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映画『シリウスの伝説』いちごの王さまからのメッセージ(いちご新聞が見たサンリオ映画③)

『いちご新聞が見たサンリオ映画』シリーズ第三弾は、1981年6月号に掲載された、映画『シリウスの伝説』に関連した辻信太郎社長(当時)による「いちごの王さまからのメッセージ」を紹介いたします。辻社長のアニメーションへの熱意、作品への愛と意気込み、そしてスタッフたちに対する感謝の気持ちが文章に込められています。記事の無断転載はご遠慮ください。

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いまから20年以上も前に、王さまは〝ファンタジア〟というアニメーション映画をみたんです。この映画はウォルト・ディズニーという人が作ったものですが、それはそれはすばらしいものでした。王さまは、みおわったあとも胸にこみあげてくる感激で、しばらくは動くこともできなかったのをいまでもはっきりおぼえています。それいらい、王さまはほんとうにすばらしいアニメーション映画を作ることが夢でした。テレビのマンガ映画でなく、ほんとうのアニメーション映画を作ること、そして、ぜひ一度ウォルト・ディズニーにも会ってみたい、それが夢だったのです。でも、ウォルト・ ディズニーは王さまが会うことのできないうちに亡くなってしまいました。ウォルト・ディズニーが亡くなった時に、王さまは、ますますほんとうのアニメーション映画を作りたいと、もういてもたってもいられないような気持ちになりました。すばらしいアニメーション映画を作りたい、みんなによろこんでもらえるようなアニメーション映画、ものすごくたくさんの時間と人手とお金がかかるために、もうほとんどだれも作らなくなってしまったアニメーション映画、でも、だれの心の中にも、子どものころにみた、あのディズニーのアニメーション映画はしっかりと残っているのです。そんなみんなの心の中に、おとなになっても、すてきな思い出として残っていくようなアニメーション映画を作りたい、いや、つくらなければならない。もう最後には、そんなふうにまで思うようになったんです。王さまはアメリカのハリウッドをとび歩きました。すばらしいアニメーション技術を持った人々をたずねまわりました。でも、アニメーション映画はお金と時間がかかりすぎる、けっしてうまくいかないって、みんなみんな、アニメーション映画を作ることに反対なんです。王さまはとっても悲しくなってしまいました。このままじゃ、アニメーション映画はなくなってしまうんですよ。アニメーション技術を持った人々はいなくなってしまうんですよ。これからおとなになる子どもたちは、ほんとうのアニ メーション映画をみることができなくなってしまうんですよ。王さまは、会う人会う人みんなに話しました。そして、ますますアニメーション映画を作らなければならないって、自分でも決心をかためたんです。そして、ついにハリウッドに大きなスタジオを作り、すばらしい技術を持ったアメリカのアニメーターの人たちを集めました。そして、日本からもたくさんの若いアニメーターをよんで、そこで勉強してもらうことにしました。それから4年かかってできあがったのが、3年前に日本では東京の日比谷の有楽座という映画館をはじめとして上映された〝星のオルフェウス〟というアニメーション映画でした。でも、この映画は、あれだけの時間とお金をかけたけれども、みにきてくれた人はわずかでした。とても悲しかったけど、でも、とってもすばらしいこともあったんです。それは、サンリオのアニメーターの人たちが、ディズニー・プロダクションで仕事をしてきた大先輩たちから、ほんとうのアニメーション技術を学んだことでした。そして、そのスタッフの人たちといっしょに、王さまは、また新しいアニメーション映画を作りつづけました。そして、その中でもとくに大がかりなアニメーションがいよいよできあがったのです。〝シリウスの伝説〟いままでだれも作ることのできなかったアニメーション映画でもっともむずかしくって、もっともすばらしいといわれている〝火と水〟をえがきだすアニメーション。いま完成したのです。
それがこの夏休みに全国でロードショウ公開さ れる〝シリウスの伝説〟なのです。このものがたりは〝愛〟のものがたりなんです。あの冬空 に白くかがやく天犬座の主星シリウスのものが たり。燃えに燃え、それでもなお燃えつづける 恋、はてしない苦しみや悲しみ、そして喜びを 秘めた恋の星シリウスのおはなしなんです。王さまが2年以上もかかってかきあげたこのもの がたりは、なんと8万枚という信じられない数の絵を一枚一枚たくさんのすばらしい人々の手によってかかれつづけました。そして、その一人一人の努力と、みんなが反対したほんとうの アニメーション映画を作りあげるんだという勇気とにささえられて、いま完成したんです。
今回のメッセージはとっても長いものになっ てしまってごめんなさい。つくりたかった映画がようやくできてよろこびでこころがいっぱいなんです。だから、王さまは、いちごメイトのみなさんが王さまによせてくれる毎日のはげましに、この映画を作るために、ねむることもおしんで努力してくれた人たちに、いまほんとう 心の底から〝ありがとう、ありがとう〟っていいたいんです。ほんとうに、みんなありがとう。

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