一穂ミチ『光のとこにいてね』を読みました。

久しぶりの一気読みでした。
そのため、すっかり睡眠不足です。

主人公は2人、結珠と果遠。
恋ではなく、愛の話だった。
育ちも環境も違って、普通なら出会うはずのない2人の何度も交差する人生の話でした。
人生と言いましたが、話の終わりの時点で2人は29歳。これからまだ長い2人の物語が紡がれるんだろうなと感じる話でした。

自分が団地育ちだし、うちの母も子供に興味が薄い人なので、果遠のほうに心を寄せて読んでしまいました。
大人になって、団地って追い焚きができないとか、団地に住んでる人ってとか聞くと、自分が団地育ちという恥ずかしさを感じます。
この間は、息子に「あんなに狭いところに、よく住んでたね」と無邪気に言われ、傷つきました。
私が小さい頃に住んでた地域は、社宅や1Kのアパートに家族で住んでる人もいたので、特に団地だから恥ずかしいなんて思わなかったのに。
気づいてみれば、今の生活は校区内に団地もないので、団地から遠く離れたところにいるなと思います。団地はやっぱりいろんな人がいました。新築で入居したときは、全然普通でしたが、家を出る頃には収入が高い人は、家賃が収入に応じて上がるので出ていってしまい、友達も引越し、取り残されてしまった気持ちを感じたものでした。
思い出話は、このくらいにして感想に戻ります。
【光のとこにいてね】という言葉が、本当に太陽が当たっている場所という意味から、どんどん抽象化した概念になっていきます。それは、私には憧れている場所であってほしいという願いにみえました。
結婚しても子どもを産んでも、また戻ってしまう憧れの場所。
私は他人に精神的に依存しないことで、自分の精神状態を保ってるので、友達も趣味によって使い分けてます。
この本のような相手を見つけることはないと思いますが、とても美しい物語だなあと思いました。

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