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出会う、夏-後編-|盛岡・花巻ひとり旅

お盆休みの岩手のんびり一人旅、後編です。

花巻南温泉峡

さて、今回のお宿は、ちょっと贅沢に温泉旅館を予約しました。
転職後、毎日頑張った自分にちょっぴりご褒美です。美術館をあとにし、東北本線で花巻駅へと向かいます。

東北本線、Suica使えず

だいぶ余裕を持ってホームに着いたつもりが、
あれ、もう電車来てる。
始発駅なのか。
と思うも、ドアが閉まってる?すでに中には人がいるのに…?

静かに混乱していると、ボタンを押してドアを開けて乗り込む人が!!すぐさま後に続きます。

関東でも、北の方から走っているJR車両に開閉ボタンがついているのは見かけてはいましたが、実際に自分で押して乗車するのは初めてでした。それに、雪の降る時期だけの催しだと思っていたので不意打ちでした。やっぱり電車ってたのしい…!

ゴトゴト揺られて花巻駅に到着。名前の知名度に反して、こじんまりとした駅舎。おばあちゃんの家へ行くときの、松山駅を思い出しました。

右端に見切れている、花巻南温泉峡シャトルバスに乗り、今夜のお宿、鉛温泉・藤三旅館さんへ向かいます。

この温泉郷(峡)には、山の中にいくつも旅館が点在していて、それぞれの旅館のお客さんが同じバスに乗り合わせて降ろしてもらうという仕組み。無料シャトルバスは毎日運行しています。てっきり、宿からロケバスみたいなお迎えが来ると思っていたので驚きました。その便に降りる人がいなければ、その旅館は飛ばします。とても効率的!

鉛温泉はその中でも奥の方だったので、2、30分バスに揺られ到着。
歴史ある温泉旅館に緊張していましたが、とびっきり明るい中居さんがお部屋へ案内してくれました。

別館のお部屋でした
お部屋のすぐ脇には清流・豊沢川

たった一人で、ずいぶん贅沢なところに来てしまった様です。
今の法律では、ここまで川の近くに建物を建てることは出来ないそう。お部屋の中でも、マイナスイオンをたっぷり浴びられそうでした。

藤三旅館さんには源泉掛け流しの天然温泉が4種類。
時間で男女の入れ替えがあり、一番目玉の、立って入る『白猿の湯』に至っては混浴です!でもご安心を。ちゃんと女性限定タイムが設けられているので、全湯制覇に向けて、正直、ここからはタイムテーブルとの戦いになります。

夕飯の時間の前に、まずは『白糸の湯』へ。
滝を目の前に、ゆったりと湯船に浸かることができます。明るい時間の温泉って贅沢でいいですよね。ココは特に、滝を見るために先に入って正解でした◎

鉛温泉のお湯は無色透明で、湯質もサラリとしていましたが、出たあとのお肌のすべすべ感や温浴効果は紛いも無い温泉でした。さらにシャワーまでもが温泉水というから驚きです。身も心も美人になれそう(?)

お風呂の後に、ひょんなことから友達と電話をしました。
一人で来たけど、一人じゃない感じ。他愛もない通話だったけれど、なんだか特別な気がしました。
「結局寂しいんじゃん。」
と、賛否両論あるかもしれませんが、私がよければいいのです。それが一人旅。

そして夕食。一人の時はいつも素泊まりばかりなので、少し緊張しましたが、三陸の海の幸や花巻の『白金豚』を、ゆっくり堪能できました。個人的には、お吸い物がとっても美味しくてお気に入りです。


その後、女性タイムに目玉の『白猿の湯』へ。

鉛温泉発祥の伝説に登場する「白猿」の名をつけられた、歴史のあるお風呂です。湯船の深さが平均1.25mもある立居浴専用の温泉です。

その魅力は、見た目のインパクトもさることながら温泉通にはたまらない「ある」魅力があります。
通常、源泉かけ流しの温泉でも源泉湧いている場所からポンプを使いお風呂まで運ぶのが普通ですが、この白猿の湯は読んで字のごとく「その場所」に温泉が湧いています。ポンプで送ることによって、通常お湯は酸素に触れ、酸化して成分が変わってしまいますが、この白猿の湯では大地から送られてき恵みを、そのまま全身で味わうという贅沢を楽しめます。

天然の岩を「湯量が豊富なこの温泉で贅沢に楽しんでいただきたい。」そんな一心で、人力で掘って造った湯船です。

藤三旅館HPより

要するに、湧き出たままのお湯を堪能できる、大変珍しい温泉なのです。写真が撮れずもどかしいですが、この独特の空間、お湯の良さ、ぜひ足を運んで体感してみてください!本当に、「来てよかった…!」と思える温泉です。

