【ひつじがの自由研究vol.2】『ミッションボトル』

面白そうな匂いはするけどいきなり大々的に始めるのはおそろしい……なんて企画の種をひつじがではとりあえず自由研究として試験的に導入しています。そんな「ひつじがの自由研究」第二弾。

三月頃からひっそりと始めていましたが、最近口頭で趣旨を伝えた方々からじわじわと「私も協力したい!」というありがたいお声をいただくことが増えたので、今更ながら『ミッションボトル制度』についてご紹介です。

【なぜミッションボトルを?(冒頭から余談)】

いきなり余談から始めます。「そもそもミッションボトルって?」という疑問をお持ちの方も少なくはないかと思いますが、まずはそのままお読みいただけますと幸いです。

ひつじがには大学生をはじめとした若いお客さんがたまーに来店されます。(とてもうれしい)

お店の近くに大学があるわけでもないので、偶然ふらっと立ち寄るなんてことはまずありません。みんな何かしらの興味関心をフックに調べて見つけてわざわざ足を運んでくれます。そのせいなのか偶然か、どの子も熱量が高くて悩みも多くて、素直に話をぶつけてくれるので向き合っていて楽しいです。

お店としても見つけてくれた若い人たちにはもっとどんどんこの場を利用してもらいたいし、個人としてもそういう若い人たちの話に耳を傾けたい。また、まだひつじがのことを知らない若い人たちにもどんどんこの場を知ってもらいたいという思いがあります。あわよくば大学生だけでなく、高校生、中学生、小学生にも。

なんて気持ちを引っさげながらほぼ毎日お店を開けていますが、先日某学生さんから「もっと通いたいけど諸事情(特に財布周りの事情)で来店する頻度はどうしても限られてしまう」との声をいただきました。その子だけじゃなくて、実はこれまでにも複数の学生さんから同じような意見をいただいてます。

気持ちはよくわかります。自分も同じぐらいの年齢の頃そこで悩み苦しみ葛藤しながら、若干の後ろめたさを持ちつつ馴染みのお店に通っていました。お金に余裕のない学生を長時間滞在させてくれたあの店のマスターは神様でした……

来店のハードルはなるべく下げたいとは思うものの、とある世代だけを割り引くのもむずかしい。例えば『学割』なんて制度を設けたとしても、ひつじがには学生ではない若者も来店してくれてるのでじゃあその子たちはどうなる……という泥沼にはまっていました。

どうしたものかと悶々としていた時に、東京湯島にある『夜学バー”brat”』さんで『ミッションボトル』の試みをされているのを偶然見つけ、これならもしかしたら悶々を解消できるかもしれないと”brat”の店主さんにお願いしてアイデアを借用させていただくことになったのがこの自由研究を始めたきっかけです。お待たせしました。ようやくミッションボトルの説明に入ります。

【ミッションボトルとは?】

ミッションボトルとは、いわゆるボトルキープ制度の一種です。

お客さんに何かしらのお酒やソフトドリンクをボトル単位でひつじがから購入(※ボトル代金は相談)していただき、それをキープボトルとしてお店に一定期間置かせていただきます。

一般的なボトルキープはキープをした(購入した)人が次回以降の来店時にそのボトルのお酒を飲みます。居酒屋なんかで名前の書かれたボトルがずらっと並んでいたりしますが、あれがそれです。

そして今実験しているミッションボトル制度と一般的なボトルキープの大きな違いがそこにあります。ミッションボトルを飲めるのは、ボトルを購入した人ではなく他の人(主に上記余談に書いたような金銭的余裕があまりない若い人)です

つまり「このお酒をどうぞ他の方々に飲ませてあげてください」という精神でボトルを購入いただくことになります。イメージとしてはお店でもたまにある「よかったら一杯どうぞ」を遠隔かつ時間差かつ複数人に対してやる仕組みだと思っているのですが、これだと飲む人が無条件で安く飲み物を手に入れてラッキーなんてことになってしまってよくはありません。

