【R6.5.5】NHKマイルの予想

【はじめに】

 まずオッズ的にアスコリピチェーノ、ジャンタルマンタルの2強状態。馬券的にはこの2頭の扱いを考える必要がある。
 その上で他に頭で狙える馬がいるか、吟味して馬を選んでいきたい。

【この2強、両立しますかね?】

 血統、これまで走ってきたレースの質など、かなり対極にあるアスコリピチェーノとジャンタルマンタル。かなり適性が異なるように思える中で、初対決となる今回、素直に2頭とも好走するとは正直思えない。
 アスコリピチェーノは近2走は牝馬限定の阪神1600m、これは桜花賞の予想でも触れたことではあるが、今年の桜花賞はタイムこそ優秀ではあるものの、道中のラップはどちらかというとスローよりで全体時計程タフなレースではなく、ハイペースの経験値としては薄い。
 桜花賞はそこから更に全体時計を詰める優秀なレース内容ではあるものの、ラップとしては12.5-10.8-11.2-11.8-11.8-11.4-11.2-11.5で、前に行った馬こそ苦しいが、中団から後方に居た馬からすると、コーナーでしっかり息が入るラップ構成で、差にかなり有利な足を溜めやすいレースラップだったといえる。それを中団外々を回して直線外にはじかれながらも2着確保は強い内容だったが、息の入らないハイペース戦への経験値というのはここでも積むことはできなかった。
 コーナーで息を入れながら脚を溜めて、直線切れ味勝負という展開であれば、このメンバーの中でも崩れることはないと思うが、ハイペースの息が入らない展開になった時に対応できるかは不安が残る。
 一方でジャンタルマンタルは稍重のデイリー杯、一週しか違わないとは言え阪神JFと比べて内の傷みが進んだで行われた朝日杯、レコード決着となったハイペースの皐月賞などとにかくタフな条件で結果を残してきた。
 2歳マイル女王VS2歳マイル王の対決ということで朝日杯と阪神JFのタイムが比べられるが馬場状態、ラップ構成は全く異なり、求められる適性が違う中でそれぞれに結果を出しただけなので、タイム自体を比べることにそこまで価値は無いが、ラップを比較すると
・阪神JF:12.4-10.7-11.3-12.0-11.8-11.3-11.4-11.7
・朝日杯:12.5-10.9-10.7-12.0-12.3-11.9-11.2-12.3
 朝日杯は前半でシュトラウスが上がっていった影響で前半に10秒台が2個挟まるハイペース、2F→3Fで加速しているのがたちが悪く、それに対応してある程度の差でキープしながらついて行った馬郡全体に負荷がかかるラップ。残り4F地点とラスト1Fで時計が掛かっているが、残り4F地点は流石にそれまでが早すぎたためブレーキがかかっており、そこから11.9に加速しているがこの区間で馬場の外まで持ち出しているのでラップ以上に負荷がかかっている。ハイペースで息が入れづらいラップ構成かつ、馬場の外まで持ち出すロスもあったせいで最後も止まって差し優勢の決着を、コーナーから早めに動いて凌ぎ切ったジャンタルマンタルはタフなハイペースへの対応力とスタミナの完成度の高さという点で昨年の12月時点では頭一つ抜けていた。
 言うまでもなく前走の皐月賞ではレコード決着となったハイペースをまともに前受けして最後は止まったものの3着とやはり苦しい中でスピードを維持する持続力が求められる展開ならば世代トップクラスの能力を持っていることを示した。
 つまり、この2頭が両立するかどうかを考えるときに重要なのは、このレースがミドルペースで息が入りやすい切れ味勝負になるのか、ハイペースで息が溜め辛いタフな持続力比べになるのか。ここを考える必要がある。