まさに自然の恵み。最高のごはんと最高のお風呂のおかげでまんまとおネムになり、部屋で少し仮眠。
しかしこのままでは全湯制覇の夢が絶たれてしまうので、消灯後でしたが、23時ごろ『銀の湯』へ。暗くなった夜の旅館を一人で歩くのは少し怖かったです。笑

朝食|花巻納豆かわいい

夜はもうぐっっっすり眠り、翌朝6時に最後のお風呂、『桂の湯』へ。
ココがまたかなり良き…!
もう本当に、手を伸ばせば届きそうな位置に川が流れていて、いわば歴史あるインフィニティ温泉。川のせせらぎも、雨上がりの空気も心地よくって、朝から長湯してしまいました。

花巻南温泉峡、きっと、また来なければ。(謎の義務感)
めちゃくちゃ疲れてる人とか、ぜひ行ってみてほしいです。笑

エレベーターのデザインが◎

ジョバンニとカムパネルラ

他のお客さんとっしょに帰りのバスを待っていると、父からLINEが。
少し前まで仙台で単身赴任していた父に、新幹線で通り過ぎた仙台駅のホームの写真を送ったので「どこにいるの?」と聞いてきました。
「花巻」と答えると
「宮沢さんち?」
宮沢賢治のことを言っていると理解するのに数秒かかりましたが、童話村へ行こうと思っていたので
「そう、まだこれから行くとこ」と返信。
すると「ジョバンニとカムパネルラにもよろしく」と返ってきました。

この名前が『銀河鉄道の夜』の登場人物を指していることはわかりましたが、待てよ、、、?どっちが主人公、、、?

そう、わたしはあろう事か、童話村に行こうとしているにも関わらず、この名作を読んだことがなかったのです。
とりあえず、バスの中であらすじを検索。そして驚きます。
え?!!?カムパネルラ死ぬの??!?!

帰りに本を買って帰ろう、絶対に。
そう胸に誓い、物語の詳細を知らぬまま童話村へ向かいました。

入口は銀河ステーション

しかしそんなわたしでもちゃんと楽しめるのが童話村。
かわいくて、メルヘンで幻想的で、風の又三郎や注文の多い料理店、え!オツベルと象も宮沢賢治だったのか…!と、懐かしさで温かくなる場所でした。

自分がだんだんのっぽになるトンネル
月夜のでんしんばしら
クラムボンは笑ったよ
山猫軒

草花、宇宙、星、生き物たち。賢治の世界の中に入って、その全てが愛おしく見えてきます。かわいいお土産も買いました。

中はこんな感じ

写真ばっかり貼りすぎてしまいました。
この優しい世界観が伝わればいいな。

本当は、賢治ゆかりの街をみて回ったり、友人に教えてもらったマルカンのソフトクリームを食べに行きたかったのですが、時間がなくなってしまい、駅前のイカしたカフェで一息ついて、盛岡へ戻りました。

癒しをありがとう、花巻!ジョバンニ!カムパネルラ!

好きなトッピングを挟んで食べるよ


駅ビル爆買いおばさん爆誕

電車の本数に限りがあったため、新幹線までだいぶ余裕のある感じで盛岡駅へ帰還。旅の最後に、お土産爆買いタイムとなります。

年々、旅先のお土産を買うのが楽しくなったなと感じています。
一人暮らしを始めてから、自分に食品や食器を買って帰るのも楽しいし、もちろん、友人や家族に配ってまわるのも、旅先での出来事をもう一度振り返ることができて、まさに土産話という感じ。

一方で、あれもいいしこれもいいし、と数ある名物に目が泳ぎ、出費もバカになりません。大体帰ってから「買いすぎたな」と気がつくのですが。

しかし今回、新たな発見をしました!
定期券購入でクソほど貯まっていて、だけどいまいち使い道を見つけてあげられなかったJREポイント。こ、これでお土産買いまくれるではないか…!しかもアプリでピッ!です!!(キャッシュレス大好き)

福田パンや奥州ポテト、チョコ南部は例の友人からリサーチしていたので迷わず買いました。チャグチャグ馬コ最中はその可愛さに一目惚れ。
なんなら今回はもっと買えばよかったとすら思っています。
JREポイント、活用していこう。

そして『銀河鉄道の夜』
大宮までの約2時間で、ちょうど読み切ることができました。

今回の東北旅で、「来年は東北三大祭りを全部みたい!!」という野望がうまれてしまいました。どうしたら行けるかな。毎年1つずつが現実的かな、、。

人というよりは、その土地の歴史や自然、そこで生まれた不朽の物語に出会えた旅でした。


*Thank you for reading!*

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