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私が自宅出産を選択した理由②

毎月3日は、お産の日ということで私の妊娠生活〜出産体験を綴っている。
前回の投稿の続きであるが、この投稿から読んでもらっても構わない。興味があれば、前回の投稿を遡ってください。


「ぶどうの木助産院」での初めての健診は、電話から1週間後の9月の土曜日であった。つわりがちょうど落ち着いてきた頃である。

ぶどうの木助産院は、出張型の助産院で自宅に出向いて健診を行ってくれる。
「助産師さんはどんな方だろう。」「どんな健診が行われるのだろう。」…私たち夫婦は、期待と不安で浮ついた気持ちを抑えるためにいつもより念入りに掃除をして、助産師さんの到着を待った。
インターホンが鳴った。小柄で可愛らしい雰囲気の助産師さんが大きな荷物を持って訪ねてくれた。

初めに助産院のことについて丁寧な説明を受けた。私の知らない事実ばかりで驚きがあった。

自宅出産や助産院での出産を選択する夫婦は、今やとても希少である。99%が病院で出産することを選択しているという。つまり、私たちは1%を選択するつもりでいる。(1950年代は、自宅や助産院での出産が96%だったのに!)
それでも、やっぱり病院にしようという気持ちは少しも浮かばなかった。説明を聞いたからこそ、余計に病院ではない稀な出産が楽しみになったとも言える。

病院出産99%の状況の中、静岡市は、自宅出産できる助産院が年々増加しているという特殊な地域なのだそうだ。そして、全国的に見ても自宅出産できる助産院の数が多い地域である。
だから、助産院同士の横のつながりがとても濃密である。

ぶどうの木助産院には、分娩施設がないため、自宅出産か連携助産院での分娩施設を借りて出産することができる。連携助産院での出産を希望した場合は、ぶどうの木助産院の助産師(以下斉藤さん)が主になり、分娩に携わってくれるというシステムだ。

自宅出産や助産院での出産というと、日本では昔のもの、珍しいものというイメージが強いだろう。病院の方が安全だとも思うだろう。
しかし、イギリスでは助産師による出産が主流になっている。(無痛分娩も人気ではあるが。)
健康な妊婦には、産科医は立ち会わずに助産師だけの力を借りて産む。英国王室のキャサリン妃も自然分娩を選択し、翌日には母子で退院していることは、日本でもニュースになっていた。
ここで重要なのは、すぐに退院したからと言って、病院を追い出されたわけでもケアをしてもらえないわけでもないということだ。
イギリスでは、妊娠期から産後まで同じ助産師が継続的にケアを行う。(ロイヤルファミリーでなくても!)出産場所から出産方法まで具体的に助産師と相談して、納得した上で自分で選択することができる。母子にとって医療行為を受けた方が良い場合ももちろんある。ただ、日本のように、訳の分からぬまま促進剤を打たれたり身体にメスが入ったりするようなことは少ない。助産師と医師、そして妊婦とその家族がしっかり連携を取り合い、妊婦が中心となって選択することができる。

「出産は生活の一部であり、病気ではない。」という共通認識なのだそうだ。この言葉は、私にとってとても印象的なものとなった。

斉藤さんからの説明の中で、「マイ助産師」という言葉があることも初めて聞いた。
ニュージーランド発祥のものらしい。産前から産後まで、一貫して助産師を初めとする様々な専門家たちの連携したケアの元、お産や子育てをするLMC(Lead maternity carer:マタニティ継続ケア担当責任者)というものがモデルだ。

この日、私に「マイ助産師」という心強い存在ができた。
※現在は、「マイ助産師」とは言わず、日本も「LMC制度」となっている。

③へ続く…。

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