英語の授業に洋楽を♪【現在完了形】の理解・定着と自己肯定感を高めるために

 今回紹介する洋楽は、
   QueenWe Are The Champions です!

 検定教科書では、中学校3年生の1学期に現在完了形を学ぶようになっています。2021年度より、単語数も本文の長さも「半端ない!」状況になっていて、「洋楽を授業で扱いたいけど、無理!」、という先生方が多いかもしれません。それでもやはり、おすすめします!英語の授業に洋楽を♪

Let's Listen!



Let's Read!

I paid my dues time after time

I’ve done my sentence but committed no crime

And bad mistakes I’ve made a few

I’ve had my share of sand licked in my face

But I’ve come through

We are the champions, my friends

And we’ll keep on fighting till the end

We are the champions

We are the champions

No time for losers

‘Cause we are the champions of the world

I’ve taken my bows and my curtain calls

You brought me fame and fortune

And everything that goes with it

I thank you all

But it’s been no bed of roses

No pleasure cruise

I consider it a challenge before the whole human race

And I ain’t gonna lose

We are the champions, my friends

And we’ll keep on fighting till the end

We are the champions

We are the champions

No time for losers

‘Cause we are the champions of the world

We are the champions, my friends

And we’ll keep on fighting till the end

We are the champions

We are the champions

No time for losers

‘Cause we are the champions of the world

〈主な単語の意味〉
・pay one’s dues 義務を果たす、下積みを経験する
・time after time 何度も何度も
・sentence 文章、判決、刑
・go on 続ける、進む
・bow お辞儀をする
・bed of roses バラを敷き詰めたベッド、安楽な境遇


【 My Teaching Plan 】

Let's Teach!

 私だったら、こんな風に授業します。まず Queen の写真を見せます。Do you know who they are? など、2学期に学習する間接疑問文もバンバン使って導入します。ここで教師が使う英語は、事前に書き出してみます。使う単語や文法など、既習事項をたくさん使用し、そして、ちょっと先取りの表現なども入れてみます。そうすることで、自分が学んでいることが実際にどのように使われるのかを体験的に知り、テストで問題を解くために単語や文法を勉強しているのではない、ということを学びます。そして日頃から生徒理解に努め、Queen ファンや洋楽ファンが誰であるかを把握しておきます。教師は、それらの生徒や、向上心のある生徒とアイコンタクトを取り、彼らの表情の変化を感じ取ります。興味のある内容との出会いで、彼らの目が輝く瞬間が必ずあります。時々、スローラーナーが置いていかれていないかを確認します。教師は、写真を彼らに向けてわかりやすく提示したり、"They are musician." などと洋楽ファンの生徒が返答したときに、ギターを演奏するようなジェスチャーをいれて、スローラーナーが「わからなくてつまらない。。。」と思う瞬間を作らないようにします。

そして、
I'd like you to listen to my favorite song. / I'm going to introduce my favorite song. 
This is the best song that I've ever heard. / This is one of the most famous song in the world.
The title is ~ . / The song is called ~ .
It is written and sung by ~ . 
Have you ever listened to it? / Do you like it?
などと会話をした後、皆で視聴します。スローラーナーの生徒は、意味不明の問題を解かされるのではないので、音楽ぐらいなら聴いてやろうか、と聴いてくれます。音楽に興味のない生徒には、「聴き取れた単語や内容を後でペアやグループでシェアしてもらうから、よ~く聴いてね!メモを取ってもいいよ。」や「”champions”という単語は何回歌われるでしょうか?」と予想させて、「では実際に聴いてカウントしてみましょう」と言うと、少しでも前向きに聴いてくれます。Queen ファンや洋楽ファンには、「わかるところは一緒に歌ってもいいよ。」と言っておくと、早く聴きたい!と思ってくれます。


Let's Dictate!

 歌詞の穴埋めプリントを作成し、聞き取らせます。今回は文法の観点から、現在完了形の歌詞を(blank)にするといいでしょう。もちろん、何をねらいにするかで、(blank) にする箇所を変えることもできます。今回は、歌詞の内容の理解を深めるため、現在完了形の部分を書き取らせるようにします。生徒の理解状況に応じて、I've had / I've done / I've made など、選択肢を用意して選ばせると、生徒があきらめることなく、「やった!聴き取れた!」という喜びを感じることができると思います。


Let's Check Comprehension!

 穴埋めの答え合わせや、歌詞の概要を確認します。歌詞の和訳を歌詞プリントの裏面に印刷しておいてもいいでしょう。ここであまり長く時間をとらないように、というか、教師の長い説明は避けます。「現在完了形のフォームは have +過去分詞 で、、、」から始まる説明や「この単語の意味は~、これは~という意味で、、、」という一つ一つの単語の意味の確認などは、せっかくの生徒と洋楽との出会いをつまらないものにしてしまいます。そしてそれが英語の授業で洋楽を取り扱う目的ではありません。文法は、既習事項であること、未修単語は、プリントに意味を載せておくなどしておくと避けられます。


Let's Understand what Queen wanted to say.

