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猫が足元にいるからさ。

 寝る前に飲んだコーヒーが悪さをして気がつくと深夜3時を回っている。瞼は重いのに頭の中は何故だか軽い。部屋の明かりを消して重力に身を任せて目を閉じた。夢の中と現実のシーソーゲームが始まった頃にベットに猫が飛び乗る感覚がした。

 実家で飼っている猫は私がベットで横になるといつも足元で背を向けて眠った。猫がいる方へ枕を持っていくと、あくびをしながらめんどくさそうに足元に移動する。少しでも近づこうと猫に足をくっつけると、それを嫌って離れた。そんなツンデレ猫がベットに飛び乗るときの振動はいつしか近くに寄り添ってくれている合図に変わった。

 実家にいるはずの猫が一人暮らしをしている私のベッドに飛び乗ったかのような感覚。そこにはいないはずの猫がその日はそばにいてくれている気がした。その安心感からかいつの間にか眠りに落ちていた。

 実家に帰った時にこの話をすると、猫は私が眠りについたのを確認してからいつもの寝床に戻っていた。なるほど、足元にいる猫が私の睡眠導入剤だったのだ。

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