【展開を考える】

 例年に比べて、スプリント質の先行馬が少ないメンバー構成。前に行きそうな候補としては、前走2番手の競馬合をしてスピードもある2ノーブルロジャー、逃げて坦々とマイペースを刻んでこそ強い9キャプテンシー、先行して波乱を演出した11アレンジャー、前走レコード決着を前受け、テンの脚の速さを見せた16ジャンタルマンタル、安定してこれまで逃げてきた17ユキノロイヤルあたりかと思うが、ノーブルロジャーを除いて外目に固まった。
 このメンツだとそこまで極端にハイペースになることはなさそうだが、動きが読みづらいのがシュトラウスとダノンマッキンリー、ここがどこで競馬をするか、折り合いがつくのかで話が変わってくる。
 どちらもマイルであれば前に行けるだけのテンのスピードを持っているが、前走控えて好走したダノンマッキンリーと折り合えたが詰まって不発だったシュトラウスでは今回の立ち回りは変わってきそう。ダノンマッキンリーは引き続き控えてくると思うが、シュトラウスはまえに行く可能性の方が高いと見て予想。
 逃げ候補はキャプテンシー、シュトラウス、ユキノロイヤルの3頭、どれがハナに立ったとしても外目からの主張になるので隊列が固まるまでは時間がかかりそう、シュトラウスは調教は爆速でも単走なら折り合うことが出来ていたが他の馬がいればスイッチは入りそう、折り合いを気にしながら逃げ馬の斜め後ろで何とか折り合おうとすると思うので結果的に逃げ馬をつつきながらのレースになりそう。枠並び的にユキノロイヤルはかなり無理しなければ他の馬を制しつつハナまではいけないので自然な並びであれば逃げシュトラウス、番手シュトラウスの隊列になりそれを見る形で内からノーブルロジャー、外からアレンジャー、ジャンタルマンタル、ユキノロイヤル、あたりが主張しての先団構成、それを見る位置にチャンネルトンネル、ゴンバデカーブース、アスコリピチェーノ、アルセナール。更に後ろに差し馬勢という感じになるかと思う。
 キャプテンシーのベストレースであるジュニアCのラップは12.5-11.0-11.3-11.4-11.7-11.6-11.2-11.8なので、気持ちよくハナを叩いてマイペースを刻めばコーナーも緩めず息は入りづらいラップに、更に折り合いをつけながら何とかこらえているシュトラウスがコーナーの途中あたりから徐々に手綱を緩めたとすると早めにスパートがはじまるロンスパ展開になりそう。
 展開想定をまとめると、逃げ候補が少ないのでポジション争いは激しくないが、枠並びのせいで隊列の確定までは時間がかかる。キャプテンシーのマイペースがまあまあタイトなのでコーナーでもラップは緩まず、番手のシュトラウスも早めに動きそうなのでコーナーで息を溜めるような展開にはならない。あとはロングスパートでどれだけ長い直線持続させられるか。
 ラップとしては12.0-10.8-11.2-11.8-11.6-11.4-11.5-11.8で1.32.1。ミドルペースだがタフな持続力戦になると想定。
 つまりは2強だとジャンタルマンタルに有利なレース質になると予想します。

【ジャンタルマンタルに逆転可能な馬はいるのか】

 2強ではジャンタルマンタルを上位に取ることにしましたが、じゃあこのタフな持続力が求められる展開で、前走あの皐月賞を前受けして残せるほどの力を持つジャンタルマンタルに逆転できる馬はいるのかと考えていきますが、ここで重要になってくるのが馬場状態。
 年によってかなり馬場状態に差があるのがこのNHKマイル。昨年は雨の影響もありタフかつかなり外差有利の馬場、2年前はコーナーの傷みが強く逃げたスプリント質の馬は最後苦しくなったが、内もまずまず使える状況で、追い込み台頭の中好位差しのダノンスコーピオンが凌いで勝利。3年前は2年前と同じような状況で好位差しが台頭。4年前は内の傷みが2.3年前と比べてややマシな状況、コーナーで息が入る展開だったということもあるが逃げ先行が内を活かしてそのまま粘り込んでラウダシオンが勝つ波乱決着。
 じゃあ今年はどうかと言うと……過去数年の中でもトップレベルに内が荒れていないです!土曜のプリンシパルSでは勝ったダノンエアズロックは外枠からでも勝ち切ったが、内を捌いたメリオーレムと、人気薄で先行からインで粘ったアスクカムオンモアが2.3着、内をうまく立ち回ることで展開利を得られるレベルで内が活きている状態。コーナーは流石に痛み始めているものの影響があるレベルではない。そんな内が良い状況でジャンタルマンタルは8枠16番。ならば内からこの持続力展開をこなせそうな馬で逆転を狙っていきたい。

【予想印】

 ということで今回のNHKマイルは……
◎2ノーブルロジャー
〇16ジャンタルマンタル
▲13シュトラウス
△5ボンドガール
 これで行きたいと思います!!

【取捨の基準】

 基本線として内を立ち回りながら、タフな持続力勝負でも先行で粘りこめそうな馬を最も高く評価。
 前が苦しくなった時に差し込んできそうな馬を選ぶにしても追い込みだと外を回す必要があるので、それよりは前目からロスなく立ち回れる先行力もある差馬を高めに評価。

