養育費を増額したいときは?

1 月々の養育費を増額してもらいたい

 話し合いや調停で決まった養育費をもらっているけれど、事情が変わって増額してもらいたい、ということがあると思います。相手方に増額を求めるにはどうしたらいいのでしょうか。
 まず、相手に言ってみて、応じてもらえるのであれば、特段の手続をしなくても、増額は可能です。
 話し合っても相手が応じてくれない場合や、そもそも話し合いができない場合は、養育費増額の調停を申し立てることが考えられます。
 裁判所で増額が認められるのは、当初の合意時(調停成立時)には予測できなかったような事情の変更があり、当初の額では著しく不公平となる場合です。たとえば、相手方の収入が大きく上がったとか、逆にこちらの収入が大きく下がったとか、お子さんが病気になって多額の費用がかかるようになったなどの事情が考えられます。調停ではこのような考え方で話し合いがされ、まとまらなければ審判へ移行して裁判官が判断することになります。増額後の金額は、基本的には養育費算定表に従って決まりますので、当初の養育費の金額が算定表を超えている場合は、増額が認められにくい傾向にあります。
 養育費の算定表では、お子さんが15歳以上になると、お子さんの生活費がより多くかかるようになるので、0~14歳のときより養育費の額が上がります。調停などでいったん養育費を決めた時よりも後にお子さんが15歳を超えた場合は、それを理由に養育費の増額を求めることもできます。

2 私立高校の学費など、臨時の費用の負担を求めたい

 お子さんが私立高校に進学したり、塾や習い事の費用がかかるなどで、相手方に対して月々の養育費とは別に費用の負担を求めたいこともあるでしょう。このような場合、月々の養育費を増やしてほしいというのとは別に、臨時の費用の支出を求めることが考えられます。同じく養育費の増額請求として請求すればよいです。
 いずれも裁判所外での話し合いや調停でまとまればそれでよいですが、合意できない場合、裁判官が審判で判断することになります。当事者双方の経済状況、学歴、相手方が私立高校に進学することや通塾することを承諾していたかどうかなど、諸般の事情を総合的に考慮して判断されます。塾代は、通常の学校教育と違い、あくまでも任意に行う私的な学習のための費用ですので、基本的には認められにくいとされていますが、通塾の必要性が高いなど具体的事情によっては認められることもありますので、諦めずに請求してみましょう。
 負担額の定め方について、特に明文のルールはありませんが、双方の基礎収入(年収総額から、税金、住居費、職業費などを控除した額。年収総額×基礎収入割合により算出されます)で按分した額をそれぞれ負担しなさいと判断されることが多いようです。

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