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「M&Aの社内責任者は、誰にする?」

「M&A」に関して投稿2つ目の投稿です。前回記載したように、雑誌や動画サイトでよく見られる教科書的な、「それっぽい小難しい表現で、現実のジャッジに繋がらない耳障りの良い話」は書かないことにコミットして書いていきます。

「M&A(貴社)社内責任者は誰にする?」というコトを記します。

 先に前提を記載すると、既に自社にM&A専任のチームがあり、リサーチや実行を恒常的に行っている企業を除き、多くの企業は、M&A自体の経験がたくさんある訳もなく、専門部署も、専任もありません。
 また、M&Aの決断をする社長(または役員の方)以外に話をするのは、M&Aのディールがある程度進んだ状況だと思います。
 今回は「専任チームは有していない」「多数の経験がある訳ではない」「M&Aを進めるという意思決定をした後の状態」という企業・状況をイメージして記載します。

(1)M&A社内責任者は誰を任命するべきか?
以下のような仕事の仕方をする特徴のある人は、
アサインしない方が良い(任せてはダメ)と思います。
※とは言え、他の選択肢が多数ある訳ではないので、言い換えると、最初に注意喚起をしておいた方が良い点とも言えます。

・「絶対言うなよ」という話し方を、日ごろからしたがる人
 その人は向いていません。M&Aで最も気を付けなくてはならないのが、情報統制です。話が漏れたのであれば、一事が万事。多分「その人」が原因です。また、そうした人は、自覚症状がなく、自分が吹聴していることが、既に他者にはバレていることに気づいていないものです。

・「電話の声が大きい人」「自席で電話したがる人」
 普段は、情報統制に気を付けていても、電話になると急に周りの事を気にせず話す人はとても多いようです。知人のM&A仲介企業の方に聞いた話ですが「案件の話をしている電話口の向こうで、普通にクライアント企業のオフィス内の声や、電話対応している声が聞こえていることがある。」という話を聞きました。私もそれを聞いてゾッとしました。
おそらく、その方は、電話で話している内容は、自分の部下たちには分からないだろうと思っているのでしょうが、当たり前ですが、電話の内容など、片方のコメントだけで、なんとなく分かってしまうものです。これは、本当に多い事象のようです。おそらくですが、その人から漏れている機密情報が他にもあると思います。
 
・「コミュニケーション能力が低い人」
 (幸い、私がこれまで、お付き合いさせていただいているクライアント企業の方にはおられないことを先に記載しておきますが)、これは、残念ながら非常に多い事象の一つです。相当気を付けないとならないポイントと言えます。
「横柄・信頼関係が築けなさそう」という印象を与える人は、担当者に据えない方が良いです。チームに入れる必要があっても、絶対に、企業の外には出さない方が賢明です。
「基本的には、両社のやり取りを、円滑に進めるために仲介が必要」だということは前稿で記載しましたが、どこかのタイミングで、必ず担当者同士の面通しはあります。例えば、その場面で、ネガティブな印象がついてしまうと、その後のやり取りにも、その時の印象がついて回り、進行が悪化するばかりか、不利な交渉にもなり兼ねません。M&Aは「売る側と買う側」の構造で成り立ちます。が、表現を間違えると「買ってやる側」Vs「売ってやる側」という対立の構造を生みます。交渉だからと武闘派でファイティングポーズをとって立ち向かうタイプよりも、柳のようにさらりと優雅に立ち回り、核心の部分を鋭く突くような方こそが、M&Aには向いているように思います。

(2)M&Aのフェーズごとに適したアサイン
M&Aには工程があり、それぞれの工程に適した属性があると考えています。
どのフェーズの人が大切かと申しますと、全てと言えますが、適正は異なると考えます。

・交渉/調整段階・・・(1)にも書いたように、一見穏やかで、いつも冷静な方。

・PMI(統合)初期(1~3ヶ月)段階・・・すべてを包み込むような、包容力・明るさを兼ね備えた情熱型。

・PMI中期(3~6ヶ月)段階・・・大きな信頼・影響力を築きつつも、ハードなオーダー/変革を、共感をもって推し通せる人材。よくあるのが、影響力や、説明が足らずに組織が分裂してしまったり、一方で、波風立てぬように、お客様扱いのようにして、何の変化をもたらさない。どちらのパターンも、必ずと言っていいほど、不具合を生みます。


世の中どんどん便利になり、その影響もあり、M&Aも活発になります。しかし、企業の歩みは、人の努力・苦闘の歴史でもあります。ですので、M&Aには、今後も変わらず、機械的なことではなく、必ず感情が伴います。

本日は、少し観点を変えて、社内の担当者という視点で記載してみました。一つ目の寄稿から、いろんな方からご興味をお持ちいただけたというレスポンスがありました。少しでも、皆様の実業にお役立ていただけますと、幸いです。

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