そこで登場するのがミッションです。

ボトルを購入してもらった方には、そのお酒を飲むためにクリアしなければならないミッションを同時に決めていただきます。「本の感想を書く」「宿題をやる」「〇〇をSNSで紹介」「悩みを打ち明ける」「美術館にいく」等々なんでも構いません。

そしてその飲み物を注文される方には対価として金銭を支払う代わりに所定のミッションに挑戦していただきます。そして成功した場合に報酬としてミッションボトルを飲むことができる。……ものすごくややこしいですが、つまりはそういう仕組みです。ものすごくややこしいので、以下手引きで整理します。

【ミッションボトル制度の手引き】

①お客さんにミッションボトルを入れてもらう。
②ミッションリストの中から挑戦したいミッションを選ぶ。成功した場合、提示された金額(0円〜300円)で飲み物を注文できる。

①ミッションボトルを入れてくださる方
1.店主へご連絡ください。直接でもDMでも、喜んで話を聞きます。遠方の方からのご協力も大歓迎です。
2.キープするボトル(※1)、ミッション内容をご提示ください。

※1.ボトルキープの料金については個別でご相談させてください。
基本的に[通常ひつじがでその飲み物を提供する場合の金額]×[提供人数(杯数)]をベースに、注文される人との負担の割合を調整の上決めさせていただきます。とはいえ現時点ではルールはあってないようなものだし、自由研究期間にある程度の目安を作りたいので、それを踏まえてご協力いただけますと幸いです。

②ミッションに挑戦される方
1.店内のどこかしらにあるミッションリストを何かしらの方法で手に入れてください。ちなみに最も簡単に手にいれる方法は「店主に聞く」です。
2.ミッションの中から気になるものを選んで挑戦する旨を宣言ください。成功した場合のみ報酬として通常よりもお安く(あるいは無料で)飲み物を注文することができます。ただし、同じミッションを複数回注文はできませんのであしからず。

【なぜミッションボトルを?(再び余談)】

大学生の頃は淋しい財布の中身と日々相談しながら、それでも「ねばる」という厚顔無恥なコマンドを多用することによって飲み屋に通っていました。その環境で見て聞いて学んだ経験はその後今に至るまでずっと役に立っているし、学校や家やバイト先以外でオトナがいる場所に顔を出せていて本当によかったと思います。

とはいえその当時もうしろめたさを引っさげながら通っていたし、もしかしたら通うのをやめていたかもしれない。そんなうしろめたさを感じずに済む(でもきちんと気持ちよく何かしらの対価を支払う)仕組みがあればなあなんていざ実際に自分が場を始めてからずっと考えていました。

仮にこの仕組みがうまくハマれば、ミッションに挑戦する熱量が金銭に変わる対価になりうるし、そうすればうしろめたさを感じずにどんどんお店に通ってもらえるようになる気がします。

冒頭の余談にも書きましたが、ひつじがはこれからもっと学生(大学生だけでなく、小中高生)に門戸を開いていきたいし、どんどん道草や寄り道してもらえるような場所にしていきたいと思っています。

これはひとつの例ですが、「放課後に宿題をしたらオレンジジュースを1杯0円で注文できる」なんてミッションがあれば金銭の代わりに「宿題をする」で対価を支払うことができ、強制ではなく楽しんで宿題を解いてもらえるかもしれない……なんてことも頭の片隅にふわっとあります。

そんなこんなを実装できるかどうかを判断する上での今回の自由研究。わかりにくいことをわかりにくくくどくどと書きましたが、すでにご協力いただいてる方やご協力を表明してくださってる方もいて本当に本当にありがたいです。

何にしてもこの制度はそれを面白がってくださるオトナの皆様なしでは成立しません。「熱量が高い福岡の若者に一杯奢りたい!」というオトナの皆様いらっしゃったら地域世代関係なく是非ともご連絡をいただきたく、研究へのご参加ご協力ひろくひろくお待ちしてます。