ブロックチェーンベンチャーの本音トークみたいなイベントのメモ 3月18日@大手町Finolab「ブロックチェーンサービス開発の裏側」

先日参加したブロックチェーンベンチャーの本音トークみたいなイベントのメモです。

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Contents

1.登壇企業

2.登壇企業の紹介

3.セミナー内容

3.1ブロックチェーンについて

3.2スマートコントラクトについて

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1.登壇企業

①テックビューロ
②カレンシーポート
③インディースクエア
④Dragonfly fintech

2.登壇企業の紹介

①テックビューロ

プライベートブロックチェーンmijin(ミジン)を開発し、インフォテリア、さくらインターネット、ロックオン、銀行など様々な会社と実証実験を実施している。

特徴はNEMというパブリックブロックチェーンを応用してmijinを開発しており、コア開発者はNEMと同じエンジニア。

また、実証実験の結果、100トランザクション/秒、800万トランザクション/日を処理でき、地銀レベルの取引量なら全然余裕、また実験の中でハッキングを試みたが、システムが停止し嘘の取引が実行できないことが実証された。

ある国の政府から中央銀行のシステムを5億円で作ってくれというようなオファーが来ているとのこと。

②カレンシーポート

Deals4(ディールズフォー)は、金融機関のアカウントや複数のブロックチェーン(イーサリアムやオープンアセット)、データベースと簡単に繋がる統合APIプラットフォーム。

つまり、金融機関等の既存のシステムとブロックチェーンの良いところを使うためのシステム連携APIを開発している会社です。

ここの特徴は、使用するブロックチェーンを限定せずに、ビットコイン、イーサリアム、NEM等様々なブロックチェーンと連系できる。また、プライベートブロックチェーンとパブリックブロックチェーンの連系にも強い。

また、スマートコントラクトの実証実験もしている。

③インディースクエア

インディースクエアというコインユーザー向けウォレットアプリを提供している。ビットコインを軸にしたCounterpartyという独自トークン発行の仕組みを利用している。

つまり、ビットコインをハックして破壊しない限り、改ざん不能な独自トークンをユーザーは発行できる。

何ができるかというと、
ビットコインという改ざん困難な仕組みにフリーライドして、あるお店独自のチケット、商品券を電子上で発行したり、アイドルが独自のプレミアムカードを発行したりできる。

例えば、AKBがAKBコインというものを1000枚限定で発行し、AKBコインを持っている人限定でライブをする等のチケットとして利用したり、

特定の地域やお店だけで使える地域振興券を電子商品券として発行できる。

④Dragonfly fintech

パブリックブロックチェーンNEMを開発し、金融機関向けの決済ソリューションを提供している。

下記のサービスを提供する「TEPS」(Transaction Ecosystem Platform Solution)を運営。
・「ACES」インターバンクのクリアリングと決済を自動化するサービス
・「BCAIB」ネットバンキングの効率化とブロックチェーンによるデジタルマネーのATMサービス
・「CDAPI」既存のPOSや支払いシステムを簡単に連系するサービス
・「DIMONEX」円・ドルなどのデジタルトークン版エクスチェンジ

つまり、やっていることはカレンシーポートと似ていて、ブロックチェーンNEMと既存の金融システムを利用して、エスクロー取引等、いままで莫大なコストをかけて実施していたものを自動化、低コストにする仕組みを提供している。

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エスクロー取引とは、例えば、こんなのです。

みずほ銀行からドルを送金して、同価値の円をバンクオブアメリカから送るみたいな取引があるときに、時差と営業時間の問題で同時履行できない。

ここで問題は、一方が先に送ると、先方が送り返す前に破綻したときに送った方が損失を負うこと、すぐに取引できないため為替変動リスクを負うことです。

そのため、いままではクリアリングハウスという第3者に一旦お金を預けて、お互いに履行したらクリアリングハウスが双方に送金するということをしていました。

ここにブロックチェーンとスマートコントラクトを入れることで、みずほとBOAが送金の取引契約にサインをした瞬間に送金が同時に履行されるという仕組みを提供して、クリアリングハウスをなくすわけです。

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3.セミナーの内容

3.1ブロックチェーンについて

ブロックチェーンは分散型勘定エンジンであって台帳。

プライベートブロックチェーンにすると処理速度が高速になるが、監査の可能性がなくなる。パブリックにすると取引が公開されているので監査が容易になる。

カレンシーポートはパブリックとプライベートを繋ぐことで監査可能性、高速取引の両方を確保している。トークン(通貨)の発行はパブリックで実施してプライベートブロックチェーンにトークンを転送したときにはパブリック側での使用をできないようにロックする、プライベート側では管理者がいじることがないように資産保全する。

NEMとイーサリアムの違いは、イーサリアムではイーサリアムの上にプログラムを書いてトークンを発行したり、スマートコントラクトを一から組むことになるため理解して実装するのに時間がかかる。NEMでは一定のルールに従って設定をしていくだけでトークン発行等をでき3時間もあればできる。

つまり、イーサリアムはその上に自由に設計したアプリケーションを置くことができるが、その分プログラミングするのでバグが発生しやすい。NEMはモザイクという仕組みでトークン発行を容易にしており、このレイヤーではバグが起きない。

これは、そもそも全然違う思想があって、イーサリアムはブロックチェーンという巨大なプラットフォームの上で新たに様々な取引のシステムを構築しようとするもので、NEMは既存のシステムとブロックチェーンの良いところを組み合わせようとしている違いによる。

各社の同様の意見として、既存の金融システム全てを壊すなんて馬鹿げているし、結局プログラミングが多くなるとバグが起きるので銀行がそれを使う必要がない。ブロックチェーンと既存のシステムの良いところを連系することが重要であるとのことです。

3.2スマートコントラクトについて

ブロックチェーンは複雑な取引の管理や時間管理が苦手であるため、複雑な取引の契約をスマートコントラクトにするのはナンセンス。

現状は円とドルを送り合うエスクロー取引等の単純なものをブロックチェーンでやるべき。

カレンシーポートとみずほ銀行のシンジケートローンの実証実験では、様々なブロックチェーンとスマートコントラクトの課題が見えてきたそうです。

個人的には、各銀行に対する調整業務と長期間の複雑な契約の執行が難しそうに思います。

日銀とのミーティングで証券会社がしきりに気にしていたのはファイナルティの問題。つまり、取引の確定時期の問題です。

分散処理することで、それぞれのノードが稀に全く同時に取引承認を実施してしまうことがあり、このときに一方の取引承認を取り消すことがあります。

ただし、これはプライベートブロックチェーンで高速処理していけば殆ど起こることは無くなるはずなので、この問題に対して意固地になってコストをかけるのは私としては疑問です。

この問題から考えてもブロックチェーンによる資金流や取引の管理は非金融の会社の方から広まってくると各社も考えているようです。

BTCNでも同イベントについての記事が掲載されています。

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