「悪は存在しない」鑑賞後メモ
地面の上を引きずられている死体の目線のような、森の中から曇り空を見上げ続ける長回しのショットが続く冒頭の数分間、濃密なカタストロフの予感がすでに充満していた。間延びしているようでいて、時間は経過し続ける、それを証明するように石橋英子によるドローン的なアプローチの劇伴が鳴り響き続ける。序盤の、芸能事務所の担当者らによるグランピング場の開発計画に関する説明会のシークエンスに至るまでの10数分間はセリフも少なく長回しのカットも多いので一見派手な部分はないものの、チェンソーで丸太を