 さらに、週頭の記事で書いた通り、よっぽどの理由が無ければマイル以下の距離で前走掲示板を外した馬の巻き返しは厳しいと見てイフェイオン、エンヤラヴフェイス、キャプテンシー、マスクオールウィンは機械的に消し(シュトラウスを特例で好評価した理由は後述)
 そしてNHKマイルで激走が多く、今回重視したい要素でもあるスピードの持続力とスタミナの完成度の高さを助けてくれる米国系血統を持っている馬の評価をあげ。今年の該当馬は(機械的に消した馬を除いて)
 ウォーターリヒト、ゴンバデカーブース、ジャンタルマンタル、ディスペランツァ、ノーブルロジャー、ボンドガール、ユキノロイヤル、ロジリオン
 このあたりを前提条件として印を打っています。

【各馬の評価】

◎ノーブルロジャー
 週頭から言っていたとおり、まず血統が完璧。
 そして、前に行っての持続力という点で考えるとローテも完璧。ここは週頭の記事で詳しく書いているのでとりあえず再掲。

 父のパレスマリスはアメリカダートで活躍した馬であり、母がパレスルーマーということでジャスティンパレスの半兄でもあります。米国ダートで通用するだけのスピード、スタミナを持ちながら日本の芝との親和性も高いので、走っている馬が少ないながらも既にこのレースに2頭の産駒を出走させています。更に母父のMore Than Readyはアメリカ、オーストラリアで多くのスプリンターを輩出した名血。早い時期からの完成度の高さと早いスピードへの耐性を兼ね備えた血統と言えます。
 更に経験してきたローテも良く、新馬戦の東京マイルでは折り合って上がり33.3で快勝と末脚のトップスピードを見せており、次走のシンザン記念では一点してハイペースを中団で追走して、タフな馬場にも対応して勝利、スタミナの完成度の高さを見せた。そして前走の毎日杯はメイショウタバルには大きく負けたが、シンザン記念を中団で競馬したところから距離延長+先行へのポジションアップ+重馬場とかなりスタミナ負荷がかかる臨戦。それでいて直線ではシンザン記念よりも早い上がりを記録しており評価を下げる内容ではない。
 そこから今回は距離短縮+久々に走りやすい良馬場替わり。かなり能力を発揮しやすいローテになっている。

 この血統と臨戦過程だけでも買いたいのに、今回内がかなり使える馬場状況で内枠ゲット、普通ならばポジション争いで負荷がかかりやすい内枠だが、この馬以外の先行馬が外枠に行った分、余裕をもって先行できるおまけつき。
 そして追切が抜群。今回出走している吉岡厩舎のディスペランツァも同様だが土曜爆速坂路時計からの最終追切あっさりと厩舎の最上級パターンで出走。その上ノーブルロジャーは最終も加速ラップで併せ馬に先着と最上級中の最上級。
 展開的に、楽にラチ沿いをキープしながら逃げるキャプテンシー、シュトラウスを内から見るポジションにつけて足を溜め、直線馬郡が少しばらけたタイミングで内から抜け出すことが出来れば好走の可能性はかなり高い。
 新馬戦ではどスローではあったがしっかりトップスピードも見せており、仮に直線でのキレが求められたとしても対応できる可能性は十分。
 ここはジャンタルマンタルに逆転の可能性がある1頭としてノーブルロジャーから勝負したい。

〇ジャンタルマンタル
 本当にこの馬が2番人気でいいの?というのが正直なところ。長期的に馬券を買っている競馬ファンほど、こういった2強状態だとどちらかを嫌いたい(自分もそうですが)。そういった思考になった時にアスコリピチェーノよりも「前走からの反動」「朝日杯の時計」など楽に疑いたい要素が見つけられるが故のこのオッズなんじゃないかと思うが、今回のレースに求められる適性をどっちが持っているかと考えた時にやはりこっちを評価すべきだと思う。
 「前走からの反動」については調教時計がこれまでより急に緩くなったこともあって、過剰に叫ばれそうだが、むしろこれまでのジャンタルマンタルが過剰に時計を出してきていただけで、今回くらいの時計がむしろ高野厩舎で狙いやすいパターン。
 何度も例に出しているような気がするが昨年のマイルCSのナミュールがまさにこのパターンであり、富士Sの最終追切が坂路で54.6から終い11.9の加速ラップ。マイルCSが坂路で58.4から終い12.2の加速ラップ。
 今回のジャンタルマンタルは皐月賞が坂路で54.0から終い11.7の加速ラップで今回が56.7から終い12.3の加速ラップ。
 もうまるっきり同じようなパターンでありG1でも実績のある調整過程。
 そもそも川田騎手が「マイルがベスト」と言い続けてきた馬であり、皐月賞はチャレンジと考えていたならばローテ的にも最初からこのNHKマイルまで織り込み済みで考えられているはず。調整過程も予定通りで好調キープ。なにも疑うことは無い。
 まともに走りさえすれば連は外さないでしょう。

▲シュトラウス
 傾向的には巻き返しの難しい距離延長の掲示板外であり激走血統にも該当していないがこの馬だけは押さえておかなければならない。
 そもそも距離延長が苦戦する理由として、マイルの中ではスタミナが求められるタフなコースである東京マイルに延長ローテで挑むのが厳しい上に相手強化となるG1ではそりゃ巻き返しは望みづらい。例年ならば内が傷んでいるのでスピードの違いで前に行きやすい延長馬尚更不利であり、成績が悪いのも必然。
 だがシュトラウスはそもそも前走の1400が適性外のチャレンジ。これまで前に行っていたところからスタート出さずに最後方で折り合う訓練、直線では無理を承知で進路の無い最内に突っ込んで、詰まっての9着。度外視で良い内容。
 過去の延長馬には(確認していないが)恐らくいないであろう東京1800重賞で勝利実績のある馬であり、このローテだけで嫌う必要はないかなと。
 また今回求められる先行ポジションからの持続力も備えており、勝った東スポ杯がまさにそういった内容。逃げたテリオスルルが早めに仕掛けて残り5Fが11.8-11.6-11.7-11.7-12.4の持続ラップを先行から勝ち切っており、そこから結果は出なかったとはいえハイレベルのマイルG1、適性外の1400mの流れを経験してからの今回。基礎スピードを強化した上でこの持続力を活かすことが出来れば十分粘り込める可能性はある。
 調教も相変わらず爆速ではあるが単走ならば折り合いがついており、昨年控えて末脚を引き出せた北村騎手ならば前目で競馬してもなんとか抑えられるのではないだろうかと期待したい。
 新馬で不良馬場を逃げて上がり34.5で突き抜けたそのスタミナとパワーをここでも見せてくれ!!

△ボンドガール
 先行力と血統、枠を評価しての△。
 やはり今回の予想コンセプトとしてある程度前目で競馬ができる馬を選びたいところであり、2走目のサウジこそ出遅れたが、前走の休み明けNZTでも先行できたのは好感。
 前走でタフな馬場を先行して荒れたインをついての2着好走は十分の内容。今回良馬場に変わるのは走りを見ても明らかに条件好転であり、パフォーマンスアップには期待できる。
 足の回転が速く、短い距離で加速出来るタイプなので内から馬郡を捌くことが求められる今回の枠も苦にしなさそうで、理想を言えば追切はもう少し上げてきてほしかったが、それでも横の比較で十分馬券内は期待できると見て高評価。

【無印の各馬】
 抑えたい馬のみ理由を書いていきます。
・ディスペランツァ
 吉岡厩舎2頭出し、前門のノーブルロジャー、後門のディスペランツァという感じだが、今回はまえを重視したいのでこちらは抑えまで。自分の想定より前が苦しくなれば突っ込んでくる可能性あり。

・ロジリオン
 前走詰まりどおしで競馬になっていない中でも5着。出来れば三浦騎手とのコンビで見たかったが、直線キレだけで何とかできる脚質は戸崎騎手と手が合いそう。1400を主戦場にしてきたのでこの枠からならば中団でも競馬が出来そうであり、好位差しであとは直線足が持つかどうか。
 調教もかなり良い。

・ゴンバデカーブース
 抜群にNHKマイルと相性のいいヴァイスリージェント×ディープインパクト。休み明けで調教の動きからも万全には見えないが好相性血統かつ実績馬にモレイラ騎手騎乗。上位評価はできないが絞った相手に残しておきたい。

・マスクオールウィン
 厳しいとは思うが、調教からかなり上昇が感じられたので調教特注馬として抑えまで。元々スプリントでも前に行けていた先行力を今回見せて一変があってもおかしくはないと思う。

・ユキノロイヤル
 8枠になってしまったのは残念だが、週頭から気にしていた通り期待値はあると思うのでヒモでは抑えておきたい。

【まとめ】

 週頭から注目していたノーブルロジャーが追切完璧。土曜の競馬を見るに内の馬場はここ数年ないくらいに荒れておらず、インで立ち回れるのが有利に向きそうならば迷いなくここからということで勝負したいと思います。
 内枠で休み明けの松山騎手は不安ではありますが、土曜も既に勝ってるし大丈夫でしょう。
 馬券は
〇単勝 ノーブルロジャー
〇馬連 ノーブルロジャー・ジャンタルマンタル
〇3連複2頭軸 2-16-5.13
〇3連単 2.16-2.16-3.5.6.12.13.15.17(2.3着折り返し)
 これをベースに行きたいと思います。
 もちろんアスコリピチェーノは強いと思いますが、馬券は勝てなきゃ仕方がないので切るリスクを負って、条件に合う馬で絞って勝負したいと思います。
 今年のNHKマイルはパレスマリスがもらった!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?