 歌は作曲家・作詞家、シンガーの思いを感じ取ることで、生徒の心に響きます。音楽は人を感動させます。人は伝えたいことがあるから言葉を使います。音楽の楽しみ方を授業でも生徒と一緒にします。

 そこで道徳の「発問」と同じように考えてみます。
この曲では、
       Who are "We" in this song?
という発問をしてみます。
すなわち、「俺たちチャンピオンだ!」と言っている「俺たち」って、だれのことでしょうか?ということです。少しの時間でもいいので、ペアやグループで意見を出し合わせます。生徒からは、「この曲を歌っているQueen の人たちだ」といった答えがでることが予想されます。「クィーンは勝ち組で他の人は負け組というメッセージ?」などという意見が出てくるかもしれません。ここで生徒から出てきた意見は、決して否定せず、You think "We" are Queen's members. I like your idea. など返してあげます。そうすることで、生徒がお互いの意見を受け入れる大切さを実感することができるでしょう。

 ここで、この曲を作詞作曲したフレディ・マーキュリーが Queen のオフィシャルサイトで 述べている、この曲に対する想いを生徒に紹介します。

I wanted to write something that everyone could sing along to. And at the same time, I thought it would be nice to have a winning song that’s meant for everyone.”
“みんなが一緒に歌える曲を書きたかった。それと同時に誰もが楽しめる、全ての人に向けた「勝利の歌」になるようにってね。”
                    ーフレディ・マーキュリー

また、フレディ・マーキュリーは「あの曲は基本的に観客に参加してもらう曲、~(中略)~大衆がどうやって一丸となるのかという観点で考えただけなんだ」とも言っています。

 これらのフレディの発言から、この曲はフレディ自身の傲慢さを表現した曲ではないことに気づきます。


Let's Watch!

 ここで曲の内容の理解を深め、またリスニング教材として、この曲の制作秘話のビデオを見せます。これは、バンドの結成50周年を記念して毎週1本ずつ全50本の動画が公開されているクイーンのビデオシリーズ「Queen The Greatest」の第13弾です。



このビデオの中で、ギタリストのブライアン・メイが、この曲は「自分たち(Queen) がチャンピオンだと歌っているのではなく、世界中の一人一人がチャンピオンだと歌っている曲」と言っています。


Let's Talk!

 ここで教師の、生徒への愛のこもったメッセージを伝えます。「クラスのみんな一人ひとりがかけがえのない存在で、みんなが先生にとってもチャンピオンだよ。」、合唱コンクールや体育祭の後に「勝ったクラスも負けたクラスも、みんなで力を合わせて協力し、一生懸命取り組んだ。最高の思い出を作ってくれた。そんな意味で、ここにいる全員チャンピオンだと先生は思っている。」など、先生方、思ったことはありませんか?これが、この曲を授業で取り扱う目的です。生徒の自己肯定感を高めます。生徒が自分の存在を自他ともに認め、これからも自分らしく前へ進んでいこうと思ってくれたら、教師としては最高です。
 この教師の最後のメッセージは、生徒との信頼関係や過ごしてきた時間の長さ、濃密度で、英語と日本語を使い分けるといいでしょう。そしてぜひオリジナルのエピソードなども入れて、本当に心を込めて生徒への想いや感謝の気持ちをお伝えください。そして最後にもう一度聴いたり、歌ってみたりしてみるといいかもしれません。生徒にとって一生忘れることができない、思い出の曲になると思います。


ちなみに

 この曲は、2020年に Queen と Adam Lambert が、「We」を「You」に変えて、「You Are The Champions」というタイトルで、YouTube 配信しました。彼らはこの曲の中で、コロナ禍におけるエッセンシャルワーカーたちへの敬意を表現したそうです。収益の全てをコロナウィルス基金に寄付するとも発表しています。




 最後までお読みくださりありがとうございました!今後もお役に立つ情報をお伝えしていきます。よろしければまた訪れてみてくださいね!
 先生方、毎日お疲れ様です♡ 子どもたちの笑顔は先生方のおかげです!

 Thank you so much for reading. I hope you like it. Can't wait to see you again! Bye for now.



【英語の先生のためのひとことEnglish】

It’s boring that it was planned.  計画したことなんて、つまらない。
                 ーフレディ・マーキュリー

授業が指導案通りにいかなくても大丈夫です。計画通りの授業なんてつまらない、生徒の意外な反応を楽しみましょう!


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