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本を作ろう その⑥

入稿まであと少し。というところまででした。
今回はその続き、本のタイトルと表紙、帯について書きますね。


本のタイトルについて


本の表紙は、まず人の目に触れる大切な本の顔。
そして表紙に書かれているタイトルは、「その本をひとことで表す、大切な言葉」ですよね。

なので、校正を担当してくださったコピーライターのYANOさんと、詩人の犬飼さんにいっしょに考えて頂きました。

私としてはどうしてもオサレにしたくなっちゃうので、英語を使ったり、意味深でわかりにくい文字列に惹かれてしまうんですよね。
だって、トイレの本なのに、
「トイレって言葉を入れたくない!」とか言ってたしww

例えば…一つ例を挙げますとね。

「into the universe」

今回寄稿いただいた作品を読ませていただいて、「トイレ」と一言で言っても、人の数だけトイレにまつわるお話があって、これはもう「宇宙」じゃん。と思っていたんです。(いや、ほんとに。)

それと、私の好きなビートルズの「across the universe」という歌の中に、

Nothing’s going to change my world
ぼくの世界は何者にも変えられない

Beatles「across the universe」

なんていう歌詞があって。
「トイレが突然閉鎖されたって、私は本屋をやめない。そんなことに屈しない。誰もわたしの進む先を変えられないもんね」と、崩れ落ちそうになりながらもなんとか強がってた私の気持ちと重なって、「universe」という言葉を使いたくて、先ほど書いたタイトルにしたいと思ったんです。

でもね、お二人ともにダメだしされましたw

一目でどんな本なのかわかるようにしないとダメなのに、
わかりにくすぎる。

く~~!おっしゃるとおり!!
いやぁ…かっこよっ!!と思ったんだけどなぁ、独りよがりってこわいですねw

ということで、お二人にたくさん案を出していただいた結果、
最もわかりやすく潔い、そのまんまのタイトル、

「ノートイレ!ノーライフ!」

となりました!
トイレがないと生きていけない!ほんとそう、間違いない!

本の表紙について


タイトルが決まったので、今度は表紙。
表紙には、今回のアンソロジーに「いつもすること」という写真作品でご参加くださっているKEIさんの、作品中のお写真を使わせていただくことにしました。

( お店の仮設トイレに向かう店主 )

仮設トイレが表紙になるっていう、今までにない斬新さw

表紙のデザインは田中氏(夫)が、もらい事故的に担当させられておりました。
そしてここでもまだかっこつけたい私は、英語とか??と思っておりましたが、そこは田中氏(夫)。
「ちょっとレトロなカタカナがいいんじゃない? カッコよくしたかったけど、ちょっとダサめになっちゃった?的な感じにする方が、ひとしずくの昭和感にはよく合うんじゃない?」

まぁ長年デザイン分野でお仕事をしていただけあって、そしてひとしずくをみていないようでよくみている彼の言うことは、たぶん間違っていないと思うので、お任せしてみたところ、こんな感じになりました。

( トイレトイレとうるさい表紙w )

三原色…。
激しい…トイレの圧が強いなぁ…
とは思いましたが、これ以上インパクトのある表紙はないんではないでしょうか。

本の帯について


本には、表紙やカバーがあります。そして多くの場合、「帯」といわれるものがついています。なぜ「帯」がついているのかというと、一番の理由は本を手に取ってもらうためだといえるでしょう。

帯で、自分の好きな人や有名な人がその本をおすすめしていたり、
「何万部突破!」とあれば、売れているのかな、面白いのかなと思って手に取ったりしますよね。
帯にはそういった宣伝効果があるのだと思います。

といういことで、今回作っている本にも帯をつけようと思い、お二人の方からお言葉をいただきました。

お一人は、本を作ると決めて、でもまだ何もできていない時から、「帯を書いてくださいね!」とお願いしていた、ひとしずくにもたまにふらっとご来店下さる、名古屋市の某図書館の館長さん。
本当はすごい方なのに、本づくりに限らず、お店の事などもろもろ私のふわっとした相談にも乗ってくださる奇特な方。

そしてもうお一人は、先日、全国の本好きさんから惜しまれながら閉店した、ちくさ正文館の店長をされていた、古田さん。

古田さんには、私が本屋になる前の、出版社営業代行をしていた頃からお世話になっていて、「本屋になりたい」と動き出した時にも、ご相談に乗っていただいたりもしました。
そんな古田さんに、帯のお言葉をいただけちゃったりしたら最高なんだけどなぁと思っていましたが、お店以外の連絡先がわからず、ご連絡できずにおりました。

と、そんな折、『さよなうなら「ちくさ正文館」 ありがとう古田一晴さん』という古田さんのトークイベントが名古屋市今池の得三にて開催されました。

( 古田さんのイベント )

3時間に及ぶイベントはとても濃厚で、でも全然足りなくて、3Daysくらい必要なんじゃないかというくらいの古田さんの幅と奥行きの広さに驚きました。(わかってたけど、改めてびっくり。)

その時にいただいたパンフをみていたら、
おぉ?
古田さんのご連絡先があるではないですかっ!

トイレの本の入稿までに私が自由に動けるのは、古田さんの連絡先を見つけた日の、その次の日一日だけ。
これも何かのアレかと思い、翌朝古田さんへ勇気を出してお電話したところ、なんとその日の午後にお会いできることになったのです。(奇跡)

ちくさ正文館が閉店し、私にとって降りる理由のなくなってしまった千種駅の喫茶店で待ち合わせをしました。

( 千種駅近くの喫茶店 )

ゲラをみていただきながら、
「どうかな、古田さん、帯にお名前入れてもいいって言ってくれるかな…」
と不安でしたが、あっさり「いいよ」とおっしゃってくださって。
そのあと、どんな言葉にするか考えて下さって、なんとも古田さんらしい、詩的でかっこよい言葉を紡ぎだしてくださいました。


雲の上の人のはずなのに、しれっと降りて来てくれる館長さんと、
相変わらず雲の上にいらっしゃるのに、そっと手を差し伸べてくれる古田さん。
このお二人に、帯にお言葉を頂けるなんて感無量。

結局のところ。
この本の帯は、「売るため」の帯じゃなくて、
私がこれからもお店を続けていくための「励まし」の帯になりました。

ご協力くださった、館長さん。古田さん。
この場で御礼申し上げます。
ありがとうございました。

ということで、続きます。







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