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【9月22日開催レポ】放課後こども料理長

放課後こども料理長では〔自分たちで考えて、自分たちの食べたいものを、自分たちで作る〕ことを大切にしている。だから、作り方も、おおまかな方法は知らせるが、基本的に子ども達に任せて、子ども達を見守ることを大切にしている。その為、包丁での切り方や、切る大きさなども様々である。
でも、いつも美味しく面白く出来上がるのは不思議である。

本日の献立   
●鍋炊きごはん(7分づき)
●味噌汁(ジャガイモと豆腐)
●じゃがいもハンバーグ
●海苔入り卵焼き
●キノコソテー

2年生女子、じゃがいも切る。


放課後こども料理長に2回目の参加の2年生女子・Uちゃん。今日は、彼女の発案で『じゃがいもハンバーグ』を作ることになった。
そこでとっても【ヒヤヒヤしたが、なるほどね!】という姿に出会った。

それは、じゃがいもハンバーグを作るために、じゃがいもを切るときのこと。Uちゃんは「ドスン!」と包丁を強く叩くように切っていた。私は(お、危なっかしいな)とヒヤヒヤした。(「あぶないよ」と止めようかな)と思いながらも、彼女のこれまでの姿から大きな怪我には繋がらないだろうと考え、彼女を信じて、少し見守った。

しかし「ドスン!ドスン!」と包丁の音は続いた。私のヒヤヒヤも続いた。そして、Uちゃん自身も、切ったじゃがいもを手に取り、首を傾げ、うかない表情であった。(ん?どういうことだ?)と私は思い、彼女をより良く見た。
すると、どうやら彼女が思っている場所に包丁が入っていないようだった。つまり、彼女は〔じゃがいものの中心に包丁を入れて半分に切りたい〕のに、実際には〔じゃがいものの端に包丁が入ってしまい、思っている以上に小さく切れてしまっていた〕のである。彼女は、本当はもっと大きく切りたいのに、実際には小さく切れてしまっていたのだ。だから、うかない表情だったのだ。

私は(なるほど!)と思った。
Uちゃんは〔じゃがいもが硬い→勢いを付けないと切れない→「ドスン!」と包丁を強く叩いて切ろう〕と考えた。私にはとてもヒヤヒヤする切り方に見えたが、彼女は自分なりに考えて編み出した切り方だったのだ。私は(なるほど!そういうことか)と彼女の考える力に驚いた。

ただ(こういう方法もあるよ)という提案の意味で、Uちゃんに「大きく切りたいの?じゃがいもに包丁を当てて、もう一つの手で包丁を上から押して切る方法もありだよね」と提案してみた。すると、彼女は(お、そういうやり方もあるのか)という表情で、試してみた。そして、切りやすいことに気が付き、その後は〔包丁を上から押す方法〕で続けた。そして、すべて切り終え、満足そうにしていた。

包丁の上から手で押すと上手に切れた!


放課後こども料理長では
〔子ども達が安心安全の中で、楽しく料理が出来る場になる〕よう努めている。しかし一方で〔子ども達自身が充実感を持って過ごすこと〕も大切にしている。だからこそ、子ども達が自ら考え、選択し、そして工夫できる機会を、出来る限り整えていきたい。今回のように〈ヒヤヒヤする〉こともあるが、出来る限り、子ども達を信じて待ち、子ども達の姿に驚いていきたいと考える。もちろん、今回のように提案をすることもある。しかし、それが大人からの一方的で、かつ絶対的な提案をすることは、出来る限りしない。それは、子ども自身が考え、体験することを大切にしているからである。そして、子ども大人も、一緒に考え、作り上げていく場にしたいからである。


オトナは極力手を出さず見守ります。

自分で考える子どもになってほしい

という願う大人は多い。とても素晴らしいことである。しかし一方で、良かれと思って、ついつい声をかけ過ぎてしまう大人が多いのも現実である。

もちろん、子どもの安全を考えるからこそ、声かけをしていることは理解する。しかし、声をかけすぎてしまって、子どもを大人の枠組みにはめ込んだり、子どもの考える機会を奪ってしまってはいないだろうか。そうだとしたら本末転倒である。

では、どうしたら良いのだろうか。

私は、まずは〔子どもを見る〕ことだと考える。子どもを見て、子どもの内側を想像するのである。想像し、託していくのである。もちろん、声をかける必要があるときもある。そんなときは「こんな方法もあるよ」などと、選択肢を伝えていくのが良いだろう。注意したいのは、これが提案や選択肢であり、選んで決定するのは子ども自身であるということである。

子どもの自尊心を育てる

人は、自分で選び決定するからこそ、自尊心が育つのである。そして、自尊心がある中で行動するからこそ、生きる力も育まれるのである。現代は、様々な情報が多く、数字で物事を捉えることも多い。だからこそ、失敗しづらい、強いて言えば、失敗させない場面が多くある。しかし、失敗するからこそ体感し、次に繋がるのである。もちろん、自ら失敗を選ぶことはない。だが、自ら選ぶことは、自ら挑戦することであり、自らの挑戦で失敗することは自分の糧になる。他者に決められたことで失敗することは後悔になるし、自信がなくなる機会になる。

かつおぶしをはかったよ。

もちろん、子どもより多くの経験してきた我々大人は(あ、このままだと失敗するな)(助けてあげよう)と思うことは、よく分かる。でも、そこをグッとこらえよう。グッとこらえて、子どもを信じていこう。彼らの人生は、彼らのものである。彼らには失敗する権利がある。〔子どもに自分で考える子になってほしい〕と願うからこそ、彼らに託していこう。大丈夫だから。

そして、子どもは、我々大人を育ててくれていることも覚えておこう。我々大人も、子どもと一緒に成長していこう。子どもを信じて、自分自身も信じていこう。

盛り付けして配膳して、いただきまーす!

文章:久保田 修平

大田区池上のこどもの居場所


大田区池上にお店を構える「微生物カフェHITONAMI」
普段は発酵食品を使ったランチを提供しています。
2023年より放課後の居場所として、「放課後こども料理長」のイベントを定期開催しています。
共働きのご家庭が安心して預けられる場所として。親御さんがお家にいる家庭でも、こどもの自主性を育む場所として。
新しい形の学童のような「放課後こども料理長」


放課後こども料理長

放課後のこどもの居場所です。
一言で言うと「カフェでご飯を自分で作る学童」です。
詳細・開催日は下記の記事をご覧ください。

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