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 ここでは、2024年3月8日に損壊された、イギリスのケンブリッジ大学トリニティ・カレッジに飾られていた絵画を指す。ハンガリー出身の肖像画家フィリップ・ド・ラースローによる1914年の作品。

 損壊したのは親パレスチナ団体「パレスチナ・アクション」で、自らXに犯行声明をポストし、切り裂きの動画を公開した。
 また警察はすでに通報を受けているという。

 政治的背景を説明しておくと、アーサー・バルフォア卿(1848-1930)はイギリスの政治家で元首相。
 1917年11月に「パレスチナにおけるユダヤ民族居住地の建設」を、ユダヤ系の貴族院議員アーサー・ロスチャイルド男爵に書簡で約定しており、『バルフォア宣言』と呼ばれる。また、このユダヤ民族居住地がのちの1948年に建国されたイスラエルである。
 しかしイギリスは1915年にフサイン=マクマホン協定で中東におけるアラブ独立、さらに1916年には英仏露による中東分割を約束しており、これらの相矛盾した3つの約束を合わせて「三枚舌外交」と呼ばれている。
 すなわち現在まで尾を引く中東の戦禍の元凶とも言える宣言である。

 社会活動家による、有名絵画に対するパフォーマンスとしての【ヴァンダリズム】事件では、実際には絵画を覆うアクリル等を汚損するに留まり、結果的に作品そのものは無事であることが多い。
 しかしこの事件においては、完全に絵画そのものが切り裂かれていることが動画で判明している。

参考リンク・資料:

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