け継ぐ」「引き継ぐ」作業をちゃんとやって、全世代が手を取り合って、この組織を軟着陸させましょうよ。


それから更に時間をかけて整備作業やって、故障個所は直して、それからまた、空を飛べば良いじゃないですか。


⑬終わりに


もうお分かりいただいてはいるでしょうが、今まで話してきた世代の話は、人間には個人差がありますから、その世代に属する人全てがそうだというわけではなく、総じて見ると、その傾向にある、という話です。


ですが、言われてみればそうだな、と思われる節は、あったのではなかろうかと思います。


神様の作戦は、私たちモンスター世代をこの世に送り出した、30年前からもう始まっていました。


どうあがいたって、今の組織制度は、長くてあと30年の命です。


どうせなら私は、今のこの組織制度も、温かく看取ってやりたいと思ってます。


そう遠くない未来(30年より後であることを信じます)、社会が宗教を必要とする時が必ず来ます。


その時に、天理教は精神的にも組織的にも、世界に言葉を伝えるだけの力を持っていないといけません。


その為に、この融和策が適切ではないかなぁ、と、私個人としては思います。


皆さんも、それぞれご意見あるでしょう。


ジジババ世代、パパママ世代でこの記事をご覧になった方々は、今の若い子らはこんなことを考えているのか!と、驚かれた人も多いと思います。


世代の言語を超えた交流には、自分たちの世代では思いも寄らなかった発見が、たくさんあります。


どうか、これから天理教内で、世代間の言語の壁を越えて、より多くの交流が持たれ、陽気ぐらしへと向かっていくことを、切に願います。

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