見出し画像

「M&Aの仲介企業」を選定するポイント

弊社は「企業の飛躍」を支援する為に以下に取り組んでいます。
・コンサルティング
・M&A(仲介・FA)
・人材育成(組織強化)
・PMO支援
・経営者・経営メンバーのメンター

本コラムでは、「M&A」について連載をします。
雑誌や動画サイトでよく見られる教科書的な、「それっぽい小難しい表現で、現実のジャッジに繋がらない耳障りの良い話」は書かないことにコミットして書いていきます。ですので「M&Aの基礎知識・スキルを高めたいという方」は、今すぐ別のサイトをご参照ください。

かつて、私が前職、事業会社に所属していた折、自身がバイサイド(買収側)で担当をする機会がありました。今こうして、M&Aの仲介として携わるようになりました。ですので、色んなリアリティをもって書けると思います。そして、婚礼業界に於いては数少ない、両方の当事者を経験をしている仲介でもあります。

最初のコラムは「M&Aの担当者は必要なのか?」ということを記載したいと思います。

「(1)M&A仲介者って何?必要なの?」
個人的な所感として結論を申し上げると「M&Aに於いて仲介は絶対必要」だと私は思います。「絶対」です。

その理由は・・・?
①マッチング・シナジー効果の予測・判定
昨今、M&A専門サイトで売却情報が掲載されて、比較的容易にアクセスすることが出来ます。同業種・異業種問わず、人気の案件は、瞬間で買収希望が集まります。まずM&A仲介の役割は、買手または売手企業を探し、引き合わせるコトにあります。
所謂「マッチング・サーチ業務」です。書籍などでは、仲介者の仕事の90%がこの仕事だと言われます。
ただ本音を言うと、一方で「そのレベル感でマッチングしているのであれば、存在は不要だろうな」という見方もしています。何かというと、「マッチングの理由が戦略的で且つ、明確でないから」ことが多いのです。バイサイドにいらっしゃる方はご経験があるかと思いますが「同業だから」「その業種に興味を持っている」からという理由で、M&A仲介から紹介をされるケースがよくあるかと思います。ここで思うわけです。
それなら「WEBでいいじゃん」

理由がなく、結びつけようとするM&A仲介の方が極めて多い。事業会社にいるときに、「・・・またこの案件の話が持ち込まれてきた」という経験は良くありました。「とりあえず、数多く当てに行くというスタイル」が非常に多いように思います。特に婚礼業界・・・。
とは言え、私が「絶対必要」という所以は、まずココにあります。
セルサイド(売却側)企業にとっても、バイサイドにとっても最もシナジー効果のあるマッチングはどの企業なのか?そしてそれはなぜなのか?
これが語れない仲介は、不要だと思いますし、これを念頭に探してくる仲介は、価値があると私は思います。また、結果的に、両社にシナジー効果が得られるので、売却価格が最も高い価格になる可能性もあります。決して、高く売却することが目的なのではなく、最も価値を享受することが出来るお相手同士のマッチングが出来たということになります。
私も、いくつかの企業の候補がある場合、財務や事業規模などでみると、A社よりもB社の方が大きかったとしても、両社のシナジー効果がA社の方が見込まれるのであれば、A社を紹介しています。

②「売り手・買い手の相性」
M&Aに、こんな感情的なことが必要かというと、多いに必要です。
一般的には、交渉がある程度進んだ段階で、トップ面談という形で、
両社の代表が面談を行い、それから進めるかどうかを決めるフェーズがあるのですが「それ、そもそも分からないですか?」というのが私の所感です。
もちろん、私が仲介するときにもトップ面談はいずれかのタイミングで行いますが、あまり外すことは有りません。また、両社の代表の相性だけではなく、そもそも、一つの企業・または組織になる両社の相性がどうなのか?とう点をすごく重視します。この相性のマッチングを行うのも、決して定量的に測れるものではありません。しかし、婚礼業界に長くいると、「社風・カルチャー」の違いは、とてもよく分かります。そして、この相性は「交渉中・交渉後」そして「PMI(契約後の統合のフェーズ)」に於いても極めて重要になります。これは、クライアントの方から聞いたこぼれ話ですが、
「最初に紹介だけしてくれた仲介会社は、それ以降何の機能もせず、しかも、交渉が進むにつれて、相手企業との相性がとても悪く、結果最悪の形で交渉が進んでいった。」というお話を伺いました。しかも、そうした経験を持たれる方は、私がお目にかかっただけでも数人いました・・・!!

③調整役として機能するか?
私は仲介で携わる際に、クライアント企業の方から、ヒアリングするのですが、今までのご経験上、M&Aで大変だったことはありますか?というお話をすると、たいてい同じ答えが返ってきます。

どんなコトかというと・・・
・M&A仲介者から、急に期日厳守でタスクを押し付けられる・・・
「期日、期日」ということを強めに仲介者が求めてくるが、本当は、もっと前から準備出来ていたのではないか?今になって急に求めてくるのはなぜだろう。しかも、言い方に腹が立つ(笑)←これ、本当に良く聞きます。

・M&A仲介の動きが遅い(事業者からすると、スピードが物足りない ※1)

・M&A仲介が売主・買主を引き合わせたら、ほぼ何もしないから揉めた※2
 
※1.これはいろんな問題があります。単純にプロジェクトマネジメントのスキルが足りないとか。業界知識がなさすぎるとか。または、大手仲介になると、タスクを抱えすぎていて優先順位が上がらないから遅いとか。(大体前者のような気もします)
※2.そもそも譲渡という行為自体、非常に大きなことであり、たくさんの不安・そして迷い、且つ今まで交わることがなかった二社を統合するということ自体、普通に行えば、そのプロセスには感情的なやり取りが発生します。少なからず、問題は起きます。だからこそ、仲介が必要なのです。仲介を担う人材は、プロジェクトマネジメント、組織マネジメント、卓越したコミュニケーションスキルが求められます。
 
以上の理由で、私は「M&A仲介は絶対に必要」だと思う派です。
逆に、上記の事が出来ないのであれば、不要だと感じています。


こうした切り口で、しばらくM&Aについて連載していきます。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?