最近の記事

宮島未奈『成瀬は天下を取りに行く』を読みました。

爽快でスカッとした物語です。 学生時代に成瀬がいたら、異質で怖いけど、 大人になったら成瀬を観ていたい気持ちになります。 物語のスタートから、西武デパートの閉店カウントダウン中継に毎日映り込むという奇行をはじめる成瀬に驚き、こういう人に流されない生き方をする子の話かなと思いました。 でも、告白されたら戸惑うし、友達の島崎が引っ越すとなると受験勉強すら手につかなくなる。とっても可愛らしい子だなと成瀬が好きになりました。 実は、島崎がいることで成瀬が成瀬らしくいられること。 実は

    • 安壇美緒「ラブカは静かに弓を持つ」を読みました。

      全著連の話は、ニュースになってたなぁと思い出しました。それにより、いろんな歌手の人が自分の曲は無料で使っていいという声明を出してたことも。 結局、あの裁判ってどうなったんだろう? 問題の時は大きく報じるくせに、いつも結果は大して大きく取り扱わないので忘れてました。 楽曲を守るためとは言いますが、楽譜買うのにお金払って、それを練習するためのお手本でお金を払って…となると二重三重にお金とられてる気持ちになるんですよね。 きっと音楽教室などでの使用料の徴収が始まったら、それは会員の

      • 一穂ミチ『光のとこにいてね』を読みました。

        久しぶりの一気読みでした。 そのため、すっかり睡眠不足です。 主人公は2人、結珠と果遠。 恋ではなく、愛の話だった。 育ちも環境も違って、普通なら出会うはずのない2人の何度も交差する人生の話でした。 人生と言いましたが、話の終わりの時点で2人は29歳。これからまだ長い2人の物語が紡がれるんだろうなと感じる話でした。 自分が団地育ちだし、うちの母も子供に興味が薄い人なので、果遠のほうに心を寄せて読んでしまいました。 大人になって、団地って追い焚きができないとか、団地に住んで

        • ナオミ・ノヴィク『闇の魔法学校』『闇の覚醒』『闇の礎』読みました。

          やっと、読み終わったーという達成感でいっぱいです。毎巻毎巻分厚くて重たいから、持ち運ぶこともできなくて読むのが大変でした。 ナオミ・ノヴィク氏の作品は、『ドラゴンの塔』を一番初めに読みました。 定期的にファンタジー作品を読みたい私は、図書館で背表紙に【賞】って書いてあったから、面白いのかなと思って読み始めた作者でした。 そこから、『銀を継ぐもの』『テメレア戦記』と読み進めて現在に至ってます。 氏の作品は、内容がいつも重いです。 ハリーポッターは、巻を重ねるごとに内容がヘビー

        宮島未奈『成瀬は天下を取りに行く』を読みました。

          くわがきあゆ『レモンと殺人鬼』を読みました。

          初めはミステリーとして、おもしろく読めました。 ただ、犯人が見つかったぐらいからの話が二転三転‥とする感じは、好きではなかったです。 犯人候補っぽかった人たちの人物像が浮かばず、最終的な犯人に関しても、えっという感じでした。 単に自分の好みじゃなかったという事なんでしょう。

          くわがきあゆ『レモンと殺人鬼』を読みました。

          杉井光『世界で一番透き通った物語』を読みました。

          新しい読書体験でした。 この仕掛けに気付いた時は、思わず読むのをやめて前のページをめくってみました。 不自然さがなく、これだけの製本をする努力に感服しました。 お話自体は淡々と進んでいき、読みやすかったです。登場人物の感情の起伏も少なく、それが逆にリアリティがあるような気がしました。 人にはいろんな面があって、その人それぞれの価値観も判断基準もあり、どうしようもない人だって、愛すべき一面もあります。 愛情表現もそれぞれだし、愛情を受ける人も与える人の気持ちも、一般化できるも

          杉井光『世界で一番透き通った物語』を読みました。

          小西マサテル『名探偵のままでいて』を読みました。

          本というのは不思議なものです。 ちょうど認知症になった身内をなくしたときに読むのが、この本だったなんて。 主人公の祖父は、元校長先生で71歳。 まだまだ世間では若いと言われる年頃でしょう。 認知症にならなければ、余生を楽しむこともできたのではないかと考えてしまいます。 でも、不条理にやってくる病気は、そんな予定なんか壊してしまうんですよね。 主人公の周りの不可思議な事件を、次々に解決していくおじいちゃんが素敵でした。 「楓はどんな物語を紡ぐかな」 という言い回しも好きでし

          小西マサテル『名探偵のままでいて』を読みました。

          寺地はるな「川のほとりに立つ者は」を読みました

          〝川のほとりに立つ者は、水底に沈む石の数を知り得ない〟 どういう意味なのでしょう? 川に潜れってことでしょうか? 数を知ったところで意味あるのですか? 本を読めばわかります。 そもそも、石の数は知る必要がない。 多様性の中の多様性ってとこです。 石の数→人の性格(性質) 石の種類→人の気持ち 人をカテゴライズしてしまって、自分の価値観の中で〝この人はこういう人〟って簡単にわけれるものでもないよ。って事だと思いました。 この本にはADHDの人や識字障害の人が登場しますが、そ

