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眠たいながら、料理する。

今日は朝起きてから夕方まで、ずっと眠い。

あんまり眠くて目が痛くて、瞬きを繰り返している。目を瞑っていると頭の芯がジワジワと染みるように疼いて、重力に負けて地面へ磁石みたいに引き寄せられて、べったりと寝転がりそうになる。泥のように眠い。思考が溶ろける。

そういえば、泥の由来をご存知だろうか。土が水を含んでドロドロになった状態を指す泥説と、中国の古典に出てくる泥と書いてデイと読む想像上の生き物から来ている説とが、あるのだとか。

このデイ、海の中では元気だが、地上に出てくるとグデグデにのびてしまうらしい。泥酔のデイも同じところに語源があるのだろう。

いつになく眠たくて、頭が全く回らない。思考の歯車が凍りついたようにガチッと固まっていて、押しても引いてもビクともしない。

すごいなぁ。

全然、順序立てて考えられない。

昼間、月末に学校へ提出する書類を確認していたのだけれど、目が文字の上を滑っているだけで、何が書いてあるのかまるで入ってこない。

今は夕飯を作る合間に書いている。型にはまった簡単な作業はできるらしくて、必要な食材を並べて片っ端から切ったり、出汁を取って、大根と練り物を鍋に投入するなどしている。

沸騰するのを待って、蓋をあける。

……あれ。

どうやら出汁の量をはかり間違えた。いつもの三分の一くらいしかない。

調味料が加わればもう少し水かさが増すかと、醤油と味醂を大さじ二ずつ入れてみる。

……全然足りない。

出汁の味見をすると想定より濃くて、やはり水の量を間違えていたらしい。眠たい時は、やり馴れた作業も勘が働かなくなるようだ。100ミリリットルずつ水を足しては味を見ながら、薄めすぎないように気を付ける。

しばらく火にかけて、10分ほどして蓋を開ける。

熱を含んだ湯気がモワッとあがった。練り物がふっくらと膨らんで、そのすぐ下で出汁がクツクツと煮えている。

そうそう、このビジュアル。

ようやく見慣れた仕上がりになってくれたので、コンロの火を止める。炊飯器もご飯が炊きあがった合図にアマリリスの一節を奏でたので、この辺で文章を切り上げる事にする。

今日のおかずはおでんです。

御膳を並べて、いただきます。


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