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ブライダル業界でM&Aは行うべきか?

「M&A」に関して4つ目の投稿です。以前に記載したように、雑誌や動画サイトでよく見られる教科書的な、「それっぽい小難しい表現で、現実のジャッジに繋がらない耳障りの良い話」は書かないことにコミットして書いていきます。

標題の件。ブライダル業界には、私も長く携わってきました。
その当事者として明確にお答えする私見としては「絶対行うべき」です。

そう考える理由は、いくつもあります。逆に、やらないでよい理由(企業)の方が圧倒的に少ないと考えています。

1.マーケットがシュリンク×未曽有の危機
まずは、自社で健全な運営をしていくことが難しくなる企業が多くなるという点。但しこれは、脅威でもあり、機会でもあると考えています。この未曽有の状況下にならなければ、買収・売却の機会が訪れることがなかった企業が多数あります。
マーケットのシュリンクという点は、先人からも多数議論されているので、あまり触れませんが、もともと婚礼企業(施設)は増えすぎていました。それでも、ギリギリ均衡を保っていたのですが、今は、それに輪をかけて未曾有の危機が訪れ、収支構造が崩れてしまった今、立て直しの速度・精度の違いによって「自動的に・今までのように」は戻りません。企業間の差は、おそらく来年度驚くほど開くとみています。取り戻せない状態になるので、次の一手としてM&Aが有効であること。M&Aの鉄則としては「ギリギリではなく」「状態が良ければ良い状態の時に」実行することで、双方にとって素晴らしい未来が描きやすくなります。

2.企業のチカラを強くするため
これは、売手側だけが対象ではありません。もちろん、売手の状況打破のためにという面もありますが、今後、買手企業による戦略的な仕掛けが必要になると考えるからです。今まで、ブライダル企業の買手側は「よい案件があったら教えて」というスタンスが非常に強かったです。結果的に、多くの仲介・金融機関から発信される「出回り案件」ばかり同じ話がぐるぐる回るということがおおく、求めている良縁に巡り合える確率は、かなり低かったと言えます。つまり「成長・進化の意思」をもって、能動的にM&Aが行われることで今までと異なる結果が待っています。
企業のチカラを強くするというのは、以下の点です。

①人財・人員数・ノウハウ
最初に挙げるのは、この点です。ブライダル業界特有の現象ですが、他の業種に比べ、特異な業態と言えます。高単価に支えられつつもなんとか均衡を保っていた背景は有りますが、他業界の方から驚愕(良くない意味で)されることがいくつもあります。
・雑誌・メディアへの依存。
・高単価だからと設定された高額な家賃契約(結果これが重たい)。
・まだまだ構造的な問題が多く、業務効率が課題になり人員数を必要としているが故に、給与・待遇を上げきれない。
・雑誌出稿依存型・組織の縦割りが慣例化していた為か、マーケティング戦略が、浸透していない。その為、営業数値が上がりきっていない且つ、コスト対効果が悪い。

など、他にも多数挙げられます。
これを解決するのは、「人財」であり、効率よく業務を兼ねることが出来る「人員数」であり、そして「ノウハウ」です。先進的なブライダル企業は、もはや2年前の状態と比べて、大きく様変わりしています。

②マーケティング戦略
人財・ノウハウとともに、拠点が増えるというコトで、描けるマーケティング戦略の選択肢が一気に広がります。マーケティング戦略とは、プロモーションの戦術だけではなく、組織設計・提供商品の価値・働き方改革など、計画全般を指しています。集客戦略も、働き方も、ドラスティックに進化させるために、M&Aは有効な一手と言えます。

③コスト構造
ブライダル企業を進化させるために必要なのは、コスト構造です。一社で出来ないコスト改善が、規模が大きくなれば、叶うことがあります。粗利率・販管費比率の見直しをドラスティックに改善する為には、企業の規模を増強するコトが必須です。先日、大変気分の良くない交渉を経験しました。ある気概を持った企業さんが、エリアの活性化のために身銭を切って大々的な広告キャンペーンを企画しました。ところが、業界紙の方は「定価は変えられない」という一点張り。良いことをやろうとしても、そこには規模・大きさが影響します。これは、広告のみならず、婚礼事業のコスト全てに置き換えられます。売上だけではなく、販管費の改革なしでは、婚礼企業の未来は有りません。


まだまだ書ききれませんので、別の章でまた記載します。ブライダル業界でもM&Aの成功事例・シナジー効果がもっとお届けできると、印象も変わると考えています。これもまたどこかの章で。





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