          寺地はるな「川のほとりに立つ者は」を読みました

          手塚治虫「アドルフに告ぐ」を読みました。

          手塚治虫作品といえば、「ブラックジャック」ぐらいしか読んだ覚えがなく、それも中途半端に読んだだけで結末も覚えてないのです。 しかし、ここ近年【コテンラジオ】や【大人の世界史チャンネル】を視聴していて、少しだけ読まずに大人になってしまったなぁと心に引っかかっていました。 読めるのなら、「火の鳥」「ブッダ」「アドルフに告ぐ」を読みたいけど、古い漫画だし読める場所あるのかなと思いながら、調べることもなく過ごしていました。 そしたら、まさか図書館に「アドルフに告ぐ」があるなんて驚き

          手塚治虫「アドルフに告ぐ」を読みました。

          辻村深月『この夏の星を見る』を読みました。

          コロナ禍の学生たちの心情がよく書かれてるなと思いました。 大人よりもずっと狭い世界での学生生活、その中にコロナが起きて自粛を迫られた時、もっとどうしようもない気持ちになったんだろう。 大人が決めたルールを押し付けられて、大人は子供を気遣う余裕もない。 そんな日々だったと記憶しています。 ひどい噂も飛び交いました。憶測の域を出ないものも多かったと思います。 私たち大人は、子どもたちに運動会や球技大会、修学旅行など、たくさんの行事がなくなりました。 とても可哀想に思っていまし

          辻村深月『この夏の星を見る』を読みました。

          奥田英朗「リバー」を読みました。

          刑事事件物のミステリーって、なんで面白いんだろう? 病院関係者や警察関係者は、こんなのないってって言うけど、知らない側からするとおもしろいな。 連続殺人事件と勘違いしたことにより、未解決になってしまった事件が、時を経て再度起こってしまう。 〝警察のメンツが丸つぶれ〟って感じです。 ただ、いつもと違うのが主人公となる軸がない感じで話が進むこと。 警察、マスコミ、被害者家族などが、それぞれ協力せずに話が進みます。 さらに犯人の動機がわかんない。 そこはあんまり深掘りしない。

          奥田英朗「リバー」を読みました。

          芥川なお『ストロベリームーン』を読みました。

          『君の膵臓をたべたい』と同じ高校生の純愛ですね。 人生を変える恋というものがあるのだと、人を愛することはそういう力があるのだと感じます。 まぁ、自分は高校生はとうの昔に過ぎてしまいました。 結婚しなくていい、1人でもいいという時代ですが、自分の子供たちには是非とも恋をしてほしいなと思っています。 人を好きになる瞬間というのは、何度か経験していますが‥やっぱり恋はするというより〝落ちる〟というのが正しいのかなと思います。 結局、理屈じゃないところで恋愛はするんですよね。

          芥川なお『ストロベリームーン』を読みました。

          原田ひ香「三千円の使い方」を読みました。

          短編集の集まりなので、合間合間に読みやすい本でした。 三千円って、大人になるとすぐになくなるイメージです。 子供の頃は、中学くらいのお小遣いってところですかね。 今の中学生は自動販売機もペットボトル180円。 お菓子はコンビニ。 3千円では足りないようです。 要は3千円は、1日100円節約できるか?って事ですかね。 投資の本とかで、よく出てくる「ラテマネー」ってところですね。 固定費の見直し 生活習慣の見直し(コンビニで必要以外のものを買ってしまうとか) ↑堅実な投資の本に

          原田ひ香「三千円の使い方」を読みました。

          寺地はるな「彼女が天使でなくなる日」を読みました。

          寺地はるなさんの作品は癒されます。 なんか欠点があっても愛おしい登場人物にあふれてるからです。 私は小説を読むのは好きですが、感情移入しすぎてしまいます。 意地の悪い話を読んだら、なんだか不安になり 仕事のできる人の話を読んだら、何もなせてない自分に落ち込み 優しい親子の話は、自分と違いすぎて自己嫌悪。 寺地さんのお話は、なんだか自己肯定感があがるんです。 今回も、託児所をしてるし、元ベビーシッターなのに「子供のことを別に好きじゃない」といってしまえる千尋さん。 うわさ好

          寺地はるな「彼女が天使でなくなる日」を読みました。

          米澤穂信『クドリャフカの順番』を読みました。

          順調に古典部シリーズを読み進めています。 近くに図書館があるのって、本当に便利でありがたいです。ありがとう。 初めにクドリャフカって何?? って感じでしたね。宇宙にいった犬ということですが、悲しい結末を迎えたようです。 狭い宇宙船で、お世話する人間もなくたった1匹で宇宙に送り出されて、幸せな結末は想定できないと思いますが、人類の知識欲やエゴの犠牲になったんだろうと悲しくなります。 人間が宇宙に行くためのデータを取るために、『期待』をかけて送り出す。そこにクドリャフカの意思は

          米澤穂信『クドリャフカの順番』を読みました。

          三浦しをん『墨のゆらめき』を読みました。

          三浦しをんさんの作品は『舟を編む』から読み始めました。 辞書って編纂っていうから、編むなんだなぁって日本語の響きの美しさを感じた印象があります。 今回も墨という言葉が入ってるので、また美しい文章が読めるなぁと期待大で読み始めました。 ホテルマンと筆耕士…、そもそも筆耕士という仕事を初めて知りました。確か結婚式の招待状のときに宛名書きを頼むかどうかを聞かれたので、もし頼んでいたら契約してる筆耕士の方に頼むことになったのかもしれません。 筆耕士の筆致が見れる一覧とか見せてもら

          三浦しをん『墨のゆらめき』を読みました。