見出し画像

「ことばを、どのぐらい知っている??」 〜「読むこと」の基礎基本の指導 ①語彙の指導〜

今回から、「読むこと」の基礎基本の指導について書いてみたいと思います。
いつものようにことわりを入れますが、ここに書くのは、ほんの一例で、ひわちゃん がこれまで色々学び、教わって、試行錯誤してきたことを踏まえて現在行なっている基礎基本の指導について書いているものです。これが正解、というわけではありませんので、ご了承いただければと思います。たくさんの先生方が、たくさんの手法を行なっている中の、一つの例として受け取っていただければと思います。

今回は、「読むこと」についてのひわちゃん の雑感と、切っても切れない「語彙の指導」について書いていきます。よろしくお願いします。


音読を繰り返すだけでは、「読める」ようにはならない

前回は、音読について書きました。

「音読」と同時並行で、「読むこと」に慣れさせていきます。「読むこと」では、単純に「読み取る」と言うことだけでなく、基礎基本の観点からすると、様々な学びが含まれていることを感じます。
それは、●文章の構成●言葉の意味(語彙)●段落構成●助詞、接続詞等の表現●体言止め・枕詞、韻、等●現代語表現、昔の表現、一昔前の表現・・・、方言、昔語りの表現・・・●ことわざ・熟語・・・●会話文の表現・・
とりとめもなく、思いつくままに書いたのでとっちらかっていますが・・・。挙げればきりがないほど、日本語の文章表現の中には様々な習得すべき事項が散りばめられています。

これらをわからないまま、ただ、言葉・文字を追っていては、何度読んでも、意味内容が分かるようにはなりません。
いきなり、登場人物の気持ちや感想を問うても、難しいということを、まずは理解しておかないとダメなんじゃないかなと思います。

語彙の大切さ

誤解を恐れず言うと、令和の子どもたちは、語彙がかなり貧困だと思います。いろいろ要因はあると思いますが、大きく考えられるのは、「テレビからYoutubeへの変化」と、タブレット端末の携帯による「読書体験の減少」です。(私の主観です)

「読むこと」では、「語彙」はかなり重要です。
言葉を知らなければ、何度音読しても頭には入らないし、理解ができません。そこから思考も生まれようがありません。
語彙の力と思考の力は、結構関係すると思います。

これらを踏まえ、ひわちゃん が一年生の「読むこと」の学習で実施した超基礎基本事項を書いてみようと思います。
これにより、1年間通じて、「読むこと」のテスト結果は、ほとんど(9割以上)の子が90点以上取ることができました。(小学校の業者テストの「読む」の問題は、ほとんどが文章からの抜き出し等の基本的な問題です。しかし、これすらもできない子が増えてきているのも事実です)

まず、前回書いた音読は、毎日宿題としてやりました。また、授業でも、はじめに音読を必ず行いました。これは、マストです。一人一人の音読のレベルを高めていくために、欠かせません。
そして1年間ずっと続けることが、力をつけるための大きな要素になります。保護者に、子どもの「読むこと」の実態を理解してもらうこともできます。一語一語目で追い、スムーズに一人で音読できるよう、家で親に助けてもらいながら毎日練習します。
なかなか担任教師一人でできることではありません。1〜2年生でこれをやっておけば、確実に力がつくと言えます。

次に、言葉の意味(語彙)を、一つ一つ全体で確認します。
子どもたちが、流暢に音読しているからと言って、言葉の意味がわかっているとは全く言えません。
例えば、「しばらくすると」「まもなく」みたいな表現の意味が分かりません。
大人からすると、当たり前にわかっていてほしい、分かっているだろうと思ってしまいがちで、そこで足を止めない先生は多いような気がします。
平成の頃は、もしかしたらもっと子どもたちは言葉を知っていたかもしれません。
しかし、今の、目の前の子どもたちに、聞いてみてほしいのです。
「この言葉の意味知っている?」と。
結構、知らない言葉ばかり・・・!?というくらい多いので、ぜひ常識を疑い、アセスメントを細かくしてみてほしいと思います。

子どもたちが分からない言葉があったら、その場でみんなで確認します。「知ってる!」という子に言わせてみても、全然違っていたりもします。
微妙に違うニュアンスで捉えていたりもします。
また、意味を予想させても、こちらがビックリする様なことを言います。
ですので、文章の流れに沿って、出来るだけ目の前の子どもたちに理解できるよう、噛み砕いて教える必要があります。
さらに、言葉で教えるだけでは低学年には結構伝わりませんので、絵を描いたり、ジェスチャーで示したり、他の文例を示したり、子どもたちに分かりやすいであろうシチュエーションで例示したりします。分かる子たちにロールプレイングなどで表現させたりもします。
とにかく、目の前の子どもたちにとって、どう教えれば伝わるかを、教師が探らなくてはいけません。
そのために、日頃、子どもたちの習熟状況を丁寧に把握しておくことが超重要になります。以前書いた、「ぐるぐる指導」がここで威力を発揮します。

児童理解が丁寧にされていれば、この語彙指導はさほど苦労しないかもしれません。
3年生からは国語辞典を積極的に活用するのもいいでしょう。ただし、それだけに頼るのはお勧めしません。まず、時間がかかります。また、辞典から意味を適切に理解するのも、意外に難しく、簡単ではありません。辞典は引けども・・・になりかねません。こちらも発達段階や児童の実態に応じて授業での活用の仕方を工夫する必要があります。

ここまで書いてみて思うのは、子どもたちに語彙力をつけさせる指導というのはやっぱりめちゃくちゃ大切で、でもそう簡単ではないということです。
やろうと思えば、できないことはないけれども、まず、力を入れて「やろう」としているか?といえば、そうでもない現実もあるような気がしています。

語彙の指導を、低学年できちんとやっていない場合、中学年以降、どうなっちゃうか・・・・想像にかたくありません。ちょっと怖いですよね。

ぜひ、学年、発達段階、学級集団の実態、一人ひとりの実態に合わせた語彙学習・語彙指導のやり方を、模索してみてください。

次回は、「読むこと」の基礎基本の指導 ②読み取る
について